裾野駅徒歩3分の矯正歯科専門医院です。キレイな歯並び・キチンとした噛み合わせのための矯正治療を行います。近隣の沼津市や長泉町からもどうぞ。

わたなべ歯列矯正クリニック

〒410-1127 静岡県裾野市平松456-1 1F

JR御殿場線「裾野駅」より徒歩3分

診療時間(休診日:木曜、隔週月曜・日曜)

[月火水金] 10:30~13:00 / 15:00~19:30
[土日] 10:00~13:00 / 14:30~18:30

ご予約・お問合せはこちらへ

055-993-9350

矯正治療全般

11月18日(金

『○歳時歯科検診や学校歯科検診で気づいた歯並び・噛み合わせのこと

 

裾野市の○歳時検診や学校、保育園検診の担当で歯科検診を行うことが年に何回かあります。

むし歯で気づいたことは、私見ですが、

『ある子にはたくさんあって、ない子にはほとんどない』

という両極端の状況があるように感じています。

ただ全体としては、

『虫歯の本数は減っている』

と感じます。

 

一方で歯並び噛み合わせはどうでしょう。

乳歯だけの歯列なら、さっくりですが、

乳歯同士の間に隙間があって、出っ歯でも反対咬合でもなく、、、

という歯列の状態が望ましいとされます。

しかしなかなかこのような、文字で書けば1行で書けてしまう内容ですが、この状態を満たしている歯列のお子さんはそうそういません。

 

隙間なくびっしりキレイに並んでいたり、乳歯の段階からすでに歯同士重なり合っていたり、出っ歯さんだったり、噛み合わせが反対だったりと、、、

どれか一つは不正咬合につながる要素を持っているように感じました。

 

虫歯は地域や日常のご家庭での取り組みで実際に『減っている』現状となっています。フッ素塗布や、フッ素洗口、フッ素入歯磨き粉の使用の広まり、保護者のお子さんの歯への意識の向上などが日常的に行われています。

 

それに対し、歯並びや噛み合わせを良くする取り組みはどうでしょう。虫歯のと取り組みに比べれば、あまり取り組まれていないような感じがするでしょう。

これにはちゃんと理由があります。

簡単に言えば、

『これをやればいい歯並びになる』

といった明確な予防法のようなものがないからです。

 

小学生の初診相談の際に保護者の方からよく、

『どうしていれば凸凹してこなかったんでしょうか?顎を使って硬いものを噛むようにすればいいのでしょうか?』

と質問を受けます。

硬いものを小さいころから噛んでいればいいかと言えば、仮にそれが正しい答えだったとしても、硬いもの、噛みちぎらないといけないもの、噛む回数を増やさないといけないもの、、、などを日常的に毎食食卓に並べるのも至難の業でしょう。

小さいお子さんであればご飯を食べてくれないというもっと現実的な問題にぶつかってしまいそうです。

なので歯並び・噛み合わせに関しては、予防というよりはある程度症状が出てからの治療というあり方がまだ一般的です。

もちろん虫歯がもとで生じる不正咬合もありますから、そういう意味では虫歯予防も不正咬合予防につながるといえばもちろんそのとおりです。なので、かかりつけ歯科医院を持って、定期的なフッ素塗布や定期健診をすることは不正咬合の予防という点からも意義があると思います。もちろん、不正咬合の指摘ももらえるでしょう。

また、専門用語では『予防矯正』という言葉もあります。矯正は治療としてするんですが、より重篤な症状になってから治療をするのではなく、軽度なうちに、重篤化する前の予防として矯正治療をするという考えです。

 

なので不正咬合にならない明確な予防法はありませんが、そのような前提においては、早い段階での不正咬合が重篤化する前での発見やアプローチが有効な予防法と言えるでしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

10月18日(金

『違和感の感じ方もひとそれぞれ

 

裏側ブラケットの装置といえば、見えずに矯正治療期間を過ごすことを可能にする装置のひとつです。

ただ歯の裏側に付くということで、表に付いた場合と比べ舌と装置がとても近いところに位置するため、感じる違和感が強くなるという傾向があります。

考えてみれば確かに納得で、歯の表に付けばそこにはすぐ前に唇がありますから、表に付けた場合は唇の裏に感じる違和感の方が主に感じられことになります。

 

先日初めて上の歯列の裏側に装置を付けた患者さんが何人かいました。

一人は人前で講演などの話す仕事をしている方でした。見えないことが重要であることもさることながら、やはりしゃべりにくくなってしまってはやや本末転倒のような気もします。

様々な点から説明をし、ご本人も悩んだ末ハーフリンガルという選択に至りました。

いざ装着の際しゃべりにくくなることをやはりとても心配していましたが、付け終わってみると、

『全然大丈夫ですね』とのこと。

 

別の方は逆に『違和感?別に気にしません。』くらいの感覚でしたが、いざ装着してみると、

『これヤバいですね、、、』とのこと。

 

これこそ個人の感覚からくる感想なので、この方がこうだったからあの方もこうとは言えないものです。

ご自身のハードルの上げ方もあるでしょう。上げに上げて装着に臨んだ方と下げた状態で臨んだ方ではやはり感じ方が異なるのかもしれません。

ただ装置の装着部位が裏や表にかかわらず、そもそも矯正治療が、

『異物をできるだけ長い時間お口の中に入れ続けること』

を前提にしていますから、違和感自体は避けられないものでしょう。これまでで治療期間中ずっと『慣れなかった』方もいらっしゃらなければ、ずっとちゃんと『しゃべれなかった』方も、さらには装置の違和感が原因で治療を中断した方もいませんから、そこまで深刻に考えなくて良いものなのかもしれません。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

10月6日(土

『子どもの矯正治療の期間も患者さんそれぞれ

 

先日子どもの治療が一通り終わり、あとは12歳臼歯が生えるまで経過観察になった患者さんの診療がありました。

当院では子どもの治療で、

①拡大プレート→②ヘッドギア(下顎にはリンガルアーチ)→③前歯だけのブラケット装置

の流れで治療するパターンがとても多いです。

小学生で一番多い不正咬合は、出っ歯と並びの凸凹です。なので上のような流れが当てはまることが多くなります。

 

ざっくりですが、

①の拡大プレートは歯が並ぶための幅を作る装置

②のヘッドギアは出っ歯を治す装置

③は①と②でやったことの仕上げをする装置

です。

 

今回の患者さんはこの経過観察を開始するまで1年ほど装置の使用をしていました。

去年の8月から今年9月までになります。その診療の最後にお母さんから、

『早かったですよね!』

の言葉がありました。

子どもの治療は取り外しタイプの装置が主なので、本人の装置の頑張りが鍵を握ります。使った分だけ歯は動くのでその分治療も早く進みます。

なので、早く終わったのは間違いなくご本人が頑張ったからです。

 

もう一つの理由としては、もともとの不正咬合の程度にあります。

当然といえば当然ですが、もともとの程度が大きければその分時間もかかりますし、程度が小さければその分時間もかからないことになります。

凸凹があってしかも出っ歯

よりも

出っ歯だけ

の症例の方が治すことも少ないので当然それを直す時間も少なくて済みます。

①には6ヶ月〜12ヶ月

②でもやはり6〜12ヶ月

③は3〜6ヶ月

が各ステージの期間の目安です。

 

今回の患者さんは凸凹はあまりなく、出っ歯が多めにある方でした。なので①のステージでの治療はする必要はなく②からのスタートでした。

①〜③全て行った場合の期間の幅は15ヶ月〜30ヶ月

②と③を行った場合の期間の幅は9ヶ月〜18ヶ月

となりますから、②と③をやって13ヶ月の治療期間というのは実際的には標準的な期間ということにはなるわけです。

ただなんとなく一般的な矯正治療の治療期間といえば『2年から3年』というイメージをお持ちの患者さんも多いですから、それと比較すれば断然短いということにはなるのでしょう。

 

凸凹だけ、凸凹と出っ歯、出っ歯だけといった組み合わせもありながら、凸凹や出っ歯にもその軽い重いといった症状の程度もありますから、それらが治療期間の長短に反映されるわけです。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

9月13日(金

『トップページにビフォーアフターを乗っけてほしいくらい

 

小学6年生の女子の患者さんです。

小学4年ころから出っ歯と凸凹(なりかけの八重歯)の改善を目的に、子どもの矯正治療をしています。

 

子どもの矯正治療は中学生以降のいわゆる大人の矯正治療とは違って、お口から患者さん自身で取り外すことのできる装置を用いて治療をすることが多いです。

お口から外すことができ、学校では装置を原則使用しなくてもよいので、使っている装置が外から見えるということがあまりありません。

一方で、付けたままで取り外しの出来ない装置であれば、患者さんの意思で外すことが出来ないことがデメリットである反面、常に歯に力がかかっていることになるので歯の動くスピードが速いことがメリットと言えます。

言い方は悪いですが、付けたままの装置は歯に付いたままであること(からくる不自由さなど)を我慢できれば、あとは歯は勝手に動いてくれます。

 

一方で、取り外しタイプの装置はどうでしょう。もちろん装置が装着されていないと歯に力はかかりませんから、装置を使用しない限りは治療は進まず歯並びもキレイにはなりません。

装置の付け外しをするのは患者さん本人ですから、患者さん本人が頑張らないことには良い結果にはなりません。

なので子どもの矯正治療の成否は患者さん(とそのご家族)の頑張りがカギを握っているといってもいいくらいなのです。

 

そこで冒頭の患者さんですが、先日積極的に歯を動かす治療が終わり、今度は良い位置に動いた歯をそこで止めておく『動かさない』治療に入りました。

『抜歯が必要と言われたんですが、なんとか抜かない方法はないですか』

というお母さんの初診時の主訴も今は昔、ご本人が取り外しタイプの装置を2年間頑張ったことで中間を抜かずに、かといって口元が出てしまうわけでもなくむしろ少し引っ込んだほどで、経過観察に入ることが出来ました。

その際お母さんが、

『ホームページの一番上にこの子のビフォーアフターを乗っけてほしいくらいですよ!。会う人にしか見てもらえないのはもったいないから(笑)』

とのことでしたが、患者さん本人が『やだよ』とのことでしたので、ホームページには載せていません(笑)。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

9月10日(火

『裏側ブラケットの部分矯正~セットアップ模型通りの結果

 

裏側ブラケットでの矯正治療は、部分矯正でも出番があります。

今回詳しくは触れませんが、表側の部分矯正より適応症が限られますが、もし適応に当てはまればそれこそ見えずに短期間での前歯一列が可能です。

 

さて題名ですが、裏側矯正では歯にブラケットを付ける前にセットアップ模型というものを作製します。

このセットアップ模型というのはいわゆるシミュレーション模型で、一列になった完成の歯並びを先に石膏模型で作ってしまうものです。そしてそこから逆算して歯面のどこにブラケット装置を装着すればよいかを割り出すために作製、使用します。

つまり目の届くところにゴ一ルをまず先に作ってしまうことで、完成形に直結した治療を行っていくことができるようになりるということです。

 

ブラケット装着位置もシミュレーション模型のようになる位置に設定しますから、実際の完成した歯並びもまた当然そのシミュレーション模型に近いものになります。

この”近い”という状態ですが、症例によっては近いを通り越してシミュレーション模型と”全く一緒”といっても過言ではないくらいの状態になるものもあります。

 

先日ブラケットオフになった患者さんもまさに模型通りの結果、仕上がりになりました。

部分矯正でのこのような結果になりやすい症例としては、主として最初の並びが歯のねじれや軽度の前後的なズレである場合が挙げられます。

逆におよそ模型通りだが、少し歯の角度が模型と異なるような症例は、例えば2番目の歯が後ろに引っ込んでいるような凸凹のタイプによく見られます。

歯冠同士は一列になっているが、歯の根っこが冠に追いついてこれていないような状態です。ただとはいっても冠はいい位置に来ているわけですから、一列度合いには問題ありません。

この根っこまで大きく移動させるとなるとそれだけで半年くらいかかってもおかしくはないものです。
一方で部分矯正では治療期間が短いことも大事な要素です。全体矯正なら他のことをしながら根っこの向きを変えていっても、それだけのために時間がかかるということにはなりませんが、部分矯正の場合はそうはいきません。

ですから部分矯正で上記のような症例は、最初に何をどこまで治すかを患者さんとよく相談をします。

 

裏側からの部分矯正はこのところ需要が多い治療方法の一つです。適応症であれば、装置がほぼ見えずに並びの改善が可能です。期間は半年~1年という方が一番多いです。全体矯正の2年という治療期間に比べれば短い期間とも言えます。

ご希望があって適応症であった方には、見えない、短い治療期間での一列の応援をさせていただきたいと思っています。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

6月17日(月

『お昼ご飯にウィダーインゼリーを飲む職場の上司

 

すでにハーフリンガル(上の歯列は裏側、下の歯列は表側)で矯正治療を開始している方の、治療開始前のエピソードです。


中学生頃から凸凹の歯並びが気になりだし、治すなら矯正が必要と分かってはいたもののあの『ギラギラ』したワイヤーの装置が嫌で、以降治療を始めることから遠ざかっていたといういきさつがありました。

その間『矯正するならあのギラギラの装置をしなきゃいけない』が頭の中にあったため、何か別の装置があるかもといった情報収集をしなかったそうです。

ただ、忘れることはあってもどこか歯並びを気にしている自分が常にいたようで、人と話しても自分の歯並びが気になって口を開けて笑えないし、相手の口元ばかりに目がいってしまうという状況で現在に至っていました。

 

そこで題名です。ある日職場の上司が、お昼ご飯にウィダーインゼリーを飲んでいたので理由を尋ねてみると、歯が痛くて物が噛めないとのこと。まさか親知らずですか?と聞いたところ、

『矯正始めたの』

と思いもよらない答えが返ってきたそうです。

患者さんがびっくりしたのは、この上司の歯に矯正装置が付いていない(ように見えていた)のにもかかわらず『矯正治療中』という答えが返ってきたからです。

そこで裏側矯正の存在を知りネットで調べたりして、思い立ったら早かったようですが、現在ハーフリンガルで治療をしている最中です。

ハーフリンガルは下の歯列は表に装置が付きますが、下唇で隠れてしまう方が多くあまり見えません。

『装置が見えることが気になって治療に踏み切れなかった方が治療を開始できて、その後も問題なく過ごせている装置』

とも言えますから、見えない・見えにくいという点においては満足できる類のものだと思われます。もちろん捉え方の個人差はあるとも思いますが、、、

見えない・見えにくい矯正治療を選択する場合、裏側矯正が今のところ最も患者さんのご希望に添える方法だと思います。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

6月5日(水

『やっぱり浅い噛み合わせの反対咬合は治りやすい

 

さて小学生くらいの反対咬合や、交叉咬合、開咬といった不正咬合は、歯並び噛み合わせの問題にとどまらず、後々顎の形を変えてしまいうる不正咬合として、早期のアプローチが好ましいとされています。

 

2月の終わりくらいにそのような、今後の変化を心配されている小学校低学年の女児の患者さんが初診相談に来院しました。

お母さんによれば、かかりつけ歯科医より、前歯が永久歯に生えかわっても前歯が反対の噛み合わせのままだったら矯正治療を考えましょう、と提案されていたとのこと。

前歯が永久歯に生えかわったのは1年ほど前でしたが、そのあと今日まで反対のままであったため来院したといういきさつがありました。

かねてより反対咬合をかかりつけ医より話をされていたためインターネットなどでも調べる機会も多く、初診相談でも『反対咬合は治らないと手術するんですよね!?』と質問があったほどです。

ちなみに中学生以降の反対咬合であっても、程度がよほど大きくなければ手術ということにはならない、というのが実際ではあります。

 

上記のような知識をお持ちであったため、『そのうち治るかも』と思いながら1年間、歯科を受診せず過ごしてしまったことを少し後悔している様子でした。

その後治療を始めることになり、4月の半ばくらいに装置の使用が始まりました。

そして先日使用開始して最初の1か月の診察があったのですが、このとき反対咬合はすでに治っている状態でした。

カチンとと噛んだとき、上の前歯の方が下の前歯より少しでも前にあればそれはもう反対咬合ではありませんから、これをもって治ったと一応言えるわけです。

お母さんとしてはびっくりです。手術のことまでを気にしていた数年来の反対咬合が、1か月で反対ではなくなったのですから。

 

ただ注意点として2つあります。

一つ目はもちろん、=治療終了というわけではないということです。

この装置をトータル1年ほどは少なくとも使用し、上の前歯を下の前歯よりもっと前にしておくことや、『上の前歯が前』にある状態を維持していくことが今後必要です。

二つ目は、この患者さんが『反対咬合が治りやすいタイプ』だったということです。

以前もブログで取り上げた、反対咬合が治りやすいタイプである、

『父母が反対咬合ではない、噛み合わせが浅い、反対の程度が小さい』

という条件を、この患者さんが満たしていたことが早期に治った理由と考えられます。実はこのような条件を満たした患者さんの反対咬合が1~2か月で治ってしまうのは珍しいことではなく、比較的よくあります。

逆にこの条件を満たしていないと改善までに時間がかかることが多いです。一つの装置だけでなく、他の装置、併用、などといったことが必要になります。

 

お母さんの話していたように手術になることは稀ですが、反対咬合は並びの凸凹(叢生)などの不正咬合に比べ、外見や顔の形にまで影響してくる可能性が高い不正咬合であることは事実です。

『治りやすいタイプ』の症状が進行して『治りにくいタイプ』に移行してしまわない、早めのアプローチが必要でしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

5月22日(水

『小学生でマルチブラケット治療ができないのは』

 

初診相談で、

『マルチブラケット治療は中学生以降で行う治療なんです』

とお話しすると驚かれる方が結構いらっしゃいます。

 

基本的には上の言葉通りで、小学生でマルチブラケット治療をすることはほとんどありません。

マルチブラケット治療とは、矯正治療と言えば多くの方がイメージする装置、歯にボタンとワイヤーを付けて行うあの治療のことで、

『仕上げの治療』

と位置付けられている治療です。この治療により、歯並びが一列になり、上の歯と下の歯の噛み合わせも整います。

小学生でも、ブラケットとワイヤーを『前歯だけに付ける』とかいうことは結構したりします。でもこの場合とは少し異なり、上の歯下の歯、生えているすべての歯にブラケットとワイヤーを付ける、ということは小学生のうちにはあまりしません。

 

ここでいう『小学生』の定義は、

乳歯がまだ残っている、

12歳臼歯が生えていない、

上あご・下あごの成長がまだ続いている、

などです。

どれも理由としては重要なのですが、今回は

『上あご・下あごの成長がまだ続いている』

を取り上げてみたいと思います。

 

単純には、

『土台が動いていると、土台に乗っかているものの位置は定まらない』

ことが理由です。

 

たとえば、

中学校に入学した男の子に、成人式で着るスーツを買えない

のと同じような理由です。

でも仮に買ったとしましょう。

現在の身長である160cmに合わせて買ったとしたら、おそらく20歳では小さくて着ることはできません。

じゃあ、大きくなることを予想して170cmのものを買うか、180cmのものを買うか、をしてもいいかもしれませんが、おそらくぴったりのものは買えないでしょう。

20歳になってから部分的に手直しで済めばいいですが、まるまる新しいものを買いなおし、なんていうことも普通にありえそうです。

ですのでどれも適切な買い方とは言えません。

前もって買うにしても、少なくとも体の成長、身長の伸びが止まってから買うべきでしょう。

 

歯並び・噛み合わせもこれと一緒です。

上あご、下あごは成長すると前方に大きくなります。つまりは前に出てきます。

このあごが前に出る程度は個人差が大きくありまして、上あごばかりが前に成長しやすいお子さん、下あごの方が前に出やすいお子さん、両方とも出やすいあるいは出にくいお子さん、など様々です。

 

では仮に、上あごが成長しやすい患者さんにマルチブラケット治療を行い、10歳でいい歯並び噛み合わせが達成されたとしましょう。

治療はもう終わりましたが、この後上あごがさらに前方に成長して出てしまったとしたらどうなるでしょう。

さらに10歳なのでまだ乳歯も残っています。11歳ころに最後の乳歯が抜け、永久歯が生えてきます。その永久歯が思いもよらない変な位置から生えてきたら?

 

でもこの方は『仕上げの治療』であるマルチブラケット治療をもう終えられている方です。11歳になって新たに生じた上記の問題を解決しようと思うと、実はまたマルチブラケット治療をしなければなりません。

これは明らかに2度手間です。

手間が2度だけならそれでもまだいいかもしれませんが、歯に矯正での力つまり外力を加えるのはなるべく期間や回数が少ないほうが、歯の健康という面からみてもいいに決まってます。

ですので、特にマルチブラケット治療のように1本1本の歯の移動量が大きい治療は1回で終わった方が好ましいです。

 

これらを考えれば、土台が動かない年齢や時期になってから、仕上げの治療を行うのがベストという結論になりますし、小学生でマルチブラケット治療を行わない理由になるのです。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

5月18日(土

『中学生、混合歯列の反対咬合』

 

反対咬合といえばいわゆる受け口のことです。

受け口の治療はステージや程度により異なり、

小学生(就学前や小学生の期間)・・・顎の成長をコントロールする治療 ←土台が動くので、動く土台を好ましい位置に導く治療

中学生~成人(程度が小さいもの)・・・マルチブラケット治療 ←土台がもう動かないので、土台の上の歯を並べていく治療

中学生~成人(程度が大きいもの)・・・手術を伴う矯正治療
※中学生~高校生で程度が大きい場合は、10代後半からブラケット治療を始めます。

おおよそこんな感じになります。

 

中学生で、程度が小さいものはマルチブラケット治療を始めてもいいでしょう。

注としまして、

中学生→12歳臼歯まで生えている

程度が小さい→反対咬合でも骨格性の要因が小さく、身内に反対咬合の方がいない、など

等が付きます。

 

先日の相談の方は中学1年生の女子で、少なくともご両親は反対咬合ではなく、程度も切端咬合あるいは2~3歯に反対の歯がみられるくらいでした。

ただ歯列の発育段階として、12~3歳の方で見られうる永久歯列ではなく乳歯(第2乳臼歯)が混じった混合歯列の状態でした。当然12歳臼歯もまだ生えていません。

そうなると、上の記述に当てはめ中学生で程度は小さいものの、即マルチブラケット治療の適応というわけにはいきません。

単純には、

『マルチブラケット装置の適応が12歳臼歯まで生えそろった永久歯列からだから』

ということがそその理由に挙げられます。

一方で反対咬合で混合歯列(体全体としては成長期)の場合、まだ下顎自体が伸びる可能性も秘めています。つまり歯が植わっている土台が動くということです。

なので、現時点で土台の上の歯一本一本をきれいに並べていく、という治療つまりマルチブラケット治療を行うことはありません。

というよりも、現状で反対咬合かつ土台が動きうるのであれば、さらなる好ましくない動きを抑えることをしなければなりません。つまりは、さらに顎が前に出てしまうということを防がなくてはいけないわけです。

 

中学生とくに中学1年生くらいですと、生えかわりの個人差からまだ乳歯が残っているという状況は特別珍しくはないかと思います。他方で12歳臼歯まで生えて永久歯列が完成していてももちろん珍しくはありません。

これに症例としての中身が併されば、治療の内容に差が出ることも然るべきということになるのでしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

5月7日(火

『顎を切る手術で治したい、、、でも矯正治療は裏側からしたい』

 

さて矯正治療は自費診療といって健康保険が効かないことは世間でも広く知れているかと思います。

一方で保険の効く矯正治療もあります。不正咬合の程度が著しく、その改善に手術(顎の骨切りなど)が必要とされる場合、顎変形症と病名が付く場合ですが、矯正治療に保険が効くようになります。

顎変形症の矯正治療には決められた流れがありまして、大まかには、

矯正歯科医院で顎変形症との診断を受ける → 術前矯正治療(手術を行う前の矯正:1年ほど)→ 手術(提携病院への入院:1週間ほど)→ 術後矯正治療(手術後の矯正:1年ほど)→保定(治療終了)

の流れになります。

上記の流れを厳密に踏まないと、保険適応になりません。

つまり、手術ありきの矯正治療ですし、矯正治療ありきの手術ということになります。

 

先日の初診相談の方は当院が初めての相談でしたが、インターネットなどでいろいろと調べてきていて、『手術で治したい』という希望をすでに持っていました。また、手術を伴う矯正治療の場合は、矯正治療が保険の適応になることもご存知でした。

症状としては受け口で、奥歯がのみが咬合、横顔の印象も受け口の方特有の側貌になっており、顎変形症の病名を付けられる程度でした。また、矯正治療は裏側からしたいという希望も持っていました。

 

結果としては、患者さんの希望を叶えてあげられない相談となってしまったんですが、理由としては、

・当院が保険適応の矯正治療を行っていない点

・保険適応になる矯正治療を行おうとすると、表側からのブラケットにしなければいけない点

でした。

 

矯正歯科の専門医院のなかでも、保険治療も行う医院と自費診療のみを行う医院があります。もちろん保険治療というのは虫歯や歯周病の治療のことではなく、上述した顎変形症などの方の矯正治療のことです。
なかなか患者さんもここまで知っている方は少なく、相談で来院しその旨を相談時に伝えられる場合が多いようです。

ですので、顎変形症で手術を伴う矯正治療が適応になると思われる方は、該当の矯正歯科医院で初診相談を受ける必要があります。

 

なので治療そのものに関してはそれでいいのですが、解決できない問題として、

顎変形症(矯正治療が保険適応になりうる症状)であっても、裏側からの装置(裏側矯正)で治療を行ってしまうと保険が効かなくなってしまう

ということが挙げられます。

 

虫歯治療は保険が効くが、矯正治療は保険が効かない。健康保険なので国が治療費の一部を負担してくれるわけですが、虫歯は国が疾患と認めてくれているからこその適応なわけです。
一方で歯並び・噛み合わせの改善は、治療というより美容、という捉えられ方であるため

『国はその費用を負担しませんよ』

となっているのです。

でも不正咬合としての歯並び・噛み合わせが重篤化すれば機能面や日常生活にも支障が出ますから、そうなると疾患として認められるようになりその改善は、美容というより治療、という捉えられ方にもなり、

『国が費用を一部負担します』

となるわけです。

 

一方で歯並び・噛み合わせを改善する際、見えにくい装置として最近では裏側矯正がありますが、裏側矯正が存在している理由のすべては『見た目』です。それ以外の理由はありません。

なので歯並び・噛み合わせを治すだけならば裏側からである必要は全くありません。表側からですべてが治せます。

ですから、顎変形症の矯正治療であっても、

『国が負担する(保険が効く)のは、表側からした場合だけですよ』

という条件が付いてくるのです。

ですので、裏側から見えない装置を使って手術もしたい、となると治療費用から手術費用まですべてが自費診療、つまり患者さん自身の負担となってしまうわけです。

 

でもどうでしょう。

例えば受け口の方が顎変形症の手術で出ている下顎を引っ込めたとします。すると口元の印象というよりは、それを通り越して顔全体の印象がとても大きく変わります。

矯正治療の一環としてのそのような治療があるということを知らない人からすれば(ほとんどの一般の方は知らないと思いますが)、いわゆる、

『整形した』

と思われる程度で変わります。

もしブラケットが歯についているのが表ではなく裏であれば、周りの人は矯正治療であることをさらに知りえませんから、何日間か会社を休んだと思ったら顔が変ってた、顎の骨を切るまでの整形をしたんじゃないか、と捉えてしまうかもしれません。

 

一方で、歯の表にブラケットが付いていて、手術までに1年間の矯正治療をしていたとしたらどうでしょう。今度は国が認めた疾患であり保険治療でもあるわけなので、美容ではなく疾患の治療をするなかで、結果的に見た目も変わるという位置づけになります。

周囲も、手術をしなければいけないほどの深刻な噛み合わせの問題だったんだね、と捉えるかもしれません。何よりも1年も前からブラケットを付けています。それが手術を前提とした矯正治療であることを周りにも告知しやすいと思います。

 

以前の職場で手術を伴う矯正治療を担当していた際、手術を終えた患者さんから、

『顎を後ろに退げただけでここまで顔の印象って変わるんですね。びっくりです。』

と、ここまでは手術をした患者さん全員がおっしゃることなんですが、加えて、

『ブラケットが付いていて良かったです。矯正治療で顎を後退させた、と周りに説明しやすいですから。』

とのこと。

 

裏側からの矯正治療で費用を抜きにすれば、やはり見えずに、矯正治療と気づかれずに結果を得られることは大きなメリットだと思います。

ただそれが手術を伴う矯正治療となった場合には、逆に装置が表に付いていることがメリットと捉えられる一面もあることを、患者さんのお話から知らされました。

 

今回の初診相談の患者さんがどのタイプで手術に臨まれるかはわかりませんが、一応上記のような説明もさせていただきました。

ただ患者さんの側で自費診療になってしまうことを良しとしても、裏側からの矯正治療で手術を行える施設が限られていることも確かです。

まず医院探しが大変かもしれません。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

4月26日(金

『側切歯(前から数えて2番目の歯)を抜いて治療したい・・・後編』

 

前回の続きです。

 

3を2の形にする際、抜髄(歯の神経を取り除くこと)をして、いったん歯をものすごく小さくしてから2の形の被せをすることが必要、ということは照会した歯科医院の先生のお話ですでに判明しています。

 

情報が小出しですが、この患者さんは下の歯並びにも凸凹があり、それを一列にするには抜歯が必要でした。つまり矯正の治療期間ということだけで言えば、上の2番を抜いて上がササっと一列になっても、下がまだ治療中であるため治療自体が早く終わることはないわけです。

よく、『矯正か被せか』で期間のかかる矯正よりも歯を大きく削ってパパっと一列をゲットする被せかが比較される場合もありますが、矯正をしないなら被せで解決ということも考えられるかもしれません。

でもどうせ矯正をするのであれば、被せをせずすべて自前の歯で解決できた方が後々にとっても良いのは明らかです。

なので矯正の立場としては4を抜いて2を表に出してくることを勧めていました。

 

診断を終えたのち、3~4か月音沙汰がなかったので、どこかの歯科医院で被せをして治したのかなと思っていたところ、連絡があり4を抜いて2を表に出す方法で治療を進めたいとのこと。

そして治療が開始され、今に至ります。

このような経過があったこともあり、2を抜歯せず前歯が一列になったことに対して患者さんの喜びも一入でしょう。

なぜ患者さんが2抜歯にこだわったかというと、期間は期間でも、1番と2番が2枚歯のような感じで重なっているのが嫌で、少しでも早く2枚歯の状態を何とかしたかったからです。

4番目はもちろん抜いていますが、2番を残したので、2番は天然の2番で3番も3番です。もちろん3番の神経をとって2番の形にする必要もありません。

 

今回のケースでは2番抜歯でなくてよかったことは、前編冒頭の患者さんの発言ママですが、短期の視点で『良い』ことは大事だとは思います。

でも当たり前ですが、患者さんは矯正装置がついている期間よりも、矯正治療が終わった後の生活の方が長いです。患者さんのバックグラウンドに拠りけりだとは思いつつも、長期の視点で『良い』かどうかという基準もやはり大事だと思います。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

4月23日(火

『側切歯(前から数えて2番目の歯)を抜いて治療したい・・・前編』

 

先日の診療中のこと。

マルチブラケット治療開始8か月を経過した患者さんが、前歯が一列になりその喜びを噛みしめながらポツリ、

『2番目抜かなくて良かった・・・』

 

この患者さんの初診時は叢生(並びの凸凹)で両側の側切歯が2本とも内側に入っており、程度としては『前歯のすぐ隣に犬歯がある』状態でした。つまり、丸々2本分永久歯の生えるスペースが不足している状況です。

 

マルチブラケット治療の抜歯ケースでは、第一小臼歯といって前から数えて4番目の歯が抜歯の適用になることが多いです。

次に第二小臼歯、5番というところでしょうか。

いわゆる八重歯だからといって犬歯(3番)が、あるいは後ろに大きく引っ込んでいるからといって側切歯(2番)が抜歯の適用になることは稀です。

奥歯は噛む機能を主に担う歯ですし、前歯は見た目の要素、審美性を担う歯です。にこっとしたときに歯並びがキレイに見えるのは、前歯を担う1、2、3番の各形態が自然に調和のとれた状態になっているからです。

もし前歯が1、2、3番ではなく、1、3、4番で構成された場合、やはり違和感が出てしまいます。

 

ただこの患者さんのように、側切歯が隙間なく歯列から追い出されている場合、側切歯を抜くメリットというのはあるといえばあります。

それは一列になるまでの時間・期間が大幅に短縮されるという点です。

2番を歯列に入れるために4番を抜いた場合、まず4番を抜いたスペースに3番を退げ、3番が退がったら3番があった場所に2番を引っ張り出してくる、といった行程を経るひつようがあります。

おそらく矯正用のアンカースクリューといった付加装置も必要になるでしょう。

2番が1番の隣に来るまでに1年くらいはかかるかもしれません。

 

一方で、2番を抜いた場合はどうでしょう。一列じゃない歯列の原因はこの2番がはみ出しているからです。なのでこの2番を抜いてしまえば即一列の歯列の完成です。期間にして1日です。

なので、もし、1番のとなりに3番があることが気にならないのであれば、これも一つの方法かもしれません。

もちろん、2と3は長さ、幅、形態、厚み、、、とどれをとっても異なりますから、並びや見た目だけではなく噛み合わせが少しずれるといった問題を生じさせたり、すでに問題がある状態を改善できなかったりといったことが起こり得ます。

 

この患者さんは、内側にある2を抜きたいのだけれど、1の隣には2の形態をした歯があってほしい、という希望を持ち合わせていました。

こうなると方法としては二つです。

4を抜いて2を出すか、

2を抜いて、3を2の形に修正するか、

です。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

4月14日(日

『矯正治療はすぐ始まらない?』

 

先日の初診相談の患者さんです。小学校2年生の女子が患者さんで、お母さんが来院されました。

並びの凸凹と出っ歯さんが組み合わさった歯並びで、治療開始のタイミングとしては今ぐらいがちょうどいい頃合いです。

 

ご本人も装置珍しさ、友達もしている等々あり治療をしたそうです。しかしそれにも増して治療に前向きなのがお母さんでした。

それはこの一言によく表れています。

『この後その装置を付けてもらえるんですか?』

 

矯正治療と一般歯科治療、とくにむし歯の応急処置的な治療とで最も大きく異なるのが、治療開始となるまでの期間でしょう。

『痛い!どうにかして!』

という患者さんを、治療計画を1週間かけて綿密に立てないと処置ができないのであれば、患者さんは痛みを抱えて何日も我慢しなければなりません。なので、痛くて歯科医院に行けばその場で処置をしてもらえます。

 

一方で矯正治療はというと、来院した患者さんの症状が、一分一秒を争う緊急症状であることはまずありません。それは患者さんの方も実はちゃんと分っていて、患者さんが取る初診相談のご予約は数日~1週間後くらいを希望される場合がほとんどです。

逆に、例えば午前にお電話があってその日の午後の初診相談希望という方は稀です。

 

ところで矯正治療は年単位の治療です。

今日何をするという計画ならともかく、何年もかかる治療の計画となれば瞬間的に立ててしまうわけにもいきません。

患者さんも、大事な数年を治療に費やすわけですから『そんなすぐに簡単に、やることを決めてしまっていいの?』と思われるでしょう。

 

ちなみに矯正治療は、

初診相談の回

検査の回

診断の回(検査結果と検査から導き出された今後の方針が決まる回)

歯磨き状況をチェックする回

装置準備の回

装置使用を始める回

 

の順に進みますが(医院によって差はあります。)、どうでしょう、初診相談からこれだけの行程を経て装置の使用が始まります。

初めて目にする、耳にする方はびっくりするかもしれません。ですが、矯正治療の特殊性上どれも省略できない行程です。

冒頭の保護者の方も納得はしていただいたもののやはりびっくりした様子でした。

 

今回は矯正治療の特殊性を『期間』に特化してお話ししましたが、他にも特殊な要素はたくさんあります。

だからこそしっかりとした準備を経て治療開始となることが必要です。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

4月9日(火

『検査多めの1日』

 

春休みなどの長期休みが終わった後の1ヶ月ほどは、休み中に相談を行った方の検査や、休み中に検査まで行った方の診断が多めに予約表に記入されます。

休みごとおよそそのような傾向があるため、長期休みの最終週の数日は、相談、検査、診断の枠を予約表にあらかじめ設けるようにしています。

夕方以降は毎月の患者さんの予約ですでに埋まっていますが、朝〜昼〜午後の時間にかけては、まだ学校が始まっていない患者さんにとっては取得可能なお時間帯になります。

 

先日春休み終了前、この時間帯に検査の患者さんが6組と、1日の検査数としては多めになった1日がありました。

この日検査をした方の中には、春休み中に治療を開始したいという方も何人かいらっしゃいましたが、装置にも依りますが使用開始はゴールデンウィーク明けくらいにはなるでしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

3月20日(水

『春休みのご予約につきまして』

 

だいぶ暖かくなってきました。もうほとんど春ですね。

 

さて世間での春休み期間中(3/20~4/10ほど)、当院のアポイントに関しましても少し混み入った状況となっております。

通院中の患者さまのひと月後のご予約がとりにくいことはありませんが、

初診相談、検査、診断などをご希望の患者さまは直近でのご予約が取りずらくなり少し先となってしまう場合もあります。

特に初診相談ご希望の方は、ご希望の日時から余裕をお持ちいただいてのご連絡をお勧めいたします。

また、現在通院中の患者さまにおきましても、ご予約日時間近でのご変更は、その近日での再取得が難しいこともありますのでご注意ください。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

3月14日(木

『ブラケットオフの患者さんラッシュ』

 

必ずしもこの時期だからというわけではありませんが、ブラケットオフのタイミングがどういうわけか集中する時期があります。

最近はほぼ毎日治療終了になる患者さんがいて、この時期に合わせて言うのであればいわば『卒業』です。

 

上下裏側からの患者さんは、ブラケットを外したからと言って外す前と外した後で見た目が全く変わりません。

でももちろんお口の中からあの煩わしい装置がなくなるのでスッキリ感はかなりあるため、外した後はとてもうれしそうです。

 

卒業した方はその次に新たな入学や入社があるように、卒業したからと言って『終わり』ではありません。矯正治療も一緒で、ブラケットオフ=終わりではなく、ここから始まる行程があります。

それは戻り止め、保定期間です。

なんとまたここから新たな2年間の始まりです。

ただ、矯正治療を終えられる方はこの行程がこれから始まることを知っているので、驚いたりはしません。

むしろ、この行程がとても大事な行程であることも知っているので、『よし、これからリテーナー頑張るぞ』といった意気込みを感じる方さえいます。

 

保定期間の通院間隔は3~6か月です。

毎月来院していた患者さんが、以降はこの頻度になりますから医院としては少し寂しいものがありますが、患者さんにとっては頻繁に通わなくてもよくなるのでうれしい限りでしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

3月10日(日

『犬歯のひっかかり』

 

今回は少しマニアックな話です。

 

歯を抜く矯正治療には、抜歯したスペースに犬歯を後退させていく行程があります。

犬歯は前から数えて3番目の歯です。多くの場合抜歯するのは4番目の歯ですから、4番目の歯があったところに犬歯を移動させるのがこの行程の目的です。

後ろに移動させますから、抜歯したスペースよりももっと後ろの歯、たとえば第一大臼歯などからゴムを犬歯に引っ掛けて引っ張っていきます。

 

大きさや数の比較で言えば、大きい奥2本対そこまで大きくない犬歯1本ですから、奥歯が負けることは通常なく、犬歯が後ろに引っ張られてきます。大人3人対子ども1人の綱引きみたいなものです。

ところが上の力関係を無視して、この引っ張り合いで奥歯の方が前に来てしまうことがあります。子ども一人の力で大人2人を引っ張ってくることは普通出来ませんから、そこには何か見えざる力が働いていることが考えられます。

 

ところで、犬歯にはとある特徴があります。

犬歯は歯の中で一番もちのいい歯、一番最後まで残る歯、などとよく言われています。その理由として、『歯根が長い』ことが挙げられます。

土に植わっている木でも、根っこが短かければ外力によってすぐ倒されてしまうでしょう。歯も一緒です。やはり根っこが長く、骨にドーンと植わっていればその分もちもいいことになります。

 

ただこの根っこが長いこと、これが歯の移動にとってはややマイナスの要素になることも実は少なくありません。

今度は逆に、根っこが短い木と根っこが長く地中奥深くまで張ってる木とでは、どちらが植え替え易いでしょう。もちろん根っこが短い木です。

ということで根っこが長い歯というのは短い歯に比べて動きにくいです。

 

ではもう一度、今度は普通の大人の女性2人と柔道日本チャンピオンの男子中学生1人が2対1の綱引きをしたらどちらが勝つでしょう?

女性2人の方かもしれませんし、中学生の方かもしれません。2対1とはいえど条件が揃えば、1の方が勝ってしまうこともあります。

 

犬歯と奥歯数本の引っ張り合いでもこれが起こることがあります。なので臨床では犬歯を後ろに引っ張っていくだけの行程であっても、安易にやることはできません。

とある患者さんも、2~3か月前通法通り犬歯を引っ張り始めた1か月後、たいして犬歯は後退しておらず逆に奥歯が前方に傾く傾向が。

このかたの犬歯はやはり根が長く、根の先が骨の中のことさら固い部分に引っかかるように位置していたため、根っこの先端を内側に戻す調整と、やや前に来ていた奥歯を後ろに戻す調整を行い、対応しました。

先日の来院では奥歯の位置もそのままで、無事犬歯も後退し始めたので事なきを得ました。

 

でもいざ犬歯が無事目的地まで後退しきっててくれれば、犬歯もまた奥歯の一部となって、今度は前歯を後ろに引っ張る側として参戦してくれます。こうなると手ごわい敵が急に心強い味方に変化することになるため、まさしく昨日の敵は今日の友といったところでしょうか。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

3月2日(土

『ブラケット装置装着5人』

 

矯正治療は、初診相談から治療開始となる装置装着まで少しお時間がかかります。患者さんや治療内容にもよりますが、平均で1~2か月くらいかかるかもしれません。

この3月という時期は年度終わり、新年度の始まりを目の前にしていますので、何か新しいことが始まるきっかけになる月でもあると思います。

なので矯正歯科でも初診相談で来院される方が多くなります。

始める気満々で来院され、出来ることなら明日からでも装置を付けたいと言われる方もいらっしゃいます。ただ、とても申し訳ないのですが、矯正治療は昨日初診、今日治療開始、ということにはなかなかなれません。

 

およそどこの矯正歯科でも同様かと思いますが、治療が始まるまでは、

初診相談→検査→診断→歯磨き指導の回→装置準備の型どりなど→装置装着

という行程を踏む場合が多いです。

上はどの矢印も同じ長さですが、次の行程に進むまで1~2週間かかるものや1~2か月かかるものもあるので、初診相談から治療開始となるまでには少なくとも1か月くらいは期間を見ることが必要でしょう。もちろんこれは各医院によって差はあると思います。

 

しかし最近ではこのような順序で治療が進むことを患者さんもすでに知っていて、この時期に装置が付けれたらいいなぁという希望に対して、上の必要期間を逆算して来院される方が多くいらっしゃいます。

そのような意図はなく、偶然この3月という時期に装置装着となった方もいれば、この春休みのうち、新しい職場で仕事が始まる前に装置を付けておきたい、装置に慣れてから新生活に臨みたい、と考えてこの時期に装置装着となる方もいます。

 

この日装置装着となった方のうち2人は4月から新学年、2人は高校へ進学、一人は社会人と、いずれも新生活目前の方たちでした。こう書いては見たものの、学生であれば4月から新学年はさほど珍しいパターンはないですね。

ただ装置装着はは、装着された位置でその患者さんの歯並び・噛み合わせが決まってしまうので、とても神経を使う処置です。その内容が日に5症例あるとちょっと疲れます(笑)。

 

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

2月26日(火

『小学生5年生くらいまでの八重歯は歯を抜かずに治りやすい~その1』

 

今回は上のテーマの導入として、前歯の凸凹や出っ歯さんの成り立ちについて書きたいと思います。

 

日々臨床をしていて一番多いと感じる小児の不正咬合は、

①前歯の凸凹

②上の奥歯が前に来てしまっている

③場合によっては出っ歯さん

であり、

①と②はほぼ確実に併せ持っていて、場合によっては

①と②に加え③も併せ持っている、

という場合がほとんどです。

 

成り立ちとしては、②が何らかの理由で起こってしまい、結果①や③という形で表現化するというものです。

『一番前の隣の歯(側切歯)が後ろから生えてきた』

ことで『前歯の凸凹』という形が出来上がりますから、前歯の凸凹を主訴に来院される小学生の方は、上の側切歯が生え始める小学校2年生くらいであることが多いです。

 

奥にとどまっていて欲しい奥歯が前に来てしまうと、前方にある歯をもっと前に押してしまったり、あるいは前方の歯が生えるスペースを奪ってしまうことになります。

奥歯が前に来てしまうことで、

前方にある歯をもっと前に押してしまえば③の出っ歯さんになりますし、

前方の歯の生えるスペースを奪ってしまえば①の凸凹になってしまいます。

なので凸凹や出っ歯さんという不正咬合は、本来奥にあるはずの奥歯が前に来てしまったことの表現型の違いということになります。

 

ではこのような最も多いタイプの不正咬合、治療開始のタイミングは?というと、

上記の小学校2年生くらいで矯正歯科を訪れた場合、そのタイミングが子どもの治療開始として『適した』タイミングであることが多いです。

 

次回はその理由について書きたいと思います。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

2月26日(火

『前回のブログの反応』

 

前回のブログを読んだ通院中の患者さん数名から、

『あのブログの患者さん結局どうなったんですか?』

『治療をすることになったんですか?』

などなどと質問をされましたので、追記したいと思います。

 

矯正の患者さん同士、やはり矯正治療を始めるまでに至るきっかけや考え、いきさつには違う点もあれど共通点も多々あります。

患者さんのなかには、まさしく

『私も今になって治療をするまでは中学生の頃にやっておけばよかったと思っていたうちの一人。でも結局は今でよかったとも思う。』

という方がいました。この方はすでにブラケット治療は終わり、現在リテーナー(戻り止め装置)を使用中です。

 

確かに中高生の頃にやっておけば、今キレイな歯並びだった可能性はあります。

『だった可能性?』

『だったでしょう。』

ではないの?

と鋭い方は思われるかもしれません。

前回書いた”治療へのモチベーション”は、実は治療中だけでなく、治療終了後にまでも保っておく必要があるのです。

なぜなら矯正治療には治療後の”後戻り”の可能性があるからです。2年間の治療後には、2年間以上の保定期間という、今度はキレイな歯並びを保つ期間が続きます。

今度はつけっぱなしの装置ではなく、患者さん自身で付けたり外したりができる装置です。付けっぱなしではないので一見楽に思えますが、逆に『維持』の管理が患者さん自身に委ねられることになるので、付けっぱなしの装置とは別の大変さが生まれます。

サボって付けなければせっかくの並びが崩れてしまうし、しっかり管理して装着を続ければ歯並びは維持されます。

保定装置の継続使用、これこそ高いモチベーションのなせる業でしょう。

 

上の患者さんの言葉ですが、

『あの頃なんとか矯正していても、絶対リテーナー(戻り止め装置)は真面目に使わなかったと思う。』

今やりたくてやって、やっと手に入ったものだから、ずっとそれを持っていたいと思う。

ここまでの気持ちがあってやっと維持までうまくいく。矯正治療はなかなか大変です。

 

前回のブログの患者さんですが、もちろん治療開始にはなっていません。やはりご本人が治療をしたい、治療の必要性がある、という気持ちに至っていないのが大きいでしょう。

海外に行くなら歯並びはキレイな方がいい、頭では分かっているものの周囲から言われる言葉よりも、自分の中から湧き上がる感覚や理解であった方が行動にもつながりやすいということだと思います。

実際に、中高生の頃に矯正を終わらして、その後保定装置の使用が甘く後戻りをしてしまい、再治療をしたく当院に来られる方もいらっしゃいますから、キレイな歯並びでずっといたい、という気持ちを、他の色々なことに消されてしまわずいつまで持ち続けていられるか、が歯並びの末長い維持には大事な要素だと思われます。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

1月30日(水

『いろいろな不安を持っていたセカンドオピニオン』

 

昨年夏くらいから、ひと月の初診相談のうち1〜2件ほどセカンドオピニオンの方がいらっしゃいます。

本日来院した患者さんは高校生女子、マルチブラケット装置が装着されており、すでに治療期間は3年を超えているという現状でした。

 

3年前の治療開始時の主訴は凸凹と出っ歯でした。患者さんの強い希望で非抜歯の方針で治療を進めてきましたが、凸凹は改善したものの、口元の突出は以前よりも増えた気がするという現状です。

なので患者さんとしてはまだ『出っ歯が治っていない』という認識でいたところ、4月から矯正担当医がその歯科医院に来れなくなるということで、治療終了の申し出を受けたため、どうしたらいいか分からなくなり、当院のセカンドオピニオンを受診したという経緯でした。

 

多くの不安を抱えられていましたが、

一つは、治療の継続のことです。

やはりこの現状で治療終了としたくはないとのことで、なんとか出っ歯を治して終わりたい。なので治療の継続をしてほしいが、やはり歯は抜きたくない。

一つは、費用面です。

前院では通院毎で診察代が発生する費用体系だったとのことで、3年通院したことで一般的な矯正治療にかかるお金をすでに費やしている現状であるため、続きを他院でするにしても0からの費用をかけることが難しい。

一つは、期間です。

すでにマルチブラケットをつけて3年を経過しています。今後”真”の治療終了となるまでの期間さらに装置をつけ続け(つまりは歯に力を掛け続け)、歯は大丈夫か。虫歯や歯周病も心配とのこと。

さらに一つは、進学です。

4月から高校3年生、大学受験をするため夏には受験勉強が本格化しますから、治療が勉強の負担になるかもしれないという点、さらには来年の3月で治療が終わらず遠方に転居となった場合、さらにまた転院ということになってしまう。

などの不安を挙げられました。文章での事実の列挙だけですとなかなか伝えられませんが、お母さんの切迫感はなかなかでした。

どの不安も、解決にあたっては一筋縄ではいかないものばかりです。

 

患者さんも、患者さん側の要素として治療終了や中断、転医などとなる分にはある程度踏ん切りがつくかと思いますが、矯正医が突然来れなくなるから、では諦めもつきません。

矯正治療は長丁場です。子どもの治療では、6〜7歳から治療が始まる場合、13歳で達成されるべき良い歯並び・噛み合わせを逆算して、担当医が治療計画を立案します。

13歳でここを目指すから11歳ではこの装置を使う、11歳でこういう状態でその装置を使うなら9歳ではこう、9歳がそうなら7歳は、、、と言った具合に、全ての行程には連続性があります。

矯正装置はその種類が山ほどあります。なので担当医ごとで、よく使う装置や全く使わない装置もあれば、使用して多くの効果を認めている装置やほとんど使用しない装置で有効性を確認できていない装置などもあります。これは子どもの治療にとどまらず、マルチブラケット治療でも同様です。

なので、装置の転医先で前医の治療計画が全く引き継がれないということも往々にしてあります。

となると治療計画がガラリと変わりますから、患者さんにとっては新たな担当医から思いもよらない提案をされたり、、、などということもありえます。よくあるケースとしては、実は今回もそのケースに含まれますが、前医では抜かない方針だったのに、転医先では抜歯をしないとできないと言われた、、、等です。

 

このような治療計画の一貫性ということはもちろんですが、医院が変わると費用もまた振り出しに、、、ということさえもありえます。

矯正治療はこのような特徴を持ったある意味”特殊”な治療です。避けられない状況もありますが、出来るだけ『治療終了まで』を見通せる医院で治療を開始できるのがベストだと思います。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

1月19日(土

『意外に知られていない、『乳歯の虫歯』と歯並び・噛み合わせとの関係

 

僕も学生の頃大学の講義で聞いて驚いた記憶があります。

『虫歯が歯並び・噛み合わせに影響を及ぼす』

ことがあるのです。

キーワードは、『場所取り』です。

 

最近は世間、お父さんお母さんの歯への関心の高まり、デンタルIQの向上から、フッ化物の使用率や定期的な(虫歯がなくても)歯科医院への受診率も上昇しており、結果子どもの虫歯率は大幅に減少しています。

なので昔ほど、虫歯がよくない影響を及ぼした結果の不正咬合を見なくはなりましたが、それでもやはり、初診相談に来られる方には一定割合でそれ由来の不正咬合が見られます。

 

虫歯になると歯に穴が開きます。

小さい穴ならいいんですが、初めは小さくても進行すると穴は大きくなっていきます。穴が大きくなると歯のサイズがその分小さくなることになります。

 

乳歯にはいろいろな役割がありますが、その一つに、永久歯に取って代わられるまでの場所取りというものがあります。

乳歯の下からはしかるべきタイミングで永久歯が顔を出します。その際、乳歯にしっかりと自分が入り込むためのスペースを確保してもらっていないと、生えてくることができません。生えてきたとしても歯列からはみ出してしまい、凸凹の歯列になってしまいます。

はみ出して不正な位置に追いやられた永久歯は、もちろん相手の歯と上手くかみ合うことができませんから、これは噛み合わせの問題にも発展します。

 

話をつなげますと、虫歯などで乳歯が小さくなってしまうと、それはイコール次に生える永久歯のの生えるスペースを奪ってしまうことになるため、

『乳歯の虫歯は歯並びや噛み合わせの不正に発展する』

と言うことができるのです。

 

乳歯の奥歯は、2歳くらいで初めてお口に姿を表してから、永久歯への交換で抜けるまで、およそ10年間そこに居続けることになります。

ぜひとも乳歯本来の役目を全うさせ、次の永久歯に正しくバトンタッチをしたいものです。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

1月16日(水

『ハーフリンガルでブラケットオフになった患者さん

 

さて、コボブログでも度々登場している『ハーフリンガル』。

上の歯列は裏側、下の歯列は表からブラケット治療を行う方法です。その特徴やメリットやデメリットはこちら(見えない裏側矯正)をご覧ください。

 

『思ってたよりも早く終わったので、あっという間でした。』

 

カルテを見るて2017年の7月にブラケット装置を装着しています。なのでこの1月で治療期間ちょうど1年半でした。社会人の方で、途中3ヶ月ほど転勤で来院できなかった期間があったことを考えれば、治療期間的にはまずまずでしょう。

やはりカルテを見ると、1年2ヶ月くらいから、ブラケットの位置を変えたり、ワイヤーを曲げたりして、見た目や噛み合わせの仕上げになる歯の細かい位置の調整をしていたので、およその”形”には1年ほどでなっていたことになります。

この方の初診状態は、下の歯列は比較的一列、上の犬歯は丸まる2本分の八重歯だったので、上の小臼歯を2本抜いての治療でした。

 

これもちょこちょこ触れていますが、凸凹の程度が大きい歯列で、その改善方法を抜歯で行う場合、つまり歯を抜いて歯列を一列にしたら、抜いてできたスペースが全て埋まり終わっていた場合、治療期間は短くなる傾向があります。

歯を抜いて治療を行う場合、抜いてできた隙間は、

①まず凸凹が一列になるために使われ、

②残ったスペースを使って前歯を後ろに引っ込めて

閉鎖します。

①で自然に閉鎖されるのがスピードとして最も早い消費のされ方です。

一方で、②でスペースを閉鎖していく行程は時間がかかります。

なので症例でいうと、同じ抜歯症例だけれど、凸凹が多い方よりも、凸凹が少なく一列なんだけど出っ歯、という方の方が治療期間は長くなります。

今回オフになった方は、抜いたスペースの『全て』が凸凹が一列になる過程で消費されるので、隙間の閉鎖のされ方としては最も速度の早いパターンと言えます。

 

期間の話はさておき、今回の患者さんは治療開始前フルリンガルにしようかハーフリンガルにしようか迷っていましたが、ハーフリンガルでの開始となりました。

気になる下の歯の装置の見え方はと言えば、これはハーフリンガルで治療を始めた人のほとんどが装置装着のその日、家でしていることのようですが、『スマイルの練習』をすることで治療期間を通して目立つこともなかったようです。

スマイルの練習とはなにも大げさなものではなく、ここまで口を広げると下の装置が見える、ここまでなら見えない、というセルフチェックのようなものとのこと。

下の装置というか下の歯列自体、よっぽど大きく口を開けても見えることが少ないです。

こちらを参考にどうぞ。

 

中学生以上の矯正治療はマルチブラケット治療が主となります。当院では、

通常の装置をを使ったブラケット治療

ホワイトブラケットとホワイトワイヤーを使ったブラケット治療

上は裏、下は表のハーフリンガル

上下裏のフルリンガル

がありますが、

成人の方では、ハーフリンガルを選択される方が最も多いです。

『上の歯列の装置が見えない』=矯正中であると気付かれにくい

というのは患者さんにとってとても大事な要素であることの表れでなのしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

1月7日(月

『裏側矯正のお問い合わせ

 

年末にかけて多かったのが、裏側矯正についてのお問い合わせでした。

ちょうどその時期にホームページの改装中だったこともあり、当院のホームページから発信できる情報が減っていたせいか、直接お問い合わせをいただくことが多かったのかと思います。

 

また以下のサイトに情報をまとめてありますのでご覧ください。

見えない裏側矯正

裏側矯正の知りたいこと

矯正のギモンー裏側矯正って?

 

裏側矯正は、

『矯正したいけど、ギラギラ目立つ装置はつけたくない』

とお考えで、少し治療に躊躇されている方にお勧めできる方法です。

ハーフリンガル(上は裏、下は表)であれば、見えないポイントは押さえつつも費用も抑えられるというメリットを享受できます。

もちろん絶対少しも見えたくない、という方にはフルリンガルがありますが、費用が少し高くなってしまうのが難点です。

 

また、部分矯正を裏からしたいという患者さんもやはり多くいらっしゃいます。ただし、全体矯正の裏側と比べて、部分矯正の裏側は適応範囲が限られる点が注意を要する点です。

これに関しましては、お口の中を拝見してから、部分矯正を裏からできるできないが判定されます。

 

現在上記リンク先が閲覧できるようになっていますが、引き続きご不明な点があれば直接お問い合わせいただければと思います。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

8月10日(金

『反対咬合の診療が多かった一日

 

一日の中で同じような診療内容や症例が重なることはよくあります。

この日は反対咬合の患者さんが多い一日でした。

 

その日の朝の時点で判明している反対咬合の診療は4件。

午前中の診断で1名。

午後の診療で3名。

うち一人はプレオルソ、一人はムーシールドを使っての治療でした。舌癖の除去に加え、プレオルソの方が下顎の位置づけをする分、治りが早い気がします。

午後の反対咬合のもう一人は治療途中での経過報告を相談室にて行いました。本日はお話のみの回です。

子どもの歯並び噛み合わせは、土台となる顎の成長や、土台の上の歯の生え替わりなど変化が目まぐるしいため、治療の効果や経過、進捗などと併せ、半年に1回ほどこれらを保護者の方に報告する場を設けています。

子どもの治療はどうしても経過が長い治療になります。

毎回の診察の後には必ず、その日に行ったこと、現状での起きている変化や効果などは説明していますが、患者さんやその保護者の方にとっては、症状が最初と比べてどう変わったのか、これからどのタイミングで何をしていくのか、いつまで治療が続くのか、などなど治療中にはいろいろな不安が付いて回ります。

なので定期的にこちらが経過をお話しするというよりは、定期的にお話をお聞きする場を設けることで、長い治療期間と上手にお付き合いいただくことだ出来るような環境を作るようにしています。

 

これだけでも全ての診療に占める反対咬合の割合は多めな一日と言えます。

一方でこの日は初診相談が4件入っていました。4件ともお電話での予約の方だったため、どのような主訴(気になるところや症状)での相談かは当日朝の時点では分かりません。それぞれ来院されたところ、

午前の1件の相談は成人で開咬の患者さんでした。

そして午後の3件は全て反対咬合の相談でした。

反対咬合の診療が多めに入っている日に、初めて来院された方の咬合もこの日に集めたかのように反対咬合が多い、という偶然。

このことに気付いたのはその日の診療がすべて終わってからで、『あれ、そういえば今日反対咬合多かったな』と調べてみたらこうでした。

 

ただひとえに反対咬合と言っても、子どもなのか、子どもでも就学前か低学年か、高学年か中学生以上か、男子なのか女子なのか、成人の反対咬合でも程度が大きいのか小さいのか、親知らずはあるのかないのか、主訴で気にしているのは歯並び噛み合わせだけなのか、下顔面の形態も気にしているのか、、、

などなどバックグラウンドが異なると、症状に対してのアプローチの仕方も異なるため、話す内容もそれに合わせて変化してきます。

なのでそれぞれの相談の方で、あまり似たような内容になっていないのも不思議な感じがします。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

7月18日(水

『年齢が上がると歯が動きにくくなるのは本当?それとも都市伝説?

 

さて最近猛暑日が続きますね。例年だと、この時期でも裾野では就寝時クーラーいらずのはずなんですが、今年はちょっと事情が違うようです。

 

『年齢を重ねると歯は動きにくくなる』

『若いほうが歯が動きやすい』

相談をしていると患者さんの方から口にすることも多いので、どこかでこんなこと聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。

 

そもそも歯を動きやすくする、にくくする要素はたくさんあります。

不正咬合(噛み合わせ)の種類、骨格のタイプ、咬合力、年齢、、、もっと細かいところでは、歯根の長さ、形態、歯槽骨の幅、硬さ、上顎洞の位置、喫煙などの習慣、、、

などなどです。

レントゲンを撮ってみないと分からない要素もある中で、年齢は高いか低いかだけで、自分がどちらのグループに属するかは患者さん自身で判断できそうな要素ですから、まず気にかかる要素になるのでしょう。

 

ではそもそも年齢を重ねると、本当に歯は動きにくくなるのでしょうか?

実は、なります。

分子生物レベルでの実験結果から、論文などですでにその仕組みも詳しく判明しています。ただ、人で人体実験は出来ませんから、ラットを用いた歯の移動実験でということにはなりますが。

簡単に要旨を説明しますと、次のようになります。

 

歯が移動する際には、”歯を移動させる細胞”が歯の根っこの周りに集まってくることが必要です。この細胞、普段は歯の周りにはいません。歯に矯正などの力をかけると集まってきます。

この”歯を移動させる細胞”が集まってくる(呼ばれてから集合するまでの)速さが、年齢が若いと速いです。また、それぞれの細胞の活きもいいので、少ない数の細胞で仕事をこなせます。

一方で年齢が上がると、この細胞が集まってくるスピードも遅ければ、よりたくさん集まらないと同じ量の仕事がこなせません。

 

単位は適当ですが数で表してみますと、

年齢が若いと、歯を動かすのに必要な1000個の細胞が1日で集まってくる。

年齢を重ねると、1000個の細胞が集まるだけで2日かかるが、歯が動くにはさらにあと1000個の細胞に集まってもらうことが必要(動くまでには4日かかることに)。

繰り返しますが、単位は適当なので個数とか日数はこの通りではないですが、年齢が上がると歯が動きにくくなる理由がお分かりいただけるかと思います。

 

上にも書きましたが、歯の動きやすさには他にも色々な要素がありますし、さらには治療期間ということになると、それを左右する要素はもっと多岐に渡りますから、年齢だけで治療期間の長短どうなるかは判断できません。

 

とはいいつつもやはり一般的に言って、年齢の若い場合の方が歯は動きやすく結果治療期間も短い傾向にある、というのはその通りだとも思います。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

6月23日(土

『裏側からの矯正は口元が引っ込みやすい?』

 

気付いたら今月のブログの内容は裏側矯正に関するものばかりでしたが、今回も裏側矯正についてです。

初診相談の際、複数の患者さんから同じような質問をいただくことがよくありますが、そのようなことがあるとすぐブログでも取り上げたくなってしまいます(笑)。

 

『裏側から矯正をすると、前歯が退がりやすいと聞きました。私の前歯も退がりやすくなりますか?』

質問された方は、インターネットの裏側矯正紹介サイトのようなページから情報を得てきたようです。

 

裏側矯正では前歯が退がりやすい、、、果たしてこれは本当なのでしょうか?

回答としては、合ってもいるし間違ってもいる、患者さんのイメージする『退がる』と実際の『退がりやすい』が同じではない、という感じになります。

 

まず原則として、前歯は後方にスペースがなければ後退できませんから、前歯が後ろに退がるのは『後方にスペースを獲得した時』ということになります。

なので裏側矯正をすれば小臼歯抜歯や遠心移動をしなくても、裏側矯正というだけで前歯が後退できるというわけではありません。

患者さんの考えとして『裏側矯正をすれば抜歯をしなくていいのかも、、、』ということがあるかもしれませんが、これは少し違うところです。

 

では前歯が『退がりやすい』とはどういうことなのかというと、これはむしろ施術する側が気にしなければいけない内容で、注意しなければいけない点です。

裏側矯正では抜歯スペースに前歯を引っ張ってくる際、歯の裏側にブラケットがついているという性質上、とても内側に倒れこみやすいです。前歯の移動距離が大きい(よりたくさんの量前歯を後退させる)人ほど、その倒れこむ引きしろは大きくなります。

なので『退がりやすい』というよりは『倒れこみやすい』という方が的確な表現ですが、この倒れこみは程度にもよりますが、治療上好ましくない現症であることが一般的です。

逆に倒れこみを起こさせずに後退させることが、理想的に求められる後退のさせ方だったりします。(もちろん計画的に倒れこませることもあります。この場合の倒れこみは必要な倒れこみと言えます。)

前歯の倒れこみが大きくなってしまうと、それは小臼歯のあたりまで別の影響が出てしまっていることが多く、治療中とはいえ好ましい状態ではありません。

 

ただ、やや前歯に凸凹があって、それを一列にするための小臼歯抜歯をしたりしない場合、表側に装置が付いていると『バンッ』と前歯が前に張り出して並びますが、裏からのアプローチだと前に出にくい、ということはあります。

なので患者さんが想像する『前歯の退がりやすさ』とは異なるとは思いますが、一列にした際の前歯が『出にくい』要素は持ち合わせているとは言えることにはなるでしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

6月15日(金

『裏側からの矯正あるある』

 

つい先日、裏側からの矯正治療(リンガル)を終え、保定に移行した患者さんです。

 

裏側に限らず、マルチブラケット治療の終盤はディテーリングといって、細かい歯の位置や噛み合わせの調整をする期間に充てられます。

この段階までくれば抜歯した方でも隙間は閉じているし、パッと見キレイな歯並びは達成できているような状態になっています。

ですから、いざ装置を外すときの状態と、そこからさかのぼって3~4か月くらいの前の状態とでは、患者さんがご自身で自分の歯並びを鏡で見て、感じ取れる大きな違いはないかもしれません。

 

では表側矯正と裏側矯正の方で比べた時、治療終了となり実際に装置を外した時と、外す前(直前でも数ヶ月前でも)とでの患者さんの感じ方に違いはあるのでしょうか?

実はこれ、とても大きく違います。

 

まさに今、装置を外そうとしているような歯並びが一列になった段階でも、歯のおもて側にブラケット装置がついているといまいちその一列具合を実感できません。ブラケットの厚みの分、口元も少し張りが出ている場合もあるくらいです。

なのでブラケットオフの診療回でも、まだ装置のついている来院時と装置が外れた退院時とでは、ご本人の歯並びに対する見た目の感じ方はかなり大きく違ってきます。

 

一方で裏側、特に上下歯列ともに裏側から治療をしてきた方はどうでしょう。装置を外す数ヶ月前からはすでに歯並び・噛み合わせとも完成に近い状態です。

上下裏側からの場合、当然歯のおもてにブラケット装置は付いていませんから、外からの見た目で言えば、すでに装置は外れている状態と同じです。

ブラケットオフと言っても、見えない歯の裏に付いている装置を外すだけですから、外した後と前とで、外からの見た目は全く変わりません。

なので装置をオフし、鏡を見た時におもて側からの治療の方にある『うわぁ~!』という驚きが裏側の方にはほぼほぼありません。邪魔な位置にあったブラケットがなくなり、『あ~スッキリした!』と感じている方はたくさんいます。これはおもて側の方も一緒ですが。

 

治療期間中装置が見えない、見えない位置にあるから歯の移動の経過や結果をダイレクトに実感できる、これは裏側矯正のメリットでもあるんですが、オフ時にその並びを見てもあまり驚かない、、、むしろ『うん、知ってた』くらいのリアクションは、ブラケットオフの時に裏側矯正の方にあるあるな光景です。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

6月10日(日

『最初からフルリンガル(上下裏側からの矯正)を希望』

 

先日診断を終えた患者さんです。

 

裏側からの矯正を始める患者さんは、裏側から始めることを来院当初から決めていることが多い傾向にあります。

目立ちにくいホワイトにしようか、見えない裏側にしようかで迷って裏側にする、という方は意外に少ないです。

一方で、裏側からと決めている方でも、上下裏のフルリンガルにしようか上は裏下は表のハーフリンガルにしようかを迷う方は多くいらっしゃいます。

下顎の歯列は歯列そのものが下唇に隠れて見えにくいこと、下の裏に装置を付けた場合上の裏よりもやや違和感があること、ハーフリンガルの方が費用が抑えられること、等々の点からハーフリンガルという選択の魅力は大きいのだと思われます。

 

ところで実は、『下の歯列は見えいにくい』のは万人のかたに共通な特徴ではありません。主に出っ歯さんで上の歯列が出ていて、相対的に下の歯列が引っ込んでいるようなタイプの方ではよく見られる特徴です。

逆に下顎前突や受け口とまではいかなくても、やや骨格的に下顎が出ているような方の場合、上よりもむしろ下の歯列の方がよく目立つなんていう場合もあります。

 

今回の患者さんはご自分の歯列の特徴をよく捉えていて、

『私は下の歯列の方がよく見えてしまうので、上はもちろん下も裏からやりたい』

と相談の時点でお話をしていました。

 

ただ診断の際も下の裏に装置を付けた場合の違和感を心配していましたが、表に付けた場合も少なからず違和感はありますし、上の裏に装置を付けてその違和感にびっくりしていた方が、『なんだこんなもんか』と下の裏に装置を付けた際には言っていた、なんてこともありますから、感じ方の個人差はありますがそこまで過敏になる必要もないのかもしれません。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

5月18日(土

『治療終了(ブラケットオフ)、続々と。』

 

当クリニックは2016年の7月開院ですので、現在開院から2年弱を経過したことになります。

矯正治療の経験者の方はご存知の通り、矯正治療は仮に治療する気まんまんで矯正歯科医院を受診しても、

初診相談

検査(後日)

診断(通常、検査から1~2週間後)

医院によっては歯磨きチェックの回など

用いる装置によっては装置準備のための歯型を採取

やっと装置装着、治療開始。

のような行程を進んでいただくことになるため、むし歯の治療のように来院日=治療開始日のようになることはありません。

患者さんによっては治すべきむし歯があったりすれば、装置装着はその虫歯を治してからになりますから、上記にさらに1行程プラスしてやっと治療開始になります。

いろいろな都合がうまくつけば、初診相談からひと月未満で治療開始となる場合もありますが、だいたいはひと月~ふた月後に始まる場合がほとんどです。

 

なので開院後、当院で一番早く装置を装着した方でも、8月終わり~10月ころとなっていました。

しかもこの時期にスタートした方たちは、開院というスタートラインが決まっていた状況だったので、『どどっと一斉スタート』という形で治療開始となった方たちでした。

 

そこから1年半ほど経過した現在、今度はどどっとブラケットオフの時期を迎えています。

本日だけで2組、今週もう1組、来週以降も予定あり、さらにブラケットオフのためのリテーナー印象のアポイントも何件か入っているため、今後続々とオフが続くことになるでしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

5月7日(月

『メール相談~非抜歯矯正でのセカンドオピニオン』

 

GWの休診中にメール相談を何件かいただきました。うち2件がセカンドオピニオンに関するものだったので少し触れたいと思います。

 

さて『非抜歯矯正』という言葉を、主にはインターネット上でよく目にします。

『そちらでは非抜歯矯正はやっていますか?』

という問い合わせはこれまでにもあります。

 

マルチブラケット治療において抜歯か非抜歯かはその症例によります。『詳しく分析したり、患者さんの主訴をうかがったりして、必要なら抜歯、そうでなければ非抜歯』ということになりますから、当然非抜歯矯正やっていることになるわけです。これはどこの矯正歯科医院でも同じでしょう。

一方で上のお問い合わせは少しニュアンスが違います。どちらかというと『そちらは全ての矯正を非抜歯にて行う、非抜歯専門医院ですか?』というくらいの意味合いが含まれています。

実際ネット上で”非抜歯 矯正”と検索すると、非抜歯専門でやっている旨を紹介しているサイトも多々見受けます。

 

近年ではアンカースクリューの普及もありますから、並びの凸凹がある場合の抜歯の必要度は確かに下がっていると言えるでしょう。

しかしその程度が大きい場合や、口元の突出が主訴である場合などはやはり抜歯が必要となる場合も多いです。

 

そこで本題に戻ります。

相談の方は現在ブラケット治療後2年を経過した方です。当初より並びは一列に近くなったものの、犬歯の八重歯感がまだぬぐえない、上下の前歯が当たらなく出っ歯になった感じがする、奥歯で噛みにくいということを主訴としていました。

添付いただいた写真で判断すると、臨床的には、叢生、前歯部開咬、上顎前突、臼歯部鋏状咬合という診断名をつけることが出来る状態でした。

治療前には叢生だけだった悩みが、治療によって開咬や出っ歯、奥歯でものを噛みにくいなど、いくつにも増えてしまった現状です。

 

歯の移動は魔法ではなく、単純な物理の法則に従っている面も多々あります。はみ出している歯が歯列に戻るためには、戻るためのスペースが必要です。

スペースの獲得方法は、

1.前方への拡大(前歯を出して歯列の外周を広くする)

2.側方への拡大(歯列の幅を広げて歯列の外周を広くする)

3.後方への拡大(いわゆる遠心移動)

4.IPR(歯の側面を数歯に渡ってやすりがけをします)

5.抜歯

があります。

手っ取り早いのは1や2です。はみ出している歯にブラケットを付けてワイヤーを通せばおのずと1や2をしたことになるからです。つまり歯列は側方に大きく拡大し、前歯は出ます。

はみ出していた歯が歯列に入ったというよりは、はみ出した歯の位置まで他の歯が出てきて大きな外周を描いて並ぶようなイメージです。

一般的に前歯がもっと前に出るのは審美的にも好ましいとはされませんから、抜歯をしない場合のスペース獲得方法は、適度な側方への拡大とIPR、必要量の遠心移動が必須となるでしょう。

1や2はブラケットとワイヤーがあれば誰でも施術できますが、3の遠心移動には技術が必要です。つまり、鋏状咬合や開咬、さらには前歯が大きく出てしまう仕上がりに技術は必要ありませんが、そうはならずに非抜歯で重度の叢生を治すには技術のみならず患者さんの生体側の条件など他にもいろいろな要素がそろっていることが必要なのです。

 

非抜歯で治療可能という言葉の響きはとても良く聞こえますが、患者さんは治療前に、ご自分の治療がどういう方法で行われるのか、提案された方法だと仕上がりはどうなるのか、などなどをしっかり確認することが大事です。

またその医院で治療するしないは別として、初診相談の段階で数軒の専門医院を受診してみて広く専門家の意見を取り入れてみてもいいと思います。近々結婚式があるとか、就職活動が始まるといった事情は別として、矯正治療はその開始のタイミングが”一刻を争う”ことは稀です。開始が1か月2か月先、あるいは半年1年先になったとしても、『1年前だったらこの方法で治療出来たのに、時間が経っちゃったからもう出来ないよ』となることはほとんどありません。
子どもだったり、成人でも5年10年経過していれば話は変わりますが、、、

 

患者さんの側でも『本来抜歯のケースを非抜歯で治す試みは、治療の難易度を上げることが多い』ということを把握している場合が多いと思います。

受診した全ての歯科医院で『これは抜歯でしょう』と言われれば、どうしても抜歯が必要な症例んだと思うかもしれません。

一方で複数の歯科医院で抜歯と言われたが、一つの医院で非抜歯で出来ると言われたのであれば、抜歯での治療を提案された歯科医院で受けた”非抜歯では出来ない理由”をぶつけてみるのもいいでしょう。

 

今回メール相談を受けた患者さんを正常咬合まで治そうと思うと、上下小臼歯抜歯が必要で期間も2年以上はかかると思います。丸々一回分の矯正治療と同じです。このようなケースからも、非抜歯とすることで難易度が大きく上がるケースでは、そのくらい慎重であっていいのかもしれません。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

4月25日(水

『前歯を引っ込めたいだけなのに、下の歯列にもブラケットを付けなきゃいけないのは何故?』

 

さて前回の続きです。

上の前歯を後ろに退げるのに、なんで下の歯列にも装置を付ける必要があるのでしょう?

 

大きく括ってしまえば、理由は『噛み合わせ』にあります。
さらに『噛み合わせ』の中にも、いくつか別個の理由がありますが、文字で書いても比較的理解しやすいところを説明します。

また機会があれば図などを用いて、『スピーカーブ』や『前歯の後退量』などという点から書こうと思います。

 

なので今回は”奥歯の噛み合わせ”という点から説明します。

前回、『前歯を奥歯から引っ張ると前歯が後ろに後退するだけでなく、奥歯もつられて前に動いてしまう』ということを書きました。

実はこの”奥歯が前に動いてしまう”こと、この問題は単にその分前歯を後退させる量が減ってしまうことだけにとどまりません。

奥歯が動くということはイコール『噛み合わせが変化する』ということにもなるのです。

 

矯正治療だから奥歯も含めて歯が動いて当然では?と思う方もいるでしょう。もちろん動いていいのですが、”下の奥歯も動いていいならば”という条件が付きます。

虫歯治療の歯医者さんで、虫歯治療後に詰め物を入れたことがある方には分かりやすいかもしれませんが、入れた直後カチンと噛んでみると、そこだけ噛み合わせが高い、強く当たるなんていう経験をした方も多いと思います。

その際、その強く当たる部分の詰め物を少し削れば問題は解決します。

ではそもそも、”強く当たる”と感じた部分はどのくらいその詰め物が出っ張っていたのでしょう?それはおそらく”0.数ミリ”ほどです。決して1mmも出っ張っていることはありません。つまり歯は0.数ミリほどの違いをを違いとして感知できてしまうわけです。

 

歯の移動についても同様のことが言えます。

上の奥歯が前歯によって引っ張られれば、奥歯は前方に動きます。今度は0.数ミリというわけにはいきません。数ミリ単位で動きます。

それだけ動けば当然以前奥歯があった位置と大きく変わることになりますから、噛み合わせが変わってしまいます。

 

ところで、前歯に引っ張れてやってきた奥歯のこの位置、奥歯にとってはどのような位置になるのでしょう?

奥歯が今いる位置は、抜歯してできたスペースを埋めるために引っ張られて”しょうがなく”やってきた位置であり、良く噛める、いい噛み合わせになることを基準に動かされた位置ではありません。

噛み合わせはもちろん、上下の歯があっての噛み合わせです。スペースを閉じること優先で移動してきた上の奥歯のその位置が、下の奥歯との良い噛み合わせが達成される位置になっているとは限らないのです。

 

前歯はそこそこ後退したけど、噛み合わせが治療前と比べて悪くなった、噛みにくくなったということになれば、本末転倒のような気すらします。

一方で、上記のような状況で、下の奥歯にも装置が付いていたらどうでしょう?

すると下の奥歯も動かすことが出来るので、上の奥歯にとっての下の奥歯の良い位置、下の奥歯にとっても上の奥歯の良い位置にそれぞれを動かすことが出来ることになり、噛み合わせの問題が起こらないのです。

逆に言えば、奥歯を動かすような治療は(例外を除き)、上下の奥歯にブラケット装置を付けることが必要、つまりは全体矯正としてアプローチすることが必要ということになるのです。

 

これは、部分矯正が前歯にしかブラケットを付けない理由と同じ理由です。

このブログでもよく取り上げる、部分矯正が適応かどうかの問題ですが、その判断基準の一つにまさに『前歯を動かすことで奥歯の位置が変わってしまわないか』というものがあります。

前歯にしか装置を付けなくても、前歯を動かす量や程度が大きい場合、その反動で奥歯が動きうることがあります。部分矯正ではやはり前歯にしか装置を付けませんから、奥歯が動いてしまって噛み合わせに影響が出た場合、それを治す術がありません。

ですから、奥歯に影響が出ない範囲で対応できる前歯の程度かどうか、というのが部分矯正にとってはとても大事な要素になるのです。

 

でも確かに、新しい環境への適応というか単純に慣れもありますから、しょうがなく動いた奥歯の位置でなんの問題も起こらないこともあるでしょう。でも何かが起こった場合、そこから深刻な問題へ発展することもあるかもしれません。

体のこと、医療のことですから、イチかバチかでやるものでもないですしね。

 

ですので当院では、上の前歯を退げたい、口元をスッとさせたいことが主訴・ご希望の方にはもれなく全体矯正をお奨めしています。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

4月18日(水

『なぜ前歯を引っ込める治療は部分矯正では出来ないんですか?という質問

 

初診相談や、メール相談、ブログへのコメントなど色々なところでいただく質問なので、いったんまとめてみようと思います。

 

まず原則として、『部分矯正でブラケットを付けるのは、前歯6本(犬歯含む)まで』というものがあります。

前歯を後退させるために通法では、犬歯の後ろの第1小臼歯という歯を抜きます。抜いてできたスペースに前歯6本を移動させることで前歯は後退します。

ではこの前歯6本は”誰”に引っ張ってもらうのでしょう?

というのも、抜歯したスペースに向かって前歯6本を移動させますから、抜歯した部分より後ろの歯から引っ張ってもらう必要があるのです。となれば後ろの歯にも装置を付ける必要が生じます。

ですから、この時点でもう部分矯正ではなくなります。

 

部分矯正で前歯を後退させる治療はありませんから、すでに架空の話ですが少し続けます。

後ろの歯から引っ張る場合、どの歯から引っ張りましょう?

主訴が”前歯を後退させたい”ですから、抜歯したスペースは丸々前歯の後退のために使いたいですよね。

なぜこんなことを言うかというと、前歯6本を奥歯から引っ張ってもらうとは言っても実際の図式は、『前歯VS奥歯の引っ張り合い』です。奥歯は前歯を引っ張りますが、同時に前歯から引っ張られる力を受けることにもなります。

そうなると、せっかく前歯を後退させるために歯を抜いてまでして作ったスペースが、奥歯が前に来ることで閉鎖してしまうことになるのです。これでは前歯は思ったほど後ろには退がってくれません。

ところで、抜歯したスペースの後ろには、順に『第2小臼歯』『第1大臼歯』『第2大臼歯』と3本の臼歯が続きます。

上記引っ張り合いで、なるべく前歯6本が後退する割合を多くしたいのであれば、引っ張る側も人員を増やす必要があります。

つまり、第2小臼歯から引っ張るよりは、一番後ろの第2大臼歯から引っ張ったほうが、前歯に引っ張られ(つられ)にくくなるわけです。

となれば、ブラケットは一番後ろの第2大臼歯まで装着する必要が出てきます。一方でこれは上の歯全部に装置が付くことを意味しますから、部分矯正の範囲を大きく超えてしまうことになります。

 

以上が歯を抜いて前歯を後退させる治療が、部分矯正ではない理由です。別の観点からの説明もありますが、上のような回答をすると理解いただけることが多いです。

 

そして類似のよくある質問に、

『前歯を引っ込めたいだけのに、上の歯列だけではなく下の歯列にもブラケットを付けなきゃいけないのは何故?』

というのもあります。

この答えはまた次回以降で書きたいと思います。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

3月24日(土

『裏側矯正は部分矯正が得意?!

 

さて3月も下旬です。たまに寒い日があるものの基本暖かくなってきました。

 

部分矯正は裏側からも可能です。最近部分矯正を裏側から行うことになった患者さんが何人かいましたので取り上げてみたいと思います。

 

可能ではありますが、表側矯正と同様に部分矯正としての適応症かどうかという判定がやはり必要になります。

これとは別にさらに裏側矯正特有の、部分矯正を裏からする場合に必要な判断基準というものもあります。

この点をクリアできた場合の、部分矯正を裏側から行うメリットは次のようなものが挙げられます。

・外から装置が見えない、周囲に気づかれない

・治療中でも並びの一列を比較的早期から実感できる

・前歯が前に出にくい

上2つは裏側の全体矯正でも同様なので、ここでは説明を省きます。

 

表側からの部分矯正との大きな違いは3つ目の『前歯が前に出にくい』という点です。

ところで全ての物体には抵抗中心というものが存在しています。その中心に対してどこに力を掛けるかで、その物体がどう動くかが決まります。

例えば、スカイツリーを巨人が押す姿をイメージしてください。

てっぺんのあたりを押せば、ツリーは倒れてしまうでしょう。一方で脚の部分を押せばツリーはズリズリと倒れずに平行移動するでしょう。

 

歯の抵抗中心の詳しい話は省きますが、スカイツリーと同様のことが歯でも起こります。

装置を表に付けるか裏に付けるかで、歯に同じ力を同じ向きに掛けても歯が動く方向が異なるのです。

表からの部分矯正では物理的に避けられない『凸凹は一列になるが歯が前に出てしまう』という現象。これが裏側では起こりにくくなります。つまり、装置を歯の裏側に付けるということで、歯の頭は内側に入って一列になろうとするのです。

もちろんこれもいいことばかりではありませんし、程度が大きければ裏側でも歯は前に出ます。

 

ですがそのメカニズムをうまく利用できれば、部分矯正を裏側矯正で行うのは”向いている”治療ということが出来るでしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

3月8日(木

『インシグニアで表側でもオーダーメイド矯正

 

さて矯正治療でも『オーダーメイド』という言葉が使われることがよくあります。

突き詰めれば矯正治療は全てその患者さんに即したオーダーメイド治療なんですが、使用する装置については、オーダーメイドかレディーメイドか区別することができます。

 

例えば子供の治療では、

型採りをして、その型を基にして作った装置(拡大プレート、バイオネーターなど)→オーダーメイドの装置

型採りが必要ではなく、既に存在する原型を調整して使用する装置(プレオルソなど)→レディーメイドの装置

と分けることが出来ます。

 

同じような基準でマルチブラケット装置も分類することが出来ます。

レディーメイド→通常の表側ブラケット装置

オーダーメイド→裏側のブラケット装置

マルチブラケット装置ではありませんが、インビザラインなどもオーダーメイド装置に分類できるでしょう。

要は、その装置を作製するために、そのための型採りが必要かそうでないかでオーダーかレディかが分類されるといえます。

(※通常の表側矯正でも、装置は既製のものであっても歯に付ける位置は患者さんごと異なりますし、使用するワイヤーの形態も患者さんごとで異なりますから、それを以てオーダーメイドといえばもちろんオーダーメイドです。)

 

通常表側のブラケット矯正は、そこに歯があり、さらにブラケットと接着剤さえあれば、臨床的に問題ない正確な歯の位置にブラケットを付けていくことが出来ます。ほとんどの矯正歯科医院で行われている方法です。

裏側矯正ではそうはいかないことはこれまでに触れたとおりです。

裏側矯正では必要性から端を発してオーダーメイドの装置を作製するため、好むと好まざるを選べません。でもその制作過程で『セットアップ模型』というものを制作しますが、これをもとにしてブラケット装置が作製されることで、得られるメリットはとても大きいものになります。

 

表側矯正にもそのメリットを活かそう、としたものが題名にもある『インシグニア』です。表側矯正では先に述べたように、歯と装置と接着剤があれば治療が問題なく開始できます。そこを敢えて、裏側矯正のようにセットアップ模型(デジタルですが)を作製しさらにそこからオーダーメイドのブラケット装置までも作成し治療を開始しようとするわけです。

ですからそのメリットが本当に大きくないと、このシステムも開発されていないと思いますし、矯正歯科医からも選ばれていないでしょう。そのメリットは患者さにも、医院にも、施術する側にも確かにあると考えられるので、当院でも今後導入していく予定です。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

3月4日(日

『裏側矯正での舌の違和感は人それぞれ

 

さて先日、同日に裏側矯正の装置装着となる患者さんが二組いました。

どちらもすでに上の裏には装置を装着していて、その日は下の歯列の裏にブラケット装置を付けるという回でした。

歯列の特徴などの詳細は省きますが、一方の方はブラケットから舌までの距離が比較的ある方、もう一方の方はその距離が短い(装置と舌が近くに位置する)方でした。

どちらにも以前から『下の裏側は違和感感じる方も多いですよ』というアナウンスをしていたものの、上の違和感がそれほどでもなかったという経緯から、患者さんも『大丈夫じゃない?』くらいの感じでした。

 

そして装置装着後。

『結構違和感ありますね、、、』と言ったのは”ブラケットから舌までの距離がある方”のほうでした。距離があるということは、ベロを動かしても動く範囲で装置には当たりにくいということを意味します。となれば違和感も少ないはずです。

一方で、後者の方は『こんなもんでしょうね、上と同じくらいです。すぐ慣れると思います。』とのこと。装置と舌が近いということは、ベロの動く範囲に装置があるということで、ベロが動けば装置に当たります。当然違和感も出るはずです。が、それほど感じていないのです。

 

なのでそ上記のような要素だけでは計ることのできないところが、違和感の感じ方としてはあるのでしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

3月1日(木

『今年の目標が早くも達成?

 

さていよいよ今日から3月ということで、今年も2ヶ月が経過です。早いものです。

 

ところでこの2ヶ月という期間。矯正治療の平均的な期間が2年つまり24ヶ月とすると、その1/12ほどの期間です。また、ひと月に歯の動く距離が0.5mmほどと考えれば、ビフォーアフターの比較でもあまり目を見張るほどの変化量が現れない、と考えられる期間です。

ところが、このたった2ヶ月という短い期間でも大きな変化が起こりうる不正咬合の種類があります。

 

昨年末になりますが、とある取り外しタイプの装置の使用が始まった患者さんがいました。装着後のチェアサイドでの保護者の方への説明の際お母さんが、

『今の噛み合わせを治すことが来年の目標です』

とお話していました。

この小1の患者さんの噛み合わせは『反対咬合』です。反対咬合の中でも機能性の反対咬合と呼ばれているものです。

機能性などというと何か仰々しい感じがしますが、より重度の位置付けとなる骨格性の反対咬合に比べると、反対咬合の中でも”治りやすい”タイプに分類されます。

しかし機能性の反対咬合を放置すると、骨格性の反対咬合(骨が成長した結果としての反対咬合)に移行する可能性があるため、早期にアプローチすることが好ましいとされている不正咬合の一つでもあります。

 

先日2月末は、装置使用開始2ヶ月の来院でした。患者さん本人のお口の中を見る前にお母さんが、『先生、上の歯が前に来ました!』とのこと。

そして実際に診察すると、、、見事に反対咬合は改善していました。

先ほど書いたように、いくら子どもで歯が動きやすいとは言っても、やはり2ヶ月で動く距離は知れています。

でもこの機能性の反対咬合というのは、上下の前歯の些細な干渉が大きな下あごのずれを導いているというものですから、些細な距離を歯が動いてくれればその干渉がなくなり、結果下あごが本来の位置に収まるのです。

 

今年の目標が早くも達成されてしまったわけで、お母さんとしては少し拍子抜けな感じすらありました。ただもちろん、もう装置を使わなくていいというわけではないんですが、ひとまず目標達成、ひとまず安心というところでしょう。

放っておくと骨格性の反対咬合に移行する可能性のある噛み合わせが、数ヶ月で改善する(もちろん全員が同じ期間で同じ経過を辿るものではありませんが)わけですから、重症化する要素はやはり取り除いておいたほうが良いと言えるでしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

2月10日(土

『デジャヴ

 

意味不明なタイトルですが。

 

マルチブラケット治療にはディテーリングといって、治療の後半に噛み合わせの最終調整を行うステージがあります。

ワイヤーを調整したり、ブラケットの歯に付ける位置を変えたりなどといったことを主にすることで、噛み合わせをより緊密にしていきます。

その際よく併用されるのが、ご存知の方もいると思いますが、あの『ゴム』です。

歯科医院で掛けるお口のなかにかけっぱなしのチェーンのようなゴムではなく、患者さんが自分で掛けはずしをするあの『ゴム』です。

必ずしも治療の終盤のみで使われるとは限りませんが、多くは後半で使用されます。

 

矯正治療で使う装置は、患者さん自身で取り外しのできる装置と出来ない装置に分類されますが、このゴムは取り外しのできる装置に分類されます。

マルチブラケット装置やワイヤーは患者さん自身では取り外しができませんが、ゴムは出来ます。

マルチブラケット装置やワイヤーは患者さん自身で取り外しが出来ない代わりに、患者さんが取り外しを頑張らなくても歯が動きます。一方で、ゴムは取り外しができてしまう代わりに、患者さんがその装着(と外し)を頑張らないと歯は動きません。

ワイヤーは24時間歯に付いていますから、24時間歯には動かす力がかかります。ゴムは付けている時間しか力を発揮しませんから、付けている時間=歯が動きうる時間ということになります。

なのでゴム(正式には顎間ゴムといいます)は、歯の動く動かない、もっといえば治療の上手くいくいかないを、患者さんに委ねる装置とも呼べるのです。

前置きが長くなりました。

 

先日もう少しでブラケット治療の終わりそうな患者さんの診療をしていました。高校生の女子です。この前の回にゴムの宿題を出していました。

ところでゴムは、上記のようにお口の中でつけっぱなしでいることが難しい装置です。

というのも大抵は上の歯と下の歯にまたがって掛ける必要があるため、掛けている間は口が開きにくかったり、しゃべりにくかったり、掛けてること自体が気になったりもします。当然何かを口にする際にはいったん外す必要がありますから、食べ終わった後に付けるのを忘れてしまう、、、なんてことも起こり得ます。

患者さんにも、

付ける時間が長いほど歯はよく動く=よく動くほど速く治療が進む=治療が進むほど早く治療も終わる

という図式は頭の中にあるものの、現実的なところで付けている時間の確保が難しい場合も大いにあるのです。

 

この患者さんは、下の奥歯を手前に寄せるゴムを掛けていました。付けることになってからの最初のひと月だし、学校や家庭では部活や勉強、塾も忙しそうだし、奥歯が動いていても少しだろうなぁ、という予想?でいました。

しかしいざお口の中を見てみると、、、なんと隙間がもうない!?

動きにくいとされている奥歯の、すぐ手前にあった2mmほどのスペースが、その奥歯が前に来ることで閉鎖されていました。

2mmというと『なんだ2mmか』と思われるかもしれませんが、お口の中のスペースで2mmはそこそこ大きいですし、下の奥歯を、ゴムという手段によって前に来させて閉鎖する距離としては、なかなかの量です。

それが閉じていたわけですから、『すごいゴム頑張ったんじゃない!?』となるわけです。

『何か食べてるとき以外はほぼ掛けてた』とのことでした。

 

そしてこの言葉を聞いた瞬間、いつかの一場面が頭をよぎりました。あれ、、、こんな場面でこの言葉を聞いたことがこれまでにもなかったっけ、、、

以前の職場で診療していた時のこと。治療の終盤、下の前歯の真ん中が右にずれている、やはり高校生女子の患者さんがいました。上下の歯列の正中が合えば治療も終わりです。仕上げに、その正中合わせをゴムで行うことになりました。

交叉ゴムといって、上下の前歯を横断(斜断?)して掛けるタイプです。前歯のど真ん中を横切りますからとても目立ちます。しゃべりにくく、口を閉じにくい点も奥歯にゴムをかけた場合以上です。なので、この交叉ゴムを一日中掛けておくというのは、実生活の中では難しいです。

ただ家にいる間、就寝時も併せ10~12時間ほど使用を確保できれば、十分効果は期待できますから、その中でやってもらうよう指示をしました。

 

そして次の回。

ゴム出来た?と聞くと『出来た!』とのこと。

ではいざお口拝見、、、

(あれ?あまり変わってないな、、、ずれたままだ、、、)

(?)

(?!)

(!!)

最初気づけませんでしたが、なんとずれている方向が”逆”になっていたのです。つまり、下の歯列の正中が右にずれていたのが、ゴムを頑張りすぎて効果が出すぎて、下の歯列の正中が上の歯列の正中に対し、ちょうどいいところを通り越してさらに左にずれるというところまで変化していたわけです。

『かなり頑張ったね』と聞くと、

『食事以外はだいたいしてた』

 

この場面でした。

患者さんが高校生の女子だったこと、予想以上の移動距離、予想以上の頑張り、そして特徴的なセリフと、色々な状況が類似していたため、思い出されたのでしょう。

 

余談ですが、顎間ゴムはアンカースクリューの普及で確かにその登場回数は減っていると思われますが、0になる、ということにはなっていません。

ところで、治療途中でゴムやスクリューが必要になることがあります。治療の最初からスクリューが絶対に必要な状況とは違って、この場合、

『ゴムでも治るだろうけど、スクリューならその確実性が高い』

という状況であることが多いです。

なので、患者さんには、

『ゴム頑張れば全然治る範囲の程度だから、まずはゴムでやってみようか』

と説明しゴムをスタートします。

ここでゴムを頑張ってくれる場合はいいんですが、中にはゴムの使用時間が確保できない患者さんも出てきます。

どうしても事情があって掛けられない人もいれば、単に面倒くさくてしない人もやはりいます。

前者の方はゴムをする”余力”がない方ですから、そのまま抵抗なく、諦めもありスクリューに転向していけることが多いです。

一方で後者の方、面倒くさくてしなかった方には余力がまだまだあります。やろうと思えばゴムの時間を確保できる方たちですから、やろうとさえ思ってもらえればゴムをしてもらえるはずです。でも皆さん口を揃えて『やる時間がない』と言いますが(笑)。

このゴムかけ、してくれない方に延々とゴムを指示しても、いたずらに時間を経過させてしまうだけです。なので、ゴムをスタートする際に期間を決めています。

ゴムかスクリューかの選択で、(スクリューが嫌で)ゴムを選んだ人たちです。そのゴム掛けを頑張れなかったり、効果が出なかったりすれば、必然と残された選択肢はスクリューのみということになってしまいますが、でもそれは嫌なわけです。

3ヶ月の期間が近づいた頃、

『ゴム本当にやってる?しなくてもいいけど次までやってこなかったり効果が出ていなかったりしたら”ネジ”打つよ』

とハッパ(?)をかけます。すると1ヶ月後、、、

『え?すごい治ってるじゃん!?やる時間ないって言ってたけど、実はあったってこと?』

『飯以外はだいたいしてた』(笑)

このパターンは中高生の男子に多いですね(笑)。分かる気がします。そして何やら誇らしげなのも微笑ましいです。

 

厳密に言えばゴムとネジの治り方は異なりますから、必ずしもネジの代わりにゴムがあるという位置づけではありません。

でも、代用の効く場面はたくさんあります。そういう意味でもゴムが使用されるシーンはまだまだなくならないでしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

2月1日(木

『部分矯正の開始率は低い

 

今日から2月ですね。まだもう少し寒くなるようですから、みなさん体調にはお気をつけください。

 

さて、初診相談の方の主訴をひと月単位で俯瞰してみると、矯正歯科に来院される患者さんがよく持つお悩みや希望する治療法のほとんどが含まれるかたちになります。

前歯の並びが気になる、歯が出ていることが気になる、噛み合わせ全体が気になる、口元の突出が気になる、抜歯は避けたい、短期間で終わりたい、すぐに始めたい、部分矯正でしたい、目立たなくやりたい、装置が全く見えないようにしたい、、、

 

歯並びや噛み合わせ全体を気にしていてそれを治したい方は、全体矯正が必要になることがほとんどで、患者さんもそのつもりでいる場合が多いです。

また全体矯正での仕上がりには原則制限はありませんから、『キレイな歯並び、キチンとした噛み合わせ、スッとした口元』が治療のゴールになります。ですから、患者さんの『治療後にこうなりたいという希望』と治療で出来ることのギャップがあまり生じないことになります。

それも全体矯正を希望される患者さんは開始率が高いという理由でもあるでしょう。

 

一方で部分矯正の場合はどうでしょう。

部分矯正が症例として適応となった場合でも、それがそのまま患者さんにとって”適応”となるかは分かりません。

よくあるというか、これがほとんどと言っても過言ではないケースを紹介します。

『上の凸凹が気になっていて、ここだけを治す部分矯正をしたい。部分矯正の適応ではあるが、凸凹の程度もそれなりに大きいため、前歯だけに装置をつけて一列にしようと思うと前歯が出てしまう。一列にはなるけど出っ歯になるのは嫌だ。とりあえず部分矯正をするという考えは棚に上げておこう』

というものです。

前歯の部分矯正を希望して来院される方の多くに共通しているのは、前歯の凸凹の程度は中程度にはある、というものです。

軽度だったらそもそも気にはなっておらず、なので矯正治療の希望もなく、来院もしていないでしょう。

重度だったら部分矯正ではなく初めから全体矯正を希望されているかもしれません。

中程度の叢生の中でも、軽度に近い場合はIPRなどを併用すれば前歯は出ずに一列も達成できますから、このカテゴリーにいる方が部分矯正として治療を開始するもっとも多い層になるでしょう。

中程度の叢生でも重度に近い方は、一列になっても前歯が出てしまう可能性が高いです。その場合部分矯正はしない決断をする方がほとんどです。そのまま当院で矯正治療自体をしないという方向に進む方もいれば、数ヶ月後にやはり全体矯正をしたいと言って来られる方もいます。

何れにしても後者の方は部分矯正を選択されない可能性が高いです。この辺りが部分矯正希望の方の開始率は低い理由でしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

1月23日(火

『今日は初診相談が4組

 

昨日は来院患者さんが多く、うち初診相談の患者さんは4組でした。

成人男性、成人女性2組、小学生女児

という内訳でしたが、年齢や性別、環境や考え方(ゴール、どこに目標を設定するか)も違う方たちなので、話す内容も多岐に渡ります。

 

成人女性の方二人は、見えずにしたい→裏側から治療がしたいという点では共通でした。一人の方は口元を引っ込めたい、もう一人の方は前歯の並びを一列にしたい、という希望がありました。

話は逸れますが、裏側から矯正を希望される方の割合は最近多いです。丁度この日は、他の診療の中、フルリンガル(上下ともに裏側)の方の下のブラケット装着、ハーフリンガルの方の上のブラケット装着もあった日です。

 

男性の方は、下の前歯の凸凹が気になるということでした。下の前歯だけの部分矯正では注意すべきところがいくつかあります。

出っ歯の方で下の前歯の並びが気になる場合ならばいいんですが、出っ歯の方で下の前歯が上の前歯を差し置いて気になる、という方ほとんどいません。

両方気になっていて全体矯正を考えているか、下ではなく上の前歯が気になって上の前歯の部分矯正を検討している、ことが多いからです。

というのも出っ歯の方の下の前歯は、上の前歯に隠されていてあまり外から見えません。なので、外から見えないところは別に気にならない、ということになるだろうからです。

 

一方で、下の前歯の凸凹を気にされるのは、反対咬合ではないにしても、少なくとも出っ歯ではない、カチンと噛んで下の前歯もしっかりみえるタイプの噛み合わせを持つ方に多い気がします。

この男性の方もそうでした。

なので注意すべき点は、凸凹を一列にしたら歯列が膨れるという原則から、下の前歯の凸凹を上記タイプの方に行ってしまうと前歯の噛み合わせが反対になってしまう、というところにあります。

見立てとしてのこの方へは、下の前歯が一列になる、しかも前歯が前に出て反対にならない、方法として、下の前歯の歯を一本抜くという方法もあることに触れました。

その1本というのが、唇側に転位(一本だけ表にはみ出)していて、歯肉も大きく退縮していた、というのもその方法を説明した理由でもあります。

患者さんは『その方法があったか!』という感じでしたが、『でも歯を抜くのはなぁ、、、』という感じでもありました。

 

小学生の女児の患者さんは、治療開始のタイミングを知りたいとのことでの来院でした。

上の前歯4本が乳歯だったこともあり、パノラマレントゲン写真を一枚撮り、過剰歯や先天欠損歯、歯胚位置異常歯がないことをまず確認しました。

反対咬合でも、交叉咬合でもない、問題のメインは土台の大きさと歯の大きさの不調和というところでしたので、仮に治療が必要でも前歯4本永久歯に生えかわってからでいいのでは、と説明しました。

その時期も遠くない将来だと思われますが、その際に、詳しく歯型や他のレントゲンなどの検査を行い、凸凹を治す目的での治療の必要性や、必要ならそのタイミング(今から治すか、ずっとあと中学生で治すか)を検討していくことになるでしょう。

 

リンガルの診療も腰がやや疲労しますが、初診相談も初対面の方とその方の気にしていることについてを話す、という性質上相談が終わった後は、『ふ~』となります。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

1月18日(木

『違う乳歯を溶かしながら生えようとした6歳臼歯

 

つい先日大晦日、お正月だった気もしますが、もう1月も後半です。早いものです。

 

さて歯科には『異所萌出』という言葉、症状があります。

これは何かというと、

永久歯が生える際本来はえるべき所ではないところからから生えてしまった

状態のことを指します。

様々なパターンがありますが、症例としては比較的多い当院でも治療を行ったケースを取り上げてみたいと思います。

 

上あごの6歳臼歯が生える場所はどこでしょうか?

そうです、一番後ろです。

永久歯は乳歯の下から乳歯をグラつかせながら生えてきますが、6歳臼歯や12歳臼歯に限っては、一番後ろの乳歯のさらに奥の”歯茎”からいきなり生えてきます。

なので6歳臼歯は、乳歯と取って代わるように生えるわけではないため、生える最中にどの乳歯をグラつかせることもありません。

しかしまれに、間違えて一番後ろの乳歯である第2乳臼歯を溶かしながら生えてきてしまう、なんとことが起こります。

そうして本来と違うところに生えてきてしまった6歳臼歯の状況こそが、『異所萌出』している状態となります。

 

第2乳臼歯を溶かしながら生えてくるわけですから、6歳臼歯の萌出が進めば進むほど、第2乳臼歯のグラつき度は大きくなるということが出来るでしょう。

グラつきの大きくなった第2乳臼歯が自然と抜けてしまう、あるいは抜歯の適応になってしまうことも珍しいことではありません。

第2乳臼歯はその寿命を全うできれば、11~12歳まではお口の中で6歳臼歯とともに『立派な奥歯』として機能し続ける歯です。

その歯が、6歳臼歯の生えるタイミングである6~7歳くらいになくなってしまっては、向こう5~6年噛むのにもとても困ります。

 

早くに第2乳臼歯がなくなってしまうと、さらに困ることも出てきます。

本来第2乳臼歯は、上記11~12歳くらいに自身の後継者である第2小臼歯という永久歯によって取って代わられます。つまり第2小臼歯によって根っこを溶かされ、グラつかせられ、抜けてしまい、第2小臼歯に場所をゆずります。これが正しい生えかわりです。

一方で6歳臼歯の異所萌出が起こってしまうと、第2乳臼歯のあったところには6歳臼歯が陣取ってしまいますから、第2小臼歯は生えることができなくなってしまうのです。

 

では異所萌出は防げないのか、防げなくても被害を最小限には抑えられないのか、ということが次に気になることとして挙がってきます。

症例です。

この患者さんは全く別の箇所(前歯の凸凹)が気になるということで当院を受診しました。この時点で正常である左側の6歳臼歯もまだ生えていない段階ですから、右側がそのような状況になっているなんていうことは、少なくとも口の中を見ただけでは全く分かりません。

当院の初診相談では小学生(乳歯が残っている歯並び)の場合パノラマレントゲンを撮影し、その説明も行っています。

左の青丸で囲まれている状態が正常です。6歳臼歯は手前の第2乳臼歯に沿うように降りてきます。

一方で右の赤丸部分ではどうでしょう。6歳臼歯が手前の第2乳臼歯に引っかかって降りてこられない状況です。第2乳臼歯に視点を変えれば、6歳臼歯によってその一部を溶かされてしまっています。

さてこういう状態であることが判明しました。

この状態へのアプローチの方法、考え方はいろいろあると思います。

・経過観察

・第2乳臼歯の削合(6歳臼歯が引っかかっている部分を削る)

・第2乳臼歯の抜歯(とにかく6歳臼歯を優先して生やさせるため)

・6歳臼歯を後ろにずらし、引っかかっていない状態にする

それぞれの方法が無条件にどれが良い、悪いは言えません。

患者さんの年齢、6歳臼歯の引っかかり具合、第2乳臼歯の溶かされ具合(揺れ具合)、第2小臼歯の降り具合、、、

など諸々の条件を吟味して方法を選択する必要があります。

 

今回のこの患者さんでは、

・まだ小学校2年生(8歳)であること

・第2小臼歯が生えるまでにはあと2〜3年を要すること

・6歳臼歯の突っ込み具合、第2乳臼歯の溶かされ具合もまだ軽度である

・逆に経過観察とすると、さらに第2乳臼歯は溶かされ、比較的早期に抜け落ちてしまう危険性のあること

などを考え、矯正装置を用い6歳臼歯を後ろにずらし引っかかっていない状況を作り出すことを治療方法に選びました。

治療結果です。

右の青矢印、第2乳臼歯の後ろ部分は確かに溶かされた状態となっていますが、6歳臼歯にどいてもらった今、これ以上溶かされる心配はもうありません。正常に抜け落ちる10〜11歳までしっかり持ちこたえてくれるでしょう。

装置セットからこの改善まで約2ヶ月、そのあとの経過観察まで装置は付いたままですが、装置の付いているトータルの期間は4ヶ月ほどです。

6歳臼歯を生やすだけなら第2乳臼歯を抜いてもいいわけですが、上記に挙げた”その後”の問題が残ります。その問題が起きないように、抜いた部分に第2小臼歯が生えるまでの2〜3年間なんらかの装置を付けっぱなしにしておく必要があったでしょう。

 

子どもの矯正治療はいろいろな体の変化の中で行っていく治療です。

歯の生え変わりもあれば、顎の骨(土台)の成長もあります。しかし全ての患者さんが標準的な方向に向かって生え変わりや顎の成長が進むとは限りません。

子どもの矯正治療では、その主線からズレてしまった方向を元に戻す、元に戻ったら主線に沿って進んでもらう、添え木のような役割を果たせればいいと思います。

 

裾野、長泉、御殿場、伊豆歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津・三島からもどうぞ

1月13日(土

『色々な装置の”始まり(装着)”が重なった一日

 

さて今日は、年の始まりにふさわしく(?)装置の使用開始となる患者さんを多く診療した一日でした。

 

まずは子どものマウスピース矯正でもあるプレオルソのセット。頑張る意思満々の患者さんなので、良い結果を出してくれるでしょう。

次は表側ブラケットでの治療開始の患者さんです。この方は少し前に行った診断時、治す必要のあるう蝕がやや多くあることが判明していました。本日そのう蝕治療を終えて来られ、さぁいよいよ待ちに待った治療開始、といういきさつでした。

次はアンカースクリューセットの患者さん。口蓋に2本埋入でしたが麻酔から埋入完了まで30分ほどの処置で終了でした。スクリューセットに際し緊張した面持ちで来院されたため、終了時には『もう終わり?』と拍子抜けの様子でした。

まだ終わりません。

最後は裏側矯正のブラケット装着の患者さんです。この患者さんはハーフリンガル(上の歯列は裏側から、下の歯列は表側から)であるため、下の表側ブラケット装着は少し前に終えています。今日で上下両方に装置が付いたことになります。

 

今日からスタートが多いと思いきや、今日で終了の患者さんもいました。ブラケット装置の撤去でした。でも終わりは新たな始まりです。ということで実はこの患者さんも”今日からスタート組”、保定装置(リテーナー)のスタートです。

 

今日は診断も1件ありました。装置のセットではないので試合開始ではないものの、”開会式”といった位置づけでしょうから、このシーンも始まりであることには変りないですね。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

1月5日(金

『新年最初の診療内容

 

当院は本日より新年の診療を開始しました。

今日の診療内容は、初診相談件、マルチブラケット調整、準備矯正治療の調整、上下拡大プレートのセット、、、

などそれぞれが複数件あるものもあるため、アポイントが朝から晩まで埋まった状態。

これらにプラスして年末年始にご家庭で生じた装置の不具合への緊急診療も重なったため、夕方以降診療室は少しバタバタとした感じでした。

 

マルチブラケット調整では、一人は1年経過、一人はもうすぐ1年経過、一人はもうすぐ半年経過、治療法では抜歯、非抜歯、使用装置では表側ブラケットあり審美ブラケットあり裏側ブラケットありの、これもバラエティーに富んだ内容でした。

1年経過した方の状態がそろそろブラケット除去(ブラケット治療終了)が見えてきた段階であるのは、序盤に下顎歯列の遠心移動といった”山”を乗り越えての現状があるだけに少しホッと出来ます。

 

明日以降も今日のようなアポイント状況がもう少し続きます。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

12月19日(火

『裏側矯正はなぜ難しい?

 

裏側矯正は表側矯正に比べ施術する側としての難易度が高い、とされています。

それが、裏側矯正を提供している医院が少ない理由でしょう。では裏側矯正はどこが難しいのでしょう。

 

操作のしにくさ

歯にブラケットを付け、ブラケットにあるスロットにワイヤーを通すと歯は動きます。

一本の歯における、歯、ブラケット、ワイヤー、この三者の位置関係を表と裏で比較しますと、手前から奥に向かって、

表側ブラケットでは、『ワイヤー → ブラケット → 歯 → 口腔内(喉方向)』

裏側ブラケットでは、『歯 → ブラケット → ワイヤー → 口腔内(喉方向)』

の順で装着されていることになります。

つまり表側ではワイヤーの下にはブラケット(とその下の歯)がありますが、裏側の場合はワイヤーの下にはブラケットはなく、口腔内、喉と”空間”が続きます。

矯正治療に限りませんが、何事も”支持”があると操作がしやすいです。

ワイヤーを操作する際表側矯正の場合、ワイヤーの下にはブラケットと歯がありますから、それらを支持に操作をすることが容易です。

しかし裏側矯正の場合、歯やブラケットが手前にあり、ワイヤーの下には支持になるものがありませんし、裏側ということで見えづらいという状況も重なり、施術がしにくくなります。

ただ実は操作に慣れてしまえばこれらはなんてことはない要素で、むしろ表側よりも操作しやりやすい要素も多々ありますが

 

歯の抵抗中心との関係

抵抗中心って?となります。

詳しくは省きますが、ブラケットが歯の表に付いた場合と、裏に付いた場合とでは、同じ種類やサイズのワイヤーで、同じ大きさ、同じ方向に力がかかったとしても歯の動く方向が異なるのです。

そうさせるのが、抵抗中心に対するブラケットの装着位置の違いです。

これがあるがために、そもそもの使用するブラケットを選択するところから注意しなければいけないほどです。

さらにワイヤーの種類やサイズ、ワイヤーを使う順番、ワイヤーの設計、どこから前歯を引っ張るか、前歯をどんな角度で位置付ける設計を組むか、、、、、、など、治療開始前の治療計画立案から治療の最初、治療の中盤、治療の最後までこれに影響を受けます。

表と一緒であれば問題ないのですが、ちょっと違う、あるいは180度違う、真逆、などという点も多々あるため、そこを注意して治療を進めていかないといけないわけです。

 

例えば、噛み合わせ上出っ歯(上顎前突)に分類されるが前歯2本が内に傾いていて(舌側傾斜)、出っ歯に見えないでも噛み合わせも深い、という噛み合わせがあります。2級Ⅱ類と呼ばれるものです。

表のブラケットなら、ワイヤーを上に向け前歯が持ち上がる力をかけていけば、歯も持ち上がるし舌側傾斜も改善します。ところが裏側で同じことをしてしまうと、前歯はさらに舌側傾斜をしてしまいます。あまりに倒れこみすぎると下あごの歯列への噛み合わせの影響や顎関節への影響すら出てきます。

 

もうひとつ、有名な落とし穴ですが、ボーウィングエフェクトといって、抜歯症例において抜歯したスペースを閉鎖していく段階で起こる副作用もあります。

これもやはり前歯が内側に倒れこみすぎてしまう、歯列が小臼歯辺りで幅が拡がってしまい、大臼歯辺りで狭くなってしまう現象です

 

起こって形となってしまった副作用は、そうなるまでにかかった時間の2~3倍をかけないと元の状態には戻りませんから大変です。

そうならないように注意して(こうしたらそうなる、ではそうならないようにするにはこうするという正しい捉え方をした上で)治療を進める必要があります。

 

まだまだ違いはたくさんありますが、別の機会で触れようと思います。

12月7日(木

『ひととおりの診療内容がギュッと詰まった一日

 

昨日は平日でしたが、土日並みに診療内容盛りだくさんな一日でした。

診断2件、初診相談、精密検査、衛生士によるMFT指導、子どもの矯正治療、マルチブラケット治療、裏側のマルチブラケット治療、マウスピース矯正、矯正用スクリューセット、、、

と、大分類で言えば矯正歯科で行う一通りの診療が詰まった一日になっていました。

パワーチェーン(主にマルチブラケット治療で使う、歯を引っ張るゴム)が外れてしまったという急患もありましたから、本当に一式出そろったという感じです。

 

全ての診療について触れるのは難しいので、いくつかピックアップして書きます。

 

舌側矯正の診療

この日はフルリンガル(上下とも裏側ブラケット)の患者さんでした。この患者さんは上下凸凹でしたが、IPRと遠心移動を行って凸凹を解消するスペースを獲得しました。

ブラケットをつけてまだ半年ほどですが、『一列』はほぼ完全に達成されている状態です。

通常『マルチブラケット治療』と言うと、現在でも歯の表にブラケット装置を付けて行う治療のことを指すと思いますが、ブラケットが歯の表に付いていると、治療途中で歯並びが一列になってもなかなかその一列を実感しにくいです。

一方で裏側ブラケットでは、治療の途中でも歯の表面には何も装置は付いていませんから、『歯の表面にブラケット装置が付いていない状態』を『ブラケット治療が終わった状態』と仮定するならば、裏側矯正の場合は治療が継続しているものの、装置が歯の表に付いていないという点で、治療が終わっている状態とも捉えることができます。

並びの一列は、表から裏からに関わらず治療の早期の段階(半年ほど)で達成されることがほとんどですから、裏からの治療の場合

『ブラケットが付いていない一列になった状態を半年ほどでダイレクトに実感』

できるわけです。それが、この現在治療半年ほどとなった患者さんからその日に出た、

『先生、もう終わってもいいんじゃないですか?』

という言葉にも表れているでしょう。(もちろんまだ終われません、、、)

 

アンカースクリュー埋入

専門的な内容ですが、スクリューセットは多くの場合付着歯肉といって『動かない歯茎』に埋入することがほとんどです。

しかし付着歯肉の幅に個人差があったり(幅が広いこともあれば狭いことも)、歯槽骨の高さが低かったりすると、付着歯肉に埋入できないこともしばしばです。

付着歯肉に埋入したい確固たる理由が存在するのですが、付着歯肉に埋入することを何よりも優先してしまうと、スクリューが骨まで届かない、そもそも骨に埋まらないという本末転倒な事態になってしまいます。

ですからそうなってしまうことが予想される場合には、付着歯肉に埋入することを諦め、遊離歯肉といって『動く歯茎』からの埋入が選択されます。この歯肉の内側には厚い骨(皮質骨)が存在していることがほとんどですから、埋入したスクリューがしっかり骨に植わる、という点では埋入部位としては申し分はないわけです。

じゃぁ初めから遊離歯肉に埋入すればいいのでは、、、という声が聞こえてきそうですが、そういうことにもならないわけです。

この日の患者さんも遊離歯肉への埋入が必須だったため、移行部から5mmほどの部位に埋入しました。

骨を明示しての埋入であり、埋入トルクも適正値であったため骨へしっかり埋まっていることは確認済みですが、残るは遊離歯肉埋入時に特徴的に起こる『歯茎の腫れ』を今後フォローしていかなくてはなりません。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

12月2日(土

『リテーナーはいつまで使えばいいんですか?

 

さて本日12月2日と言えば、フランスルイ15世が親政を開始した日とのこと。親政とは摂政などではなく、自分か指揮をとることを言います。

しかし親政とはいっても、ルイ15世は寵姫ポンパドールに裏で操られていました。プロイセンのフリードリヒ2世は女性蔑視の傾向があり、自国を囲むロシアのエリザヴェータ女帝、オーストリアのマリア・テレジア女帝、ポンパドール夫人を『3枚のペチコート』と呼び忌み嫌っていましたが、それは女性側も同様。そのフリードリヒ2世とやりあうため、マリア・テレジアがポンパドールに『プロイセンを囲んじゃいましょう』とはたらきかけ、ルイ16世とマリーアントワネットとの政略結婚に至りました。

全く関係ない話でしたが、本題に入ります。

 

当院にて治療が終了し、保定観察を継続している患者さんから、

『戻り止め装置(リテーナー)はいつまで使うんですか?』

との質問がありました。

 

当院では症例にもよりますが、戻り止めとして犬歯間フィックスリテーナー(前歯の裏につけっぱなしの”線”の装置)と取り外しタイプのものの併用をベースに処方しています。

目安の期間は2年です。内訳は、

最初の1年ー飲食、歯磨き、入浴、運動などの時間以外は使う終日使用

次の1年ー寝てる間のみ使用する就寝時使用

です。

もちろんフィックスリテーナーは2年間つけっぱなしです。

 

ブラケット治療終了後は『2年間のリテーナー使用は必須』であることを、治療の最初にお伝えしてあるため、2年間のうちの

『いつまで使うんでしたっけ?』

は、単純に

『期間どれくらいか忘れちゃったので教えてください』

的なニュアンスであるかと思われます。

 

しかし保定観察をすでに2年越えている患者さんから、

『戻り止めはいつまでするんですか?』と質問があった場合、それには

『もう外したい、使うの止めたいんですけど、、、』

というニュアンスが含まれていることが多いです。

 

この時点までくれば来院の頻度は多くても半年に1回、通常なら1年に1回ほどになっていますから(その頻度も任意ですが)、通院や通院費が負担になっていることはあまりないでしょう。

なので単純に『もうリテーナー使うのめんどくさい』というところが装置を止めたいことの核心ということになっているかと思われます。

 

ではいつまで使うのか?

結論から言うと、

『リテーナーの使用を続けているほど、その時点までの歯並びは保たれる確率が高い』

ということです。

なので、=『できるだけ長く使いましょう。』ということになるかと思います。

 

ブラケット装置を外した後に起こりうる歯並び・噛み合わせの変化としては、

・後戻り

・体の変化(老化など)の一部としての変化

が挙げられます。

大事なことは、後戻りとしての変化がもう起こらなくなったとしても、体(歯並び・噛み合わせを構成する歯や歯周組織)は常に変わり続けているということです。

体の中で変わらないところはありません。

歯はその根を土台である歯槽骨によって支えられて植わっています。例えば加齢により、土台の高さは減ることはあっても増えることはありません。根を支える土台の高さが減ってしまえば、歯を支える力も減ります。

土台の上で成り立っている歯並びです。土台が動けば歯も動きます。

砂場で作った山に木の棒を一本立てて山から少しづつ砂を取り除いていき、棒を倒した人が負け、なんていうゲームをした覚えはないですか?
最後に倒れてしまう前にも、支える砂が減ってくると棒はグラグラし始めます。

土台の高さが経年的に下がっていくのは仕方がないことで、歯周病に罹患してそのスピードを速めないことはできますが、生理的に骨が減っていくのを食い止めることはなかなかできません。

先ほどの砂場の棒で言えば、砂を取られていっても、上から棒を手で押さえていれば棒はグラグラも倒れもしないわけで(ゲーム上では反則ですが)、土台が減っていくという環境の中、歯並びの(その歯がその位置を保っていてくれる)維持を継続したいのであれば、”外力”によって支えられるということは必要なのです。

 

ですから、2年経過した後もリテーナーを使用する理由は、

『後戻りはもう起きないかもしれないけど、体は自然に変化するものだから、その変化に抗うために引き続き使う』

ということになるでしょうか。

 

ただこれは理想的な面も含まれていますから、使い続けるにしても使用を止めるにしても、現実的なところで患者さんのライフスタイルに合わせて、という形にはなるかと思います。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

11月29日(水

『患者さんも知っているプレオルソとは?

 

本日11月29日は、1780年オーストリアハプスブルグ家のマリア・テレジアが亡くなった日のようです。マリアテレジアと言えば当時フリードリヒ2世率いるプロイセンと死闘を拡げた『女帝』としてももちろん、フランスルイ16世の王妃であるマリーアントワネットの母であることとしても有名です。

 

さて題名にもなっているプレオルソ。これが何かと言うと矯正装置の一つです。ただ、拡大装置とかブラケット装置とかいった装置の総称(分類)ではなく商品名です。

装置の分類としては、『機能型矯正装置』に分類されます。

百聞は一見に如かずということで、

と、こんな装置になります。

 

機能型矯正装置というとちょっと仰々しい感じがしますが、平べったく言うと、

『上下の顎のバランスを整える装置』です。

では顎のバランスって?ということになります。

 

上あご、下あごもそれぞれもちろん”骨”ですから、身長と同じように成長し(伸び)ます。

その成長の過程では、上あごがよく伸びる人もいれば、下あごが良く伸びる人もいます。下あごにについてはさらに、伸びる方向がまっすぐ前のこともあれば、右斜め前のような場合もあります。

例えば、上あごの方が大きく成長してしまうと『出っ歯』になりますし、下あごが上あごよりも前方に出るほど成長してしまうと『受け口』になってしまいます。

ですから、

標準としての『上あごの方が下あごより少し前方に位置する』

よう良いバランスを保ちながら伸びてくれた状態、これが小学生の間で目指したい成長パターンとなります。

 

機能型矯正装置とは、そのような上あごや下あごの成長の”ずれ”を是正する装置のことを指し、『プレオルソ』は数ある機能型矯正装置の中のひとつということになります。

 

最近初診相談やメールでのお問い合わせで患者さんの方から『プレオルソ』という言葉がよく出るということもあり、今回取り上げてみました。

ムーシールドが世間を賑わせた(?)当時、患者さんからムーシールドについての質問を受けるなんてこともよくありましたが、同じ機能型矯正装置という点も含め、比較的この状況によく似ているような気がします。

 

さてこのプレオルソ、これまで機能型矯正装置の一種と書きましたが、実は顎の成長バランスのずれだけにしか対応できない装置、ではありません。

色々な不正咬合(出っ歯さんに凸凹が伴うとか)にとどまらず、舌や口唇の癖、口呼吸等に対しても幅広くその適応を拡げることのできる装置です。

オールインワン、とまではいかなくてもスリーインワンとかファイブインワンとは言ってもいいくらい、ひとつで色々できる装置です。

それだけに患者さんの側もその情報をインターネット等で見聞して『プレオルソ使って矯正がしたい!』と思われるのかもしれません。

 

ただどんな症状にも効く仙豆みたいな魔法の薬がないのと同じで、

『どんな不正咬合にもこれ一本』

のような矯正装置や治療方法はありません。ある人には良薬でも、適応症を見誤れば別の人には毒となることもあるように、プレオルソがとても良く奏功するだろう症例、奏功しないわけではないが他の装置の方がもっと効果があがるだろう症例、むしろ悪化してしまうだろう症例、、、等々ありますから、装置の適応症を見極めることが大事です。

 

ただ適応症として当てはまれば、先ほども書いた『色々なことが一度に出来る』装置です。

別の装置であれば、

まずこの装置を1年使用してここが治ったら次の装置であそこを治して、、、

ということが必要になる症状が一つの装置で治りますから、治療期間の短縮にもなり患者さんの総合的な負担減少にもつながります。

 

当院で使用している患者さんでも、目に見える効果を1~2か月の使用で出す患者さんもいれば、少し長めに使っている患者さんでは中学生以降の仕上げの治療は必要なくなったかなと判断できそうな患者さんもいます。

適切な処方によって最大の効果を享受してもらいたいと考えています。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

11月13日(月

『子どもの矯正治療中の、半年ごとの経過報告

 

当院では特に第1期治療(子どもの矯正治療)の患者さんには、治療経過の報告と今後の治療計画の説明を半年ごと、カウセンリングルームにて行っています。

 

これは、特に子どもの治療には、

・子どもの治療の終わり=矯正治療の終了 とは限らない

・治療期間が1年や2年という”期間”で決まらない。12歳臼歯の生え終わりをもって子どもの治療の終了となる

・治療のゴールが個人個人によって異なる

のような特徴があるからです。

 

小学校2年生から子どもの治療を開始した場合、12歳臼歯が生え終わるまでその間ずっと装置を使用するわけでもなければ、月一回の来院を継続するわけでもありません。

装置を使用しない『経過観察』のみの期間もあれば、来院期間が半年に一回ほどになる時期も存在します。しかしあえてその期間も治療期間として含めるならば、治療期間はおよそ5年ということになります。

長いですよね。

 

期間が長いと、今自分がどこにいるのか、今どうなっているのか、どこに向かっているのか、あと何がどれくらい必要なのか、、、

ということが不鮮明になりがちです。長い治療期間です。『?』が多いと、患者さんにとっては不安になることも多いでしょう。

 

当院では患者さんをそのような『迷子』にはさせないため、半年ごとにレントゲンや歯型などの検査を行い、それをもとに治療の効果を確認し、上記の

『子どもの治療におけるゴールに対し、患者さんの歯並び噛み合わせが、今どこにあるのか、最初とどう変わったか、ゴールに向けてこれからどう進んでいくのか』

について、患者さんと保護者の方に説明をしています。

 

トータルの期間は長くても、今この装置はなんのためにやっている、期間はこのくらい使用する、こういう並びになるまで使う、などといったさしあたっての目標が鮮明になれば装置を使うご本人も頑張りを継続しやすくもなるでしょう。

 

子どもの治療に限らずですが、矯正治療はどうしても年単位の治療になります。そのなかで患者さんのモチベーションを保つ方法を今後も工夫して行きたいと思っています。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

10月6日(金

『抜歯でも非抜歯でもどちらでも良好な結果が得られる症例~患者さんの考え方

 

最近寒いですね。朝晩の冷え込みは相当なものがあります。ただまだ暖かくなる日もちょこちょことあるみたいですが、、、

 

先日診断をした患者さんです。

主訴①として口元の突出感。

主訴①に来るだけあって、ご本人はとてもこれを気にしています。しかし分析の上では、骨格的にも軟組織(E-line)的にも口元はさほど出ていないという結果です。E-lineでは上唇下唇ともon lineという程度でした。

主訴に1も2もないのは承知ですが、あえてそういう書き方をすると次に気になるのが

主訴②として前歯の叢生。

上顎中切歯の翼状捻転で、前歯2本がやや飛び出て捻じれています。いわゆる出っ歯という感じはなく、犬歯も八重歯ではないものの、犬歯2級という出っ歯の位置づけとなる犬歯の噛み合わせでした。

 

下顎にはほぼ叢生はないため、一列にしても前方に前歯が張り出すことはなく、IPRなどを併用すれば少しは引っ込めることも可能でしょう。

上顎は犬歯2級であるものの程度は3~4mm程度、抜歯によらずとも大臼歯の遠心移動と下顎同様IPRを併用すれば、一列にしても少なくとも前歯が出ることはなく、むしろ前歯の位置は現状より少し退がることも期待できます。

 

上記方法で、前歯の位置が術後に現状より退がることは期待できますし、その結果の唇の位置も”少しは”退がることが期待できるでしょう。

張り出していた前歯2本が歯列に収まるわけですから、それに裏打ちされていた口唇も当然後ろに引っ込むことは予想できます。

 

ただここで問題があります。

そうやって退がったあとの口唇の位置が、果たして患者さんの満足のいく位置となっているのか、という点です。

主訴は口元の突出感ですから、口元を退げたいわけです。現状E-lineがon lineであってもご本人は『出てる』という認識ですから、治療によってもっと目に見えてすっきりさせたいという願望があることになります。

口元を大きく引っ込めるには抜歯が必要です。

 

この患者さんの場合、歯(一般的な小臼歯4本)を抜かなくても良好な歯並び噛み合わせは無理なく達成できます。数値上は口元も出てることにはならないでしょう。

抜歯をすれば上記に加え、口元がしっかりと退がります。

 

主訴①が凸凹だったら問題なく非抜歯(+遠心移動)でいいのですが、主訴①が口元の感じであると抜歯になる、という典型的な例だと思います。

ただこの患者さんを迷わせるのは、非抜歯だと前歯が出てしまうなら即座に抜歯を選択しているところを、非抜歯でも少し唇は退がるわけですから、

『ちょっと退がる or たくさん退がる』

で、ご自分の満足がどこで得られるかというところでしょう。

 

色々な要素がありますが、ボーダーラインケースというのは判断に悩むところがあるのも実際です。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

10月31日(月)

『矯正治療はしっかりとした検査、計画のもと行いましょう

 

裾野から見た富士山も頭がほんのり白くなってきましたね。これからは紅葉もシーズンになってきますから、裾野では周囲の山々の変化を見るのも日々の楽しみの一つです。

 

歯科や矯正歯科に限ったことではありませんが、治療を開始する前に必ずしなければいけないことがあります。それは、

『しっかりとした現状把握と治療計画』

です。

Aというウイルスに感染しているのに、ちゃんとした検査をせずにBというウイルスに感染していると判断し、Bにしか効果のない薬や方法を用いて治療する→治らない

ということにならないように、現状をキチンと把握することが必要です。遊園地やショッピングモールでも、店内地図で現在位置を把握してから目的地に向かいますよね。

現在位置が把握できれば、目的地までの道筋や最短距離、あるいは途中で立ち寄った方が良い場所なんかも正確に決まってきます。

矯正歯科治療は年単位の経過の長い治療です。これは現在地から目的地までの距離が長いということを意味します。その分しっかりとした現状把握とゴールまでの道筋が明確でないとすぐに『迷子』になってしまうでしょう。

矯正歯科において現状把握のために必須な検査として、

『パノラマレントゲン』『セファロ(頭部X線規格写真)』『CT(場合によって)』『歯型』

などがあります。

これらによって現在位置を把握し、じゃあゴールに到達するにはどういう道筋、行程をたどっていくのが理想的かを計画します。

無計画で自由奔放な生き方はうまくいっていればカッコイイように見えますが、それが治療となると自分がしてほしい治療とは思えません。

医師と患者さまが目的を共有し、同じゴールに向かっていける治療が好ましいと思います。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

10月17日(月)

『矯正治療費用は高い?』

 

最近寒いですね、、、裾野もさらに気温が下がってきています。御殿場はもっと寒くなっているようですね。日が差せばまだいいんですが、雨ともなると10月のこの時期に昼間でも吐息が白くなることがあるから驚きです。

皆さまご存知のように矯正歯科治療は自費治療です。つまり保険診療ではないため、治療費用の全てを患者さまご自身が負担することになります。

ですので、『矯正治療は費用が高い』というイメージをどなたも持たれるかもしれません。

矯正治療費用は主として、数年間の歯並びを治す治療に支払われる対価ですが、患者さまがそのお金を払って購入しているものは『矯正治療』ではなく数年後に得られる『キレイな歯並び』の方です。キレイな歯並びを手に入れるために矯正治療をしています。

つまり、治療が終わり歯から装置が外れキレイな歯並びになった状態、そこからが購入した商品を実際に使用する期間になります。ですので、キレイな歯並びをその後50年間維持することができたのならば、その方は50年間使い続けることのできる商品を購入したことになります。

例えば、

15歳で矯正治療を始め、2年後にキレイな歯並びになり、その後ちゃんと後戻りを防ぐ装置を使用し、65歳までキレイな歯並びが維持できたとします。(それ以上の維持も可能だと思いますが、区切りがいいので50年間としています。)そしてかかった矯正治療費用は仮に75万円とします。

単純に計算しますと、年間1万5000円の出費ということになります。

皆さまの年間の支出の中で、この費用は何と同じくらいでしょうか?ついつい使ってしまっている色々なモノと比較してみると、矯正治療費用も意外に大きな費用にはなっていないのかもしれません。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

10月8日(土)

『矯正治療を始めるのに適したタイミング?』

 

世間では3連休真っ只中ですね。裾野や裾野近隣の市町村でもこの連休で運動会が予定されている幼稚園、保育園、小学校、、、もあるようですがあいにくの雨、、、
久しぶりにスカッとした晴れ間を見たいものです。

 

治療開始の最適なタイミングは、小学生の患者さまと中学生以降の患者さまでその判断の基準が異なります。

小学生では、顎の成長や歯の生え変わり、不正咬合としての程度、改善の緊急性、、、などタイミングが『症例としての中身』に左右されることが多いです。

ですから患者さまのおうちの方も『治療が必要かどうか』や『必要ならいつからか』を知りたいから矯正歯科に来院した、という方が多いです。

 

一方中学生以降では、開始のタイミングが症例としての中身に左右されることはほとんどなく、患者様も『必要(したい)と思っているから』や『早く始めたい』から来院した、という方が多いです。

ですので、中学生以降の方の開始のタイミングは『したいと思った時』ということになりますが、一方で中学生以降の方では小学生の方にはない、開始のタイミングを左右する要素が生まれてきます。

それは『ライフスタイル』との兼ね合いです。こちらのページ(年代別の矯正歯科治療について)で少しまとめてあるのでご覧ください。

とは言ってもやはり、中学生以降の方ではご本人が『歯並びをキレイにしたい!!』と思った時が、治療開始のベストなタイミングであることには変わりはないと思います。

 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

10月2日(日)

『どういう治療方針なのかを担当医師にしっかり確認しましょう』

 

矯正歯科治療全般、特に子どもの矯正治療で当てはまるかもしれませんが、

患者さまは、今から行おうとしている治療の『ゴール(目的や目標)』を、治療開始前にしっかり担当医師に確認しましょう。

この治療で、何がどこまで改善されるのか・されないのか、期間はどのくらいか、期間の中でどのくらい装置を使用するのか、メリットとデメリットは、、、

 

基本的な矯正治療の好ましいゴールは、

『キレイな歯並び、きちんとした噛み合わせ、スッとした口元』

ですから、それに向けて行われる治療かというのがまず大事です。

子どもの治療では、子ども(小学生)のうちに上記目標が完全な意味で達成できることは少ないですが、少なくとも、

『その目標を意識してそこに向かって』

治療が進められるのかという点は、矯正治療を施す側はもちろんですが、受ける側もしっかり確認すべき点だと思います。
 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

8月30日(火)

『矯正治療は何歳までできる?』

 

先日の初診相談の患者さまです。

成人の女性の方で、歯並びを治したいが矯正治療が年齢的に適応かどうか知りたい、ということで来院されました。

どの矯正歯科のホームページなどにも記載がありますように、矯正治療に年齢そのものによる制限(上限)はありません。ですので上は何歳でも矯正治療は可能です。

しかし、年齢に関連する項目から受ける制約はあります。その主なものとしては、『歯周組織(歯を支える骨や歯茎)や歯そのもの』の状態がどうかというものです。

歯は骨と歯茎によって支えられてその位置を保っています。年齢とともに骨は痩せていく傾向にありますから、その骨が歯の移動に耐えうる状態で健全に存在していることが歯を動かすためには必要なのです。

そして治療が可能となった場合でも、注意する点はあります。つまり、歯周組織そのものは健康であっても、例えば小学生、中高生の方のそれとは状態が異なるという点です。

その結果、採るべき治療方針、治療方法、治療期間などにも違いが出てくることもあります。

ご年齢のことで矯正治療を迷われている方いましたら、是非一度ご相談いただければと思います。

 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

8月21日(日)

『矯正用インプラント(小さいネジ)の費用が治療費用に含まれている理由は?』

 

当院での矯正歯科用インプラントを埋入するための費用は、最初に提示する治療費用に含まれています。仮に治療当初に使用する予定がなく、治療途中に使用することになったとしても追加の費用はもちろん頂きません。

そもそも矯正用インプラントとはなんでしょう?

簡潔に言うと『歯茎(とその下の骨)に打つ小さいネジ』のことです。直径は1.5mm〜2mm、長さは6mmほどです。

矯正歯科ではこのネジにより、歯を抜かない矯正治療の幅が広がったり、歯を抜いた際の治療の仕上がりが綺麗になったりと矯正治療において様々な恩恵を与えてくれる装置です。術者にとっても患者さまにとっても様々なメリットの多い装置です。

下図は当院にて使用しているメーカーのネジになります。

しかしデメリットもあります。それは簡単ながらも外科処置であるという点です。ネジを埋める処置はもちろん麻酔をしますし、麻酔が効いた後、ネジを打ち始めてから打ち終わるまでの所要時間は10分ほどの簡単な外科処置です。でも患者さまにとっては『歯茎にネジが埋まる』わけですから『怖い』と思います。

先ほども書きましたが、使用にあたっては結局のところ患者さまにとってメリットの多い装置です。最初の『埋める』段階さえクリアしていただければ、あとはこの装置に関しては患者さまに頑張っていただくことは特にありません。

メリットの多い装置ですから、使用に際しクリアしなければならないハードルの数はできるだけ少なくしたいと考えています。ハードルがいくつもあり、かつそれぞれが高いハードルでは患者さまも使用を躊躇されてしまうでしょう。

考えられるハードルとしては、『怖さ』『費用』『手間』の3つでしょう。

『怖さ』については、なるべく安心していただけるようその安全性をしっかり説明します。

『費用』について。このスクリューは現在、非抜歯・抜歯治療にかかわらず多くの症例で用いられています。別途費用がかかるとなると、実質的には治療費用の底上げという形になりかねません。

『手間』について、もし他医院さんでスクリューを打つ処置をしていただく場合、他医院さんに行っていただく手間と費用がかかることになります。

当院ではスクリュー費用が別途かかることはなく、また当院にて処置が行えますので他医院さんへ行っていただくこともありません。

当院ではこの費用と手間にかかる負担は0ですので、当院の患者さまが乗り越えていただくハードルは『怖さ』のハードルのみということになります。提案させていただいた方は皆さま、この処置を選択していただけています。

良い処置はできるだけ良い(取り入れやすい)条件で提供させていただきたいと考えています。

 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

8月18日(木)

『矯正治療の必要性は誰が判断する?』

 

『矯正治療が必要ですか?』

これは、小学生のお子さまの矯正相談にいらした保護者の方から、かなりの高確率でいただく質問のひとつです。

ところが、中学生以降で初診相談に来られる方(ご本人にしろ保護者の方にしろ)からは、ほとんどこの質問はされません。

というのも、

小学生の方の場合は、『治療が必要かわからないからそれを知りたくて来院した』と考えられているのに対し、

中学生以降の方は、『治療が必要だ(と感じている)から来院した(のだから『必要か?』と質問する必要がない)』と考えられている、

いうのが背景にあるからです。

 

子どもの矯正治療では

保護者が『したい』または『わからない』の姿勢であるのに対し、

矯正医は『しましょう』または『待ちましょう』の答えを出します。

 

一方中学生以降の矯正治療では、

本人の『したい(治療が必要と考えている)』の姿勢に対し

矯正医は『しましょう(治療を必要と考えているならばそれに応えましょう)』と答えます。

 

しかし稀に、中学生以降の患者さま(の保護者の方)から『治療が必要ですか』と質問をいただくこともあります。

子どもには顎の成長や歯の生え変わりがあります。放っておいたら顎がズレたり、生えるべき歯が生えなかったりと年齢を重ねるにつれ『不可逆的な好ましくない状態』になることがあります。そうならないようにすることを基準にすれば、治療が『必要である』という判断をすることが出来、それを矯正医がすることになります。

一方で中学生以降には顎の成長も歯の生え変わりもありません。つまり、その状態で放っておいても現状と大きく歯並び・噛み合わせが変わることも少ないです。そうなると、子どもの治療での判断基準が、中学生以降の治療の必要性の判断基準に用いられることはなくなります。

つまり矯正医の方が『あなたは治療が必要です』と治療の必要性を判断するという形態ではなくなってきます。(もちろん例外はあります)

ご本人が歯並び・噛み合わせに、『気になるところがあるか』『それを改善したいと思うか』『どうなりたいか(どうしたいか)』という思い、考えが治療の必要性を決定する大きな要素であると思います。

中学生以降の矯正治療は一般的にマルチブラケット装置という、始めたら原則2年くらいは外すことのできない装置で治療を行っていきます。痛みもあれば煩わしさもあります。虫歯にもなりやすくなります。患者さまご本人による歯と装置のメンテナンスがとてもとても大事になります。ご自身が治療の必要性を感じていないと、2年間の治療期間を乗りきることは難しいです。

治療中、患者さまご自身のモチベーションが低くなってしまう時期もあるでしょう。それに対してはなるべくモチベーションが低くならないサポートを医院としてはさせていただきます。けれど、治療を始めるその時は患者さまが高いモチベーションを持たれていることが、治療を成功させる前提条件です。

 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

8月6日(土)

『目で見える範囲と見えない範囲』

 

ここ最近、子どもの矯正治療の診断(初診相談→検査の次に行う治療方針をお話しする場です。)が何件か続きましたが、偶然似たような内容が重なりました。

子どもの矯正治療のための初診相談で矯正歯科に来られる方の主訴は様々ですが、多くは並びの凸凹に関するものが多いです。

正確には、凸凹よりももっと治療の優先度の高い状態があったとしても目に見えて標準と異なるとわかる部分が『並びの凸凹』であるため、それを心配されて来院される方が多いということと思われます。

先日相談に来られた方も主訴は『並びの凹凸』や『出っ歯』でした。現状の説明や患者さまに即した大まかな今後の治療の流れなどを説明し、後日詳しい検査を行いました。つまりレントゲンによる直接目では見えない範囲の検査を行いました。

下にありますパノラマレントゲンと呼ばれる顔の開きようなレントゲン写真があるのですが、その患者さんのパノラマレントゲンには、骨の中の犬歯の位置、生えようとする方向が標準からずれている状態が写っていました。

こうなりますと、改善すべきはひとまず出っ歯だったり凸凹ではなく、その犬歯の生えようとする向きということになってきます。

上記患者さんのレントゲン写真ではありませんが、骨の中で今後生えてくる犬歯がおかしな向きを向いてしまっている例です。

写真左

赤丸をつけた部分の犬歯が斜め前を向いていてひとつ前の歯にぶつかりそうです。この方は、反対側の犬歯が生えてからだいぶ経つのに右側が生えてこない、ことを主訴に来院された方です。

患者さまも『おかしい』と思われて来院されたかたちです。(この症例の経過は『子どもの矯正治療のページ』にありますのでご覧ください。)

写真右

やはり赤丸をつけた歯が、反対側の歯と比べだいぶ斜め前を向いています。お口の写真の赤丸に相当する部分に犬歯があることになります。お口の写真を見ただけでは、骨の中でそのようなことが起きているとは想像もできません。

この患者さまはかかりつけの歯医者さんから『この時期にはそれぞれの歯と歯の間にもっと隙間があってもいいのに隙間があまりないから、将来凸凹になるよ』と言われ来院されたかたちです。

でもどうでしょうか?この状態は一見して歯並びが良い状態に見えます。目立った凸凹は現状ではほぼありません。患者さまが普段生活をしていて『歯並びが気になるから矯正歯科に行こう』とはなかなか思えないレベルではないでしょうか。

しかしここまで犬歯が斜め前を向いているともう自力で方向転換をしてくれる可能性は低く、そのままにしておくと近くにある永久歯の根っことぶつかり根っこを溶かしてしまうことが懸念されるため、外科的な方法で方向転換をすることになります。

この方場合、写真左の方のように『反対の犬歯が生えてきたのに、、、』の段階になって矯正歯科を来院した際には、犬歯によって前歯の根っこが溶かされ前歯がぐらぐらになっていたでしょう。

話を最初に戻しますが、今回の診断の際お子さまのこれから生えてくる歯の向きがずれた位置にいることを知ったお母さまは、最初少し動揺されていたものの『早くに知れて良かった』とおっしゃっていました。

矯正治療に限ったことではありませんが、一見『何ともない』と思えるときこそ実は注意をしなければいけないときなのかもしれません。

 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

7月24日(日)

『矯正治療では口元の変化が起こります』

矯正治療の前後では、当たり前ですが歯並びと噛み合わせが変わります。

意外と知られていませんが、それら二つに併せて口元も変わります。上の写真は同じ患者さまの治療前後の歯並び・噛み合わせと口元の変化の写真です。(左が治療前、右が治療後です。)

上唇、下唇のすぐ後ろには前歯があります。ですので、上唇、下唇の位置(張り出し具合、引っこみ具合)は前歯が出ているか、引っ込んでいるかに左右されることになります。

矯正治療では前歯の位置を変えますから、結果として上唇、下唇の位置も変わるわけです。

 

『抜歯が必要ですか?』

と初診相談の際患者さまから質問をお受けすることがよくあります。抜歯をするしないの基準は、

『凸凹の程度』『前歯の出かたの程度』『口元の出かたの程度』

など幾つかあります。

しかしやはり、一番肝心なのは『患者さまが治療後にどうなっていたいと考えるか』です。

『凸凹を一列にしたい』場合、歯を抜かずともご希望を達成できる場合も多いです。しかし、

『口元を引っ込めたい』というご希望があった場合、上の写真の患者さまのようにちゃんとした効果を得るには抜歯が必要になることが多いです。

口元を引っ込めるには、前歯を引っ込める必要があり、前歯を引っ込めるには、前歯の後ろにスペースが必要だからです。

ただし、抜歯の判断には実はもっと詳しい精査が必要です。年齢、骨の量・厚み(薄さ)、歯根の状態、う蝕等の処置の有無、、、などなど多くの要素を検討する必要があります。

ですので治療方針は、

患者さまの考える治療目標

患者さまの治療方法に関するご要望

上記が実現可能かのありとあらゆる検討(検査結果から)

により決まることになります。

口元の突出感が気になる方、矯正治療によって『キレイな歯並び・キチンとした噛み合わせ』とともに『スッとした口元』も達成してみませんか?

 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

7月11日(月)

『矯正治療を始めるタイミングについて』

 

連日初診相談や検査の患者さまに来院いただいており、矯正治療の需要の多さを改めて実感しています。

先日の初診相談の際にあったお話です。

小さいお子さまをお連れの女性の方が来院されました。この方が相談希望のご本人です。上下の前歯の凸凹と噛み合わせをキチンとしたいということが主訴でした。

中学生の終わりくらいからずっと矯正をしたいと思っていたが、要所でイベントが重なりそのタイミングを逸してきたとのこと。

高校では歯並びのことは頭にありつつも部活や勉強が忙しく、そのまま大学受験に突入。大学生で再び矯正をしたいと思ったが、留学との兼ね合いで断念(矯正相談のため2医院受診したが)。就職後はバタバタと過ごしているうちに結婚、退社後は家庭に入り出産、育児に専念。現在下の子が幼稚園に入園し、昼間の時間が出来、矯正したかったことを思い出したため来院したとのことでした。

基本的には矯正治療に年齢制限はありませんので、いつでも治療は出来ますが、ライフスタイルとの兼ね合いが大事です。

歯並びを治したいと思う気持ちが強くても、

なんらかの理由で装置を付けたくないタイミングかもしれません。

通院できる時間がなかなか確保できない時期かもしれません。

半年後留学、転勤、引越しなどを控えているかもしれません。

ですので、永久歯の生え揃った後の矯正治療の開始のタイミングとしては、あまり大きなライフスタイルの変化がない(可能性の高い)中学生〜高校1年生くらいまでが概ね治療をしやすい時期ということになるのではないでしょうか。

またそれとは別に『いつまでにキレイな歯並びになっていたいか』から逆算し、そこにはライフスタイルの変化があるかどうかを見定め、治療をする時期を見つけていくのもいいかもしれません。

ただ上に挙げましたタイミングにいる患者さまが治療ができないかというと決してそんなことはありません。

装置をつけたくない理由が、『目立ちたくないから』、『煩わしいのは嫌だから』ということであれば、目立たない色の装置にする、裏から矯正する、マウスピースで矯正する、などの解決方法があります。

通院のための時間がないことが問題とお考えでしたら、その方がどういう状況に居られるかにもよりますが、矯正治療の通院は1月〜1月半に1回の来院頻度ということをご理解いただければ、通院は可能と思われるかもしれません。

住む場所が近い将来変わるのでしたら、すぐには治療を始めず、新しく住む土地で治療を始めるのが良いかもしれません。

矯正したいけど、まずどういう行動を起こしたらいいか分からない、、、とお思いの方は多いです。当院の初診相談では、患者さまの頭の中にあるモヤっとした霧が、晴れるようなお話をさせていただくことを心がけております。

タイミングの点で治療を迷われている方がいましたらぜひご相談ください。

 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

7月7日(木)

『矯正歯科治療とCTの関係』

 

本日は矯正治療とCTについて書こうと思います。

歯科でCT撮影というと一番多いのが、『インプラント』を顎骨に植える手術の際に用いられるものでしょう。最近では歯周治療や複雑な親知らずの抜歯の際にも撮影されることも多いです。

一方で近年、矯正歯科でもCTを導入する医院が増えてきています。矯正歯科に限らず、そもそもCTを導入する理由の最たる部分は治療の『安全性を求めて』であると考えられます。もちろん正確性ということもありますが、それも安全性につながります。

歯科で最もよく用いられるレントゲンにパノラマX線というものがありますが、3次元である被写体の情報を2次元に落とし込んだ画像になるため、情報量はどうしても少なくなります。

ですのでCTが用いられるシチュエーションは、矯正歯科治療においても2次元ではなく3次元のままの情報を得たい時、ということになります。

どんな場合かと言いますと、

1、歯根(歯の根っこ)の周囲にどれだけ骨があるか

2、骨の厚みがどれくらいあるか

3、隣り合った歯の根と根の正確な距離はどれくらいか

4、埋まってしまっている歯の、骨の中での正確な位置

のような情報を得たい場合です。

1について。歯の根っこは周囲の骨に支えられて植立していますが、不正咬合の方の場合、根っこの周囲に骨が少なくなってしまっているような歯が多々存在します。そのような歯(の骨の薄い部分)が存在することを認識できれば、その方向に根を動かさないように工夫した(骨から根を出してしまわないような)動かし方が可能になります。

2、3について。この情報は主として矯正用のアンカースクリューを骨に埋める際に必要です。歯根の損傷を防止したり、埋めたスクリューの脱落率の低下に寄与します。

4について。埋伏歯と呼ばれる生えてこれない歯の骨の中での正確な位置を把握できます。これにより、開窓時の骨切削量を低下できたり、牽引時に他の歯の根にぶつからないように移動させることができたりします。

どれも正確性が高まることで処置の安全性が高まっている例だと思います。

すべての患者さまにスクリーニングのように行う検査ではありませんが、必要な患者さまにとってはより安全・安心な治療の提供を可能にしてくれる検査の一つであると考えています。

 

パノラマX線

隣り合った歯の根同士の関係性や距離などは把握できますが、○で囲まれた歯の根の表側(前面)にどれだけ骨があるのかは把握できません。

CT

CTでは歯の根の前面にどのくらいの骨があるのかを把握できます。この患者さんでは一層の骨があるかないかくらいの厚さしかないことがわかります。この方向への歯の動きが要注意であることを把握できます。