裾野駅徒歩3分の矯正歯科専門医院です。キレイな歯並び・キチンとした噛み合わせのための矯正治療を行います。近隣の沼津市や長泉町からもどうぞ。

わたなべ歯列矯正クリニック

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子どもの矯正治療

9月28日(月

『子どもの矯正治療~分類が同じでも異なる治療内容

 

不正咬合と一口に言っても、中身はいろいろあります。

上顎前突、下顎前突、叢生、反対咬合、開咬(前歯部、臼歯部)、過蓋咬合、交叉咬合、鋏状咬合、空隙歯列、上下顎前突、異所萌出、埋伏歯、過剰歯、先天欠如歯、、、

さらにこれらの多くには、

歯の位置や角度が問題であるもの(歯性)、

土台の位置に問題のあるもの(骨格性)、

などの分類が加わったり、もちろんそれぞれの不正咬合の程度(軽度~重度)も合わさりますすから、さらに細分化されます。

 

これら不正咬合、患者さん一人に付き一つとは限りません。というよりも、叢生(歯列の凸凹)や上顎前突(出っ歯)が組み合わさっているとか、下顎前突で臼歯が交叉咬合を呈しているとか、いうようにいくつかの不正咬合を併せ持っていることがほとんどです。

来られる患者さんの中で一番多いと感じるのが、今挙げました、

叢生と上顎前突が組み合わさった不正咬合です。

 

ではこのよくある不正咬合のタイプであれば治し方は一緒かというと、必ずしもそうとは限りません。

叢生と上顎前突でも

叢生・・・軽度~中等度~重度  

上顎前突・・・軽度~中等度~重度(骨格的な要素)

と程度に差がありますし、

症例としては中等度でも、小2の中等度と小6の中等度は同じではありません。

程度や乳歯から永久歯への生え替わりの状況、土台となる骨の成長度合いなどによって、

始める時期や、治療期間、用いる装置、抜歯必要性の有無

など多くの点で違いが出てきます。

例えば、

小2 叢生、上顎前突ともに軽~中等度

拡大プレートなどで歯列の幅を拡げたり、ヘッドギアという装置で出っ歯を治したりといったいわゆる『子どもの矯正治療』で改善

小2 叢生、上顎前突ともに重度

子どもの治療が功を奏さない可能性が高いので、敢えてこのタイミングでアプローチをせずに、中学生になってから(すべての永久歯が生えそろってから)治療を開始

小6 叢生、上顎前突ともに軽~中等度

程度としては重くはないが、乳歯から永久歯への生え替わりを利用した治療ができないため(小6でほとんどの乳歯が抜けすでに永久歯が生えそろってしまっているので)、子どもの矯正治療ではなく、『大人の矯正治療』で改善

のようになります。

 

学年(歯の生え替わり具合)が同じでも程度が異なれば違う治療になりますし、程度が同じでも学年が異なれば違う治療になるというわけです。

 

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3月12日(木

『反対咬合の治療いろいろ』

 

反対咬合には成り立ちによって、

①上下の前歯の角度や位置が問題であるもの

②上下の顎の位置に問題があるもの

と、大きく分けて2つの型があります。①にはさらに2つの型があります。

専門用語でいえば①が歯性反対咬合、②が骨格性の反対咬合となります。

身長と同じで、下顎(の骨)も成長期にぐんと伸びますから、小学6年生~中学生にかけての反対咬合は骨格性の反対咬合の性質を呈していることが多いです。

 

かといって中学生前後の反対咬合のすべてが骨格性であるわけではありません。

中学1年生女子、反対咬合で半年ほど前から治療を開始しているこの患者さんは、反対咬合ではありますが歯性であり、骨格のバランスはほぼ標準に近いといった現状でした。

骨格のバランスがいいのになぜ反対咬合かというと、この患者さんは、

”下の歯列は一列の並び、上の歯列は前歯の2番目が内側に入り、犬歯は八重歯の凸凹のしれつだった”

からでした。

”~”の意味がお分かりになりますでしょうか?

歯列は一列だと”張り”ます。

逆に、凸凹だと”たわみ”ます。

上の歯列がたわんでいて、下の歯列が張っている状態でカチンと噛み合わせれば『反対咬合』になってしまうことがあります。たわんでいる分歯列が後ろに位置づくからです。

なので骨格のバランスに問題がない以上、上の歯列も張らせれば下の歯列より前に行き、反対咬合ではなくなることになります。

 

患者さんとしては、反対咬合もさることながら、上の歯列の凸凹もまた治したいと気にしているところであります。そのため、上の歯列にはブラケット装置(とワイヤー)、反対咬合に対応したマウスピース装置を併用することで半年間治療してきました。

現在では上の歯列が一列に張っており、下顎も少し後ろに位置づいたため、噛み合わせとしてすでに反対咬合ではなく、上の歯の一列と正常被蓋が同時に達成されたような形になりました。

 

原因によって当然方法も変わります。

このくらいの年齢で骨格性の反対咬合であれば、将来的に顎の骨を切る手術が必要になる場合もありますから、原因がどこにあるかを見極めて治療方法を選択することがとても大事です。

 

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11月3日(日

『子どもの歯並びが羨ましくなって・・・というお母さんの初診相談

 

少し前になりますが、現在小学6年生で子どもの矯正治療がほぼほぼ終わり、経過観察に入った患者さんのお母さんから、

『今度私の歯並びを診てもらえますか?娘の歯ならびがキレイになったからって、私もっていうのも変ですよね、、、?』

との申し出が。

さかのぼってみれば、この患者さん(お子さんの方)の初診相談の際、

『私が歯並びガタガタで苦労したので、娘の歯並びはよくしてあげたい』

というのが、矯正治療が始まるきっかけでした。

お子さんの歯並びがひと段落付いたため、昔から気になっていた自分の歯並びを治したいと思い始めたとのこと。

 

実はよく似たシチュエーションは他にもあります。

例えば、

職場や学校の友人が矯正治療を始めて、歯並びがキレイになっていく様子を間近で見て自分も矯正をしたいと思うようになった方や、

一人のひとのなかでも、部分矯正で上の前歯をキレイにした結果、下の歯列や全体的にもキレイにしたいと思い始め、その後全体矯正に進んだ患者さん、さらには

海外留学で向こうの歯ならびキレイ率がとても高いことに衝撃を受け、帰国後間も無く矯正歯科の初診相談に訪れる方、

年に1回お正月に会う同年代のいとこが矯正治療を始めていたと言う方、

、、、などなどがこの例でしょう。

 

矯正治療は噛み合わせをを治すという、機能が改善される面を持つ一方で、並びを治すという『見た目』をよくする面も持っています。

噛み合わせをよくするというとしっかり健康面にアプローチをしているような感があります。

一方で並びはどうでしょう。

見た目なら結局は美容目的でしょう?

と思われてしまうかもしれません。そしてなんとなく美容目的で形が変わることを良しとしない雰囲気もあります。

 

矯正治療を美容目的でやるのは悪いこと?

堅い内容ですが、『健康』を辞書で引いてみると、

健康とは、単に病気ではないとか、弱っていないとかいうだけでなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、全てが満たされた状態であること

とあります。

噛み合わがいいことは肉体的に満たされた状態でしょう。

歯ならびにコンプレックスを抱いている方の並びが一列になれば、精神状態もとても満たされたレベルになるでしょう。

さらには地域、学校、職場、、、みなさんなんらかの社会生活を営んでいます。その中では周囲と比較する、されることもあれば、その環境にはある種の価値観がすでに作られているかもしれません。その社会の価値観に合うようになることは、社会的に満たされた状態になることに他なりません。

つまり、見た目の改善もまたれっきとした『健康』目的に行うことであり、並びの改善を目的として矯正治療を行うことももちろん悪いことでも変なことでもないわけです。

 

『周りの人たちの歯ならびがキレイになったから自分も始めたい』という動機は、自分が健康になるための素晴らしい動機だと思います。

 

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11月18日(金

『○歳時歯科検診や学校歯科検診で気づいた歯並び・噛み合わせのこと

 

裾野市の○歳時検診や学校、保育園検診の担当で歯科検診を行うことが年に何回かあります。

むし歯で気づいたことは、私見ですが、

『ある子にはたくさんあって、ない子にはほとんどない』

という両極端の状況があるように感じています。

ただ全体としては、

『虫歯の本数は減っている』

と感じます。

 

一方で歯並び噛み合わせはどうでしょう。

乳歯だけの歯列なら、さっくりですが、

乳歯同士の間に隙間があって、出っ歯でも反対咬合でもなく、、、

という歯列の状態が望ましいとされます。

しかしなかなかこのような、文字で書けば1行で書けてしまう内容ですが、この状態を満たしている歯列のお子さんはそうそういません。

 

隙間なくびっしりキレイに並んでいたり、乳歯の段階からすでに歯同士重なり合っていたり、出っ歯さんだったり、噛み合わせが反対だったりと、、、

どれか一つは不正咬合につながる要素を持っているように感じました。

 

虫歯は地域や日常のご家庭での取り組みで実際に『減っている』現状となっています。フッ素塗布や、フッ素洗口、フッ素入歯磨き粉の使用の広まり、保護者のお子さんの歯への意識の向上などが日常的に行われています。

 

それに対し、歯並びや噛み合わせを良くする取り組みはどうでしょう。虫歯のと取り組みに比べれば、あまり取り組まれていないような感じがするでしょう。

これにはちゃんと理由があります。

簡単に言えば、

『これをやればいい歯並びになる』

といった明確な予防法のようなものがないからです。

 

小学生の初診相談の際に保護者の方からよく、

『どうしていれば凸凹してこなかったんでしょうか?顎を使って硬いものを噛むようにすればいいのでしょうか?』

と質問を受けます。

硬いものを小さいころから噛んでいればいいかと言えば、仮にそれが正しい答えだったとしても、硬いもの、噛みちぎらないといけないもの、噛む回数を増やさないといけないもの、、、などを日常的に毎食食卓に並べるのも至難の業でしょう。

小さいお子さんであればご飯を食べてくれないというもっと現実的な問題にぶつかってしまいそうです。

なので歯並び・噛み合わせに関しては、予防というよりはある程度症状が出てからの治療というあり方がまだ一般的です。

もちろん虫歯がもとで生じる不正咬合もありますから、そういう意味では虫歯予防も不正咬合予防につながるといえばもちろんそのとおりです。なので、かかりつけ歯科医院を持って、定期的なフッ素塗布や定期健診をすることは不正咬合の予防という点からも意義があると思います。もちろん、不正咬合の指摘ももらえるでしょう。

また、専門用語では『予防矯正』という言葉もあります。矯正は治療としてするんですが、より重篤な症状になってから治療をするのではなく、軽度なうちに、重篤化する前の予防として矯正治療をするという考えです。

 

なので不正咬合にならない明確な予防法はありませんが、そのような前提においては、早い段階での不正咬合が重篤化する前での発見やアプローチが有効な予防法と言えるでしょう。

 

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10月30日(水

『小学生の矯正治療開始のタイミングは?

 

初診相談の際、小学生の患者さんの保護者の方から、

『治療を開始するタイミングはいつがいいですか?』

という質問をよく受けます。

少し前のブログでも触れましたが、大まかには、

①2年生くらい

②4年生くらい

という2つのタイミングがあります。

本当にざっくり言えば、

やることは多めにある(程度がそこそこ大きい)場合は①、

やることが少なめの場合は②、

ということに一応はなります。

 

いわゆる子どもの矯正治療は、

『ご本人の本来持っている顎の幅の成長力』

や、

『歯の生え替わり』

を上手く利用して進めていく治療ですから、顎の成長や歯の生え替わりがほぼほぼ終わってしまう『6年生』くらいが子どもの矯正治療のタイムリミットと言えます。

矯正治療では、治療を始めてから効果が出るまでにはやはり年単位の期間が必要です。

そこを逆算すると、程度の軽い症例でも4年生くらいからは治療を開始しいる必要があるわけです。

 

するとこんな疑問も湧いてきます。

程度の重い症例の方が4年生で初診相談に訪れたら?

この場合、程度が重くタイムリミットまでの時間も少ないという点から、子どもの治療だけではおそらくその不正咬合を解決できないため、

子どもの矯正治療+中学生以降の矯正治療(ブラケット治療)

かあるいは、

子どもの治療はせずに、中学生まで待ってそこからブラケット治療を行う、

というような選択肢が考えられます。

 

このあたりのことから、治療開始のタイミングを早い段階から知っておくことにメリットが多くあると考えられます。

1~2年生くらいのうちに一度矯正歯科を受診し、タイミングのお話などを聞いて①にも②にもどちらにも対応できるという体制にしておく、というのがベストかもしれません。

 

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10月6日(土

『子どもの矯正治療の期間も患者さんそれぞれ

 

先日子どもの治療が一通り終わり、あとは12歳臼歯が生えるまで経過観察になった患者さんの診療がありました。

当院では子どもの治療で、

①拡大プレート→②ヘッドギア(下顎にはリンガルアーチ)→③前歯だけのブラケット装置

の流れで治療するパターンがとても多いです。

小学生で一番多い不正咬合は、出っ歯と並びの凸凹です。なので上のような流れが当てはまることが多くなります。

 

ざっくりですが、

①の拡大プレートは歯が並ぶための幅を作る装置

②のヘッドギアは出っ歯を治す装置

③は①と②でやったことの仕上げをする装置

です。

 

今回の患者さんはこの経過観察を開始するまで1年ほど装置の使用をしていました。

去年の8月から今年9月までになります。その診療の最後にお母さんから、

『早かったですよね!』

の言葉がありました。

子どもの治療は取り外しタイプの装置が主なので、本人の装置の頑張りが鍵を握ります。使った分だけ歯は動くのでその分治療も早く進みます。

なので、早く終わったのは間違いなくご本人が頑張ったからです。

 

もう一つの理由としては、もともとの不正咬合の程度にあります。

当然といえば当然ですが、もともとの程度が大きければその分時間もかかりますし、程度が小さければその分時間もかからないことになります。

凸凹があってしかも出っ歯

よりも

出っ歯だけ

の症例の方が治すことも少ないので当然それを直す時間も少なくて済みます。

①には6ヶ月〜12ヶ月

②でもやはり6〜12ヶ月

③は3〜6ヶ月

が各ステージの期間の目安です。

 

今回の患者さんは凸凹はあまりなく、出っ歯が多めにある方でした。なので①のステージでの治療はする必要はなく②からのスタートでした。

①〜③全て行った場合の期間の幅は15ヶ月〜30ヶ月

②と③を行った場合の期間の幅は9ヶ月〜18ヶ月

となりますから、②と③をやって13ヶ月の治療期間というのは実際的には標準的な期間ということにはなるわけです。

ただなんとなく一般的な矯正治療の治療期間といえば『2年から3年』というイメージをお持ちの患者さんも多いですから、それと比較すれば断然短いということにはなるのでしょう。

 

凸凹だけ、凸凹と出っ歯、出っ歯だけといった組み合わせもありながら、凸凹や出っ歯にもその軽い重いといった症状の程度もありますから、それらが治療期間の長短に反映されるわけです。

 

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9月13日(金

『トップページにビフォーアフターを乗っけてほしいくらい

 

小学6年生の女子の患者さんです。

小学4年ころから出っ歯と凸凹(なりかけの八重歯)の改善を目的に、子どもの矯正治療をしています。

 

子どもの矯正治療は中学生以降のいわゆる大人の矯正治療とは違って、お口から患者さん自身で取り外すことのできる装置を用いて治療をすることが多いです。

お口から外すことができ、学校では装置を原則使用しなくてもよいので、使っている装置が外から見えるということがあまりありません。

一方で、付けたままで取り外しの出来ない装置であれば、患者さんの意思で外すことが出来ないことがデメリットである反面、常に歯に力がかかっていることになるので歯の動くスピードが速いことがメリットと言えます。

言い方は悪いですが、付けたままの装置は歯に付いたままであること(からくる不自由さなど)を我慢できれば、あとは歯は勝手に動いてくれます。

 

一方で、取り外しタイプの装置はどうでしょう。もちろん装置が装着されていないと歯に力はかかりませんから、装置を使用しない限りは治療は進まず歯並びもキレイにはなりません。

装置の付け外しをするのは患者さん本人ですから、患者さん本人が頑張らないことには良い結果にはなりません。

なので子どもの矯正治療の成否は患者さん(とそのご家族)の頑張りがカギを握っているといってもいいくらいなのです。

 

そこで冒頭の患者さんですが、先日積極的に歯を動かす治療が終わり、今度は良い位置に動いた歯をそこで止めておく『動かさない』治療に入りました。

『抜歯が必要と言われたんですが、なんとか抜かない方法はないですか』

というお母さんの初診時の主訴も今は昔、ご本人が取り外しタイプの装置を2年間頑張ったことで中間を抜かずに、かといって口元が出てしまうわけでもなくむしろ少し引っ込んだほどで、経過観察に入ることが出来ました。

その際お母さんが、

『ホームページの一番上にこの子のビフォーアフターを乗っけてほしいくらいですよ!。会う人にしか見てもらえないのはもったいないから(笑)』

とのことでしたが、患者さん本人が『やだよ』とのことでしたので、ホームページには載せていません(笑)。

 

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6月5日(水

『やっぱり浅い噛み合わせの反対咬合は治りやすい

 

さて小学生くらいの反対咬合や、交叉咬合、開咬といった不正咬合は、歯並び噛み合わせの問題にとどまらず、後々顎の形を変えてしまいうる不正咬合として、早期のアプローチが好ましいとされています。

 

2月の終わりくらいにそのような、今後の変化を心配されている小学校低学年の女児の患者さんが初診相談に来院しました。

お母さんによれば、かかりつけ歯科医より、前歯が永久歯に生えかわっても前歯が反対の噛み合わせのままだったら矯正治療を考えましょう、と提案されていたとのこと。

前歯が永久歯に生えかわったのは1年ほど前でしたが、そのあと今日まで反対のままであったため来院したといういきさつがありました。

かねてより反対咬合をかかりつけ医より話をされていたためインターネットなどでも調べる機会も多く、初診相談でも『反対咬合は治らないと手術するんですよね!?』と質問があったほどです。

ちなみに中学生以降の反対咬合であっても、程度がよほど大きくなければ手術ということにはならない、というのが実際ではあります。

 

上記のような知識をお持ちであったため、『そのうち治るかも』と思いながら1年間、歯科を受診せず過ごしてしまったことを少し後悔している様子でした。

その後治療を始めることになり、4月の半ばくらいに装置の使用が始まりました。

そして先日使用開始して最初の1か月の診察があったのですが、このとき反対咬合はすでに治っている状態でした。

カチンとと噛んだとき、上の前歯の方が下の前歯より少しでも前にあればそれはもう反対咬合ではありませんから、これをもって治ったと一応言えるわけです。

お母さんとしてはびっくりです。手術のことまでを気にしていた数年来の反対咬合が、1か月で反対ではなくなったのですから。

 

ただ注意点として2つあります。

一つ目はもちろん、=治療終了というわけではないということです。

この装置をトータル1年ほどは少なくとも使用し、上の前歯を下の前歯よりもっと前にしておくことや、『上の前歯が前』にある状態を維持していくことが今後必要です。

二つ目は、この患者さんが『反対咬合が治りやすいタイプ』だったということです。

以前もブログで取り上げた、反対咬合が治りやすいタイプである、

『父母が反対咬合ではない、噛み合わせが浅い、反対の程度が小さい』

という条件を、この患者さんが満たしていたことが早期に治った理由と考えられます。実はこのような条件を満たした患者さんの反対咬合が1~2か月で治ってしまうのは珍しいことではなく、比較的よくあります。

逆にこの条件を満たしていないと改善までに時間がかかることが多いです。一つの装置だけでなく、他の装置、併用、などといったことが必要になります。

 

お母さんの話していたように手術になることは稀ですが、反対咬合は並びの凸凹(叢生)などの不正咬合に比べ、外見や顔の形にまで影響してくる可能性が高い不正咬合であることは事実です。

『治りやすいタイプ』の症状が進行して『治りにくいタイプ』に移行してしまわない、早めのアプローチが必要でしょう。

 

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5月18日(土

『中学生、混合歯列の反対咬合』

 

反対咬合といえばいわゆる受け口のことです。

受け口の治療はステージや程度により異なり、

小学生(就学前や小学生の期間)・・・顎の成長をコントロールする治療 ←土台が動くので、動く土台を好ましい位置に導く治療

中学生~成人(程度が小さいもの)・・・マルチブラケット治療 ←土台がもう動かないので、土台の上の歯を並べていく治療

中学生~成人(程度が大きいもの)・・・手術を伴う矯正治療
※中学生~高校生で程度が大きい場合は、10代後半からブラケット治療を始めます。

おおよそこんな感じになります。

 

中学生で、程度が小さいものはマルチブラケット治療を始めてもいいでしょう。

注としまして、

中学生→12歳臼歯まで生えている

程度が小さい→反対咬合でも骨格性の要因が小さく、身内に反対咬合の方がいない、など

等が付きます。

 

先日の相談の方は中学1年生の女子で、少なくともご両親は反対咬合ではなく、程度も切端咬合あるいは2~3歯に反対の歯がみられるくらいでした。

ただ歯列の発育段階として、12~3歳の方で見られうる永久歯列ではなく乳歯(第2乳臼歯)が混じった混合歯列の状態でした。当然12歳臼歯もまだ生えていません。

そうなると、上の記述に当てはめ中学生で程度は小さいものの、即マルチブラケット治療の適応というわけにはいきません。

単純には、

『マルチブラケット装置の適応が12歳臼歯まで生えそろった永久歯列からだから』

ということがそその理由に挙げられます。

一方で反対咬合で混合歯列(体全体としては成長期)の場合、まだ下顎自体が伸びる可能性も秘めています。つまり歯が植わっている土台が動くということです。

なので、現時点で土台の上の歯一本一本をきれいに並べていく、という治療つまりマルチブラケット治療を行うことはありません。

というよりも、現状で反対咬合かつ土台が動きうるのであれば、さらなる好ましくない動きを抑えることをしなければなりません。つまりは、さらに顎が前に出てしまうということを防がなくてはいけないわけです。

 

中学生とくに中学1年生くらいですと、生えかわりの個人差からまだ乳歯が残っているという状況は特別珍しくはないかと思います。他方で12歳臼歯まで生えて永久歯列が完成していてももちろん珍しくはありません。

これに症例としての中身が併されば、治療の内容に差が出ることも然るべきということになるのでしょう。

 

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4月14日(日

『矯正治療はすぐ始まらない?』

 

先日の初診相談の患者さんです。小学校2年生の女子が患者さんで、お母さんが来院されました。

並びの凸凹と出っ歯さんが組み合わさった歯並びで、治療開始のタイミングとしては今ぐらいがちょうどいい頃合いです。

 

ご本人も装置珍しさ、友達もしている等々あり治療をしたそうです。しかしそれにも増して治療に前向きなのがお母さんでした。

それはこの一言によく表れています。

『この後その装置を付けてもらえるんですか?』

 

矯正治療と一般歯科治療、とくにむし歯の応急処置的な治療とで最も大きく異なるのが、治療開始となるまでの期間でしょう。

『痛い!どうにかして!』

という患者さんを、治療計画を1週間かけて綿密に立てないと処置ができないのであれば、患者さんは痛みを抱えて何日も我慢しなければなりません。なので、痛くて歯科医院に行けばその場で処置をしてもらえます。

 

一方で矯正治療はというと、来院した患者さんの症状が、一分一秒を争う緊急症状であることはまずありません。それは患者さんの方も実はちゃんと分っていて、患者さんが取る初診相談のご予約は数日~1週間後くらいを希望される場合がほとんどです。

逆に、例えば午前にお電話があってその日の午後の初診相談希望という方は稀です。

 

ところで矯正治療は年単位の治療です。

今日何をするという計画ならともかく、何年もかかる治療の計画となれば瞬間的に立ててしまうわけにもいきません。

患者さんも、大事な数年を治療に費やすわけですから『そんなすぐに簡単に、やることを決めてしまっていいの?』と思われるでしょう。

 

ちなみに矯正治療は、

初診相談の回

検査の回

診断の回(検査結果と検査から導き出された今後の方針が決まる回)

歯磨き状況をチェックする回

装置準備の回

装置使用を始める回

 

の順に進みますが(医院によって差はあります。)、どうでしょう、初診相談からこれだけの行程を経て装置の使用が始まります。

初めて目にする、耳にする方はびっくりするかもしれません。ですが、矯正治療の特殊性上どれも省略できない行程です。

冒頭の保護者の方も納得はしていただいたもののやはりびっくりした様子でした。

 

今回は矯正治療の特殊性を『期間』に特化してお話ししましたが、他にも特殊な要素はたくさんあります。

だからこそしっかりとした準備を経て治療開始となることが必要です。

 

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2月26日(火

『小学生5年生くらいまでの八重歯は歯を抜かずに治りやすい~その1』

 

今回は上のテーマの導入として、前歯の凸凹や出っ歯さんの成り立ちについて書きたいと思います。

 

日々臨床をしていて一番多いと感じる小児の不正咬合は、

①前歯の凸凹

②上の奥歯が前に来てしまっている

③場合によっては出っ歯さん

であり、

①と②はほぼ確実に併せ持っていて、場合によっては

①と②に加え③も併せ持っている、

という場合がほとんどです。

 

成り立ちとしては、②が何らかの理由で起こってしまい、結果①や③という形で表現化するというものです。

『一番前の隣の歯(側切歯)が後ろから生えてきた』

ことで『前歯の凸凹』という形が出来上がりますから、前歯の凸凹を主訴に来院される小学生の方は、上の側切歯が生え始める小学校2年生くらいであることが多いです。

 

奥にとどまっていて欲しい奥歯が前に来てしまうと、前方にある歯をもっと前に押してしまったり、あるいは前方の歯が生えるスペースを奪ってしまうことになります。

奥歯が前に来てしまうことで、

前方にある歯をもっと前に押してしまえば③の出っ歯さんになりますし、

前方の歯の生えるスペースを奪ってしまえば①の凸凹になってしまいます。

なので凸凹や出っ歯さんという不正咬合は、本来奥にあるはずの奥歯が前に来てしまったことの表現型の違いということになります。

 

ではこのような最も多いタイプの不正咬合、治療開始のタイミングは?というと、

上記の小学校2年生くらいで矯正歯科を訪れた場合、そのタイミングが子どもの治療開始として『適した』タイミングであることが多いです。

 

次回はその理由について書きたいと思います。

 

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2月2日(土

『反対咬合の改善~早いパターンと遅いパターン』

 

小児の反対咬合で来院される方も多いです。

反対咬合には色々なパターンがあります。

成り立ちとしては、難しい言葉で言えば環境要因と遺伝要因というものがあります。

環境要因とは、その子が生活していく中で歯の外部から影響を受けて成り立つものです。たとえば、口呼吸とかベロの癖、爪噛み、むし歯、乳歯が早く抜けてしまう、、、といったものです。

遺伝要因とは、お父さん、お母さん(やおじいちゃんおばあちゃん)が反対咬合だと、お子さんも反対咬合といったようなものです。お父さんの背が高いとお子さんも背が高い、という現象に似ています。(これらの要因があれば必ず反対咬合になるというわけではありません。)

 

様態としては、骨格性、機能性、歯性、

程度としては、噛み合わせの深いものと浅いもの、上下の前歯の距離が近いものと遠いもの

等があります。

 

さてこれらの要素を縦割りで見た時の組み合わせによって、治療を開始した際の改善までのスピードに差が生まれます。

改善が早いものは、

環境要因で、歯性(機能性)、噛み合わせは浅く上下の前歯の距離が近いもの

です。

逆に改善が遅いものは、

遺伝要因で、骨格性、噛み合わせが深く上下の前歯の距離が遠いもの

です。

これは分かりやすい組み合わせかなと思います。

お父さんの背が高い子は放っておいても背が高くなりますし(背が高くなるのをなかなか止めることはできません。伸びてしまいます。)、下あご(の骨)が伸びてしまった結果下あごが前に出てしまったのであれば、伸びてしまった顎を短くすることはできません(身長180cmのひとを170cmに出来ないのと一緒です。)。

なので後者はスピードが遅いこともさることながら、改善の難易度が高いケースともされています。

 

小学校低学年で、いわゆる早いタイプであれば、装置を使ってひと月で反対咬合の改善をみる患者さんも少なくありません。

数年間悩んでいたお子さんの反対咬合が僅か1か月で改善したわけですから、保護者の方もびっくりです。

もちろん改善といってもこの時点ではがっちりとした改善ではないですし、また戻ってしまうこともありますから、この後もまだもう少し装置は使い続ける必要はあります。

 

ただこの『早い』パターンであっても、放っておくと、『遅い』『難しい』方向へ”要素”が変化してしまうこともあります。

『早い』方のケースを放っておくと、

環境要因→環境要因のままです。

歯だけが反対咬合→顎ごと、骨ごとの反対咬合へ変化

浅い噛み合わせ→浅いままである可能性が高いです。

上下の前歯の距離が近い→遠くなってしまう(反対の程度が大きくなる)

のような変化が起きて、つまり骨が伸びてしまったタイプである骨格性の反対咬合に移行してしまうことがあるので注意が必要です。

 

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1月19日(土

『意外に知られていない、『乳歯の虫歯』と歯並び・噛み合わせとの関係

 

僕も学生の頃大学の講義で聞いて驚いた記憶があります。

『虫歯が歯並び・噛み合わせに影響を及ぼす』

ことがあるのです。

キーワードは、『場所取り』です。

 

最近は世間、お父さんお母さんの歯への関心の高まり、デンタルIQの向上から、フッ化物の使用率や定期的な(虫歯がなくても)歯科医院への受診率も上昇しており、結果子どもの虫歯率は大幅に減少しています。

なので昔ほど、虫歯がよくない影響を及ぼした結果の不正咬合を見なくはなりましたが、それでもやはり、初診相談に来られる方には一定割合でそれ由来の不正咬合が見られます。

 

虫歯になると歯に穴が開きます。

小さい穴ならいいんですが、初めは小さくても進行すると穴は大きくなっていきます。穴が大きくなると歯のサイズがその分小さくなることになります。

 

乳歯にはいろいろな役割がありますが、その一つに、永久歯に取って代わられるまでの場所取りというものがあります。

乳歯の下からはしかるべきタイミングで永久歯が顔を出します。その際、乳歯にしっかりと自分が入り込むためのスペースを確保してもらっていないと、生えてくることができません。生えてきたとしても歯列からはみ出してしまい、凸凹の歯列になってしまいます。

はみ出して不正な位置に追いやられた永久歯は、もちろん相手の歯と上手くかみ合うことができませんから、これは噛み合わせの問題にも発展します。

 

話をつなげますと、虫歯などで乳歯が小さくなってしまうと、それはイコール次に生える永久歯のの生えるスペースを奪ってしまうことになるため、

『乳歯の虫歯は歯並びや噛み合わせの不正に発展する』

と言うことができるのです。

 

乳歯の奥歯は、2歳くらいで初めてお口に姿を表してから、永久歯への交換で抜けるまで、およそ10年間そこに居続けることになります。

ぜひとも乳歯本来の役目を全うさせ、次の永久歯に正しくバトンタッチをしたいものです。

 

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1月5日(土

『小児の八重歯は治る確率が高いです

 

あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、小児の患者さんの矯正歯科に来院するタイミングで多いのが、

1永久歯の前歯が生え始めたタイミング

2上の犬歯が生え始めたタイミング

です。

目立つところに生えた永久歯が凸凹で並んでしまったり、逆に、生えるはずの時期になかなか生えてくれなかったり、ということが起こるとやはり保護者の方は心配されます。なのでこの1のタイミングで来院される方はとても多いです。

次かどうかは分かりませんが、やはり比較的多いのが、上の犬歯が生えるタイミングで来院される方です。

上の犬歯を3、その後ろの第一小臼歯を4、第二小臼歯を5と呼びますが、この3本の歯は生える順番が、

4→3→5

の方もいれば

4→5→3

の方もいます。

第2乳臼歯が抜けたタイミングで、

すでに3が生えていれば、その3がやや八重歯でも、乳歯が抜けたスペースを利用して歯列に入り込んでいけます。

一方この時まだ3が生えていないと、乳歯が抜けたスペースは第一大臼歯(6)が詰めてしまいます。すると3は残ったスペースに生えてくるしかなく、残ったスペースが十分でなければ八重歯になってしまうのです。

ですから犬歯が八重歯になりそうと心配される方も、多くこのタイミングで来院されます。

 

と、前置きが長くなりましたが、逆に考えて、3が生えて八重歯になってしまった後でも時間を巻き戻す(前に来てしまった6を後ろに戻す)ことが出来れば、3は歯列に入っていくことが出来ます。

もちろんそのための装置を頑張って使うことが大前提ですが、もう少し後、12歳臼歯が生えてしまうとなかなか経過してしまった時間を戻すことができません。

12歳臼歯まで生えてしまった後の八重歯はその程度にもよりますが、『抜歯をともなうマルチブラケット治療』の適応となることが多く、抜かずに八重歯を治す確率を高めるのであれば、乳歯が混じっている歯列のうちに始める方がいいということになります。

 

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12月25日(火

『どれも緊急性がある不正咬合だった初診相談

 

子どもの矯正治療では、このサイトやブログでも何度かお伝えしていますように、

初診来院時=ベストな治療開始時期のタイミング

とは限りません。

例えば軽度な凸凹や、4本の前歯にまだ乳歯が混じっている場合は、適切な時期になるまで待ってそこから装置を使って治療が始まる、なんて言う場合も少なくありません。

 

一方で、不正咬合は種類や程度も様々です。中には、緊急性を要する、つまりすぐ始めた方が良い不正咬合も少なからず存在します。

先日来院した患者さんがまさにその状態でした。

10歳女子、主訴は『前歯の凸凹、犬歯の生えるスペースがない』です。

パノラマX線を希望していましたので撮影し、併せて状況把握を行いました。

 

ではどんな不正咬合が認められたかというと、

・受け口

・下顎の左方向への変位(シフト)→左の臼歯が交叉咬合

・上下前歯の凸凹。特に側切歯の舌側転位が顕著

・下顎の側切歯が大きく唇側にはみ出された形になっており、同歯の歯肉退縮が著しい。

・レントゲンにて、骨の中の左上の犬歯が左上の側切歯の根っこを溶かしかかっている。

等でした。

 

凸凹以外はお母さんも初めて聞く不正咬合で、これまではその存在自体も把握していないものでした。

しかし、把握していなかったことの方がすべて緊急性があるもので、早急のアプローチが必要です。

これだけ不正咬合が揃っていると、一度にすべてにアプローチとはなかなかいきません。優先順位を付けて、緊急度のより高いものからアプローチしていくことが重要です。

 

といった内容を説明しました。

 

治療のタイミングは、特に小児であれば様々です。初診相談=開始のタイミングでは決してありませんが、=の場合も決して珍しくはありません。

 

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9月3日(月

『主訴は右上の八重歯。でも、、、

 

ここ3〜4日の間で同じようなパターンで似たような症例の初診相談がいくつかありました。

 

まずは小学生の女子です。

右上の犬歯が八重歯として生えてきたことを主訴に来院しました。

当院の小学生の初診相談では、ご希望のある方にパノラマレントゲンの撮影を行っていることはこれまでにも書いた通りです。

永久歯は骨の中から生えてきます。その骨の中をレントゲンで見るということは、『この先』生えてくる歯の『現在』の様子を知ることができる、ということです。

つまり、まだ骨の中にあるとある永久歯が、

ちゃんとまっすぐ自分が溶かすべき乳歯の方向に向かって進んでいるか

他の歯に自分が生えることを邪魔されていないか

そもそもその『とある永久歯』がちゃんと存在しているか

などを知ることができます。

現状が把握できれば将来の予測が可能になりますから、将来の噛み合わせの予測もある程度はできることになります。

 

この女子は主訴は八重歯でしたが、レントゲンを撮ってみると下顎の両側の第2乳臼歯の下に永久歯がないことが分かりました。

永久歯が何本かないなんていうと大変なことにも聞こえますが、日々矯正の臨床をしていると割とよく遭遇する症状です。上顎の側切歯や上下第2小臼歯は先天欠損の好発部位でもあります。

初診相談などでこのことが判明すると慌ててしまうお母さんもいます。一方で欠損の本数にもよりますが、対応法はある程度決まったものがあるので、そうと分かっても心配し過ぎなくても大丈夫です。

 

次もやはり小学生です。

上顎の側切歯が内側に入っていることが主訴でした。気になるのは『並び』です。

レントゲン希望でしたので撮影してみると、この方も下の奥から2番目の乳歯の下に永久歯がありませんでした。さらにそれに加え、左上奥の乳歯の上にも永久歯がありませんでした。

なので合計3本の永久歯がありません。

さらにこれらに加え、上顎正中に過剰歯らしきものも存在していました。

 

最後もやはり小学生です。

この方は初診相談の際にレントゲンは撮らず、後日検査をした際にレントゲンにてやはり下の第2乳臼歯欠損が判明しました。現在診断前なので、ご本人や保護者の方はおそらく欠損の事実を知りません。

診断の際に欠損の旨を伝え、それらを踏まえた治療方法を提案することになります。

 

偶然が重なっているわけですが、少ない率で生じるはずの先天欠損の症例が続くとその率が上がっているかのような錯覚を覚えます。

 

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8月10日(金

『反対咬合の診療が多かった一日

 

一日の中で同じような診療内容や症例が重なることはよくあります。

この日は反対咬合の患者さんが多い一日でした。

 

その日の朝の時点で判明している反対咬合の診療は4件。

午前中の診断で1名。

午後の診療で3名。

うち一人はプレオルソ、一人はムーシールドを使っての治療でした。舌癖の除去に加え、プレオルソの方が下顎の位置づけをする分、治りが早い気がします。

午後の反対咬合のもう一人は治療途中での経過報告を相談室にて行いました。本日はお話のみの回です。

子どもの歯並び噛み合わせは、土台となる顎の成長や、土台の上の歯の生え替わりなど変化が目まぐるしいため、治療の効果や経過、進捗などと併せ、半年に1回ほどこれらを保護者の方に報告する場を設けています。

子どもの治療はどうしても経過が長い治療になります。

毎回の診察の後には必ず、その日に行ったこと、現状での起きている変化や効果などは説明していますが、患者さんやその保護者の方にとっては、症状が最初と比べてどう変わったのか、これからどのタイミングで何をしていくのか、いつまで治療が続くのか、などなど治療中にはいろいろな不安が付いて回ります。

なので定期的にこちらが経過をお話しするというよりは、定期的にお話をお聞きする場を設けることで、長い治療期間と上手にお付き合いいただくことだ出来るような環境を作るようにしています。

 

これだけでも全ての診療に占める反対咬合の割合は多めな一日と言えます。

一方でこの日は初診相談が4件入っていました。4件ともお電話での予約の方だったため、どのような主訴(気になるところや症状)での相談かは当日朝の時点では分かりません。それぞれ来院されたところ、

午前の1件の相談は成人で開咬の患者さんでした。

そして午後の3件は全て反対咬合の相談でした。

反対咬合の診療が多めに入っている日に、初めて来院された方の咬合もこの日に集めたかのように反対咬合が多い、という偶然。

このことに気付いたのはその日の診療がすべて終わってからで、『あれ、そういえば今日反対咬合多かったな』と調べてみたらこうでした。

 

ただひとえに反対咬合と言っても、子どもなのか、子どもでも就学前か低学年か、高学年か中学生以上か、男子なのか女子なのか、成人の反対咬合でも程度が大きいのか小さいのか、親知らずはあるのかないのか、主訴で気にしているのは歯並び噛み合わせだけなのか、下顔面の形態も気にしているのか、、、

などなどバックグラウンドが異なると、症状に対してのアプローチの仕方も異なるため、話す内容もそれに合わせて変化してきます。

なのでそれぞれの相談の方で、あまり似たような内容になっていないのも不思議な感じがします。

 

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7月10日(火

『この時期に多い小学生の方のメール相談

 

もちろんメールが来るのはその保護者の方ですが、歯科検診の結果が返ってきた6月~夏休み前のこの時期にかけて、初診相談やメール相談でのお問い合わせが多くなります。

 

内容によっては電話や実際に医院へ足を運ばなくても済むこともありますから、ぜひ活用してもらえればと思います。

 

一方で、メールでの回答が難しい類の質問もあります。それは、小学生の保護者の方から最も多い、

『治療の必要性はありますか?』『いつから必要ですか?』

というような内容の質問です。

 

最近ではお写真を添付しての質問も多く、中には奥歯までとても良く写っているものや、他医院の相談でもらった写真を添付してくれる方もいます。

ですが、そうだとしても実際にお口の中を拝見していない、レントゲンなどを撮影していない段階では、なかなか『必要性はないですよ』や『あと1年後にスタートでもいいでしょう』とは言えません。

 

小学生の患者さんの治療の必要性や開始のタイミングの判定は、決して大げさではない話として、患者さんの今後一生の歯並び・噛み合わせを左右するものであることもまれではありません。

そのような大事な判定は、詳しい現状把握がなされていないことには出来ません。

逆に患者さんの側でも、メールだけでその答えが返ってきてしまった場合、『そんな大事な判定、実際に診てもいないのにメールだけでしていいの?』と思うべきでしょう。

 

ですので、必要性やタイミングに関してのご質問に関しては、質問を頂いた方に即した内容を回答する一方、少なくとも判定には医院まで足を運んでいただく必要がある旨を付け加えています。

 

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4月13日(金

『矯正治療の必要性はだれが決める?~その1

 

4月も半ばに差し掛かりました。ゴールデンウィークともなるとどちらかというともう暑いイメージがありますから、寒い日もあったり暖かい日もある今が一番春らしい毎日でしょうね。

 

さて題名ですが、基本的に最終決定するのは患者さんです。

ただ患者さんだけでは当然、詳しい現状、治療したらどうなる、治療しなかったらどうなる、というところが分からないと思います。つまり治療が必要かどうかの判断材料が揃わない以上、必要かどうかの判断ができません。

そこでそれら材料を提供するのが私たち専門家の役割です。

 

しかしあくまで私たちの役割は、その材料を提供するところまでと考えます。
材料が出そろったところで、つまりは患者さんの側で判断できる状態になったところで、

『そうならないため』あるいは

『こうなりたいため』に、

それを実現する矯正治療が必要と考えるか、不必要と考えるかは患者さんの意思決定です。

 

もしかしたらこちらが、

”矯正治療をしないとこうなっちゃいますよ”

なんていう言い方をするかもしれません。もちろんそれは根拠や経験に基づいた情報の提供です。
しかしこうなっちゃう”こう”が、その患者さんにとって許容できる範囲のもの、つまり”こう”なってもいいのであれば、患者さんにとってこうならないためにする矯正治療は必要ないものになるはずです。矯正治療の必要性はこの患者さんにとってみれば”ない”わけです。

全く同じシチュエーションでも、治療をせずに”こう”なりたくない患者さんにとっては、矯正治療の必要性は”ある”ことになるわけです。

 

少し前ですが、実際に合った2組の例です。

初診時年齢10歳および11歳で二人とも口元の突出が大きく認められますが、口元の突出がある分叢生は軽度でした。つまり歯列の拡大等をすれば一列になりうる範囲です。

診断名は『軽度の叢生をともなう上下顎前突』

となります。

いわゆる出っ歯さんのように上の前歯と下の前歯が離れているわけではなく、上の前歯と下の前歯はしっかり噛み合うし、奥歯の関係も1級といって標準的である一方で、口元は突出しているという状態です。なので口元の突出は、前歯の傾斜や骨格的なところに原因を求めることができます。

Aさんは口元の突出をとても気にしている一方で、Bさんは歯の重なりを気にしています。似ている咬合状態ですが、主訴が異なるわけです。

Bさんには乳歯がまだ数本残っており、このタイミングで叢生を改善するために子どもの矯正治療(準備矯正)として拡大プレートを処方しました。

Aさんがもし上顎前突(出っ歯さん)で口元が突出しているのであれば、ヘッドギアなどを処方する手段があったかもしれませんが、上記咬合状態だったため口元の突出に関しては子どもの治療ではアプローチをしないことになりました。

また、Aさんにも軽度の歯列の凸凹がありその点だけは準備矯正で改善可能であることを説明したものの、凸凹は全く気にしているところではなかったため、あらゆる準備矯正は行わないことになりました。
現在中学生になったAさんは、小臼歯を4本抜歯して、マルチブラケット治療(本格矯正)を行っている最中です。

一方でBさんは治したい部分が改善できたため、準備矯正だけでいったん終了となっています。永久歯がすべて生えそろった際にも、口元の突出改善の希望がなかったためです。

こう見ると、

Aさんにとって、準備矯正は必要なく、本格矯正は必要だった。一方で、

Bさんにとって、準備矯正は必要であり、本格矯正は不必要だった。

ということが出来ます。

歯を抜いてマルチブラケット治療をすれば、口元がスッとする。Bさんにとって、そのことと、歯を抜くこと、あの煩わしそうな目立つ装置を2年も付けていなきゃいけないこと、の価値が見合わなかったのでしょう。逆にAさんは、一列になるけど口元が出ている状態、に価値を見出さなかったわけです。

どちらが正解というものではありません。大事なことは必要、不必要の判断を、治療した場合、しなかった場合の予想される変化をこちらが説明したうえで、患者さん(あるいはその保護者)自身がその決定をしているという点です。

 

以前、臼歯部の交叉咬合(大きな程度)がある小学生の保護者の方に、『このままだとおそらく顎がずれて、お顔が歪みますよ』『これは治療をした方がいいでしょう。』という言い方で治療を半ば勧めるように説明したケースがありました。
噛みにくい現状や今後お顔が歪むことが患者さんにとって好ましいことではないだろうと、(勝手に)判断したためです。
患者さんからは、『そうはならないこともあるし、なったとしても困るとは思えない。』のようなお答えをもらいました。

ではどこからがこの方にとって矯正治療が必要になるラインなのだろう?と疑問に思いましたが、このような例もあります。

 

逆に、矯正治療もやはり医療だから、という面があるたからかなのかは分かりませんが『医療のことはよく分からないから、必要かどうか決めてください』というスタンスの方もいらっしゃいます。

その場合、どうなりたいとか、こうなりたくないとかいっご希望がどこにあるのかをお伺いするようにしています。

 

しかし最近セカンドオピニオンという言葉の広まりもあり、矯正治療においても患者さんは幅広く意見を求めるようになっていると思います。

他医院で治療が必要と言われたが本当に今必要か診て欲しい、などは当院で初診相談数件目、という方のセカンドオピニオンの目的でも多いケースです。

 

初診相談だけでそこを判断できるかという別の問題もあるのですが、今回の内容との関連で、初診相談でお話しできることの範囲についても次回書きたいと思います。

 

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3月1日(木

『今年の目標が早くも達成?

 

さていよいよ今日から3月ということで、今年も2ヶ月が経過です。早いものです。

 

ところでこの2ヶ月という期間。矯正治療の平均的な期間が2年つまり24ヶ月とすると、その1/12ほどの期間です。また、ひと月に歯の動く距離が0.5mmほどと考えれば、ビフォーアフターの比較でもあまり目を見張るほどの変化量が現れない、と考えられる期間です。

ところが、このたった2ヶ月という短い期間でも大きな変化が起こりうる不正咬合の種類があります。

 

昨年末になりますが、とある取り外しタイプの装置の使用が始まった患者さんがいました。装着後のチェアサイドでの保護者の方への説明の際お母さんが、

『今の噛み合わせを治すことが来年の目標です』

とお話していました。

この小1の患者さんの噛み合わせは『反対咬合』です。反対咬合の中でも機能性の反対咬合と呼ばれているものです。

機能性などというと何か仰々しい感じがしますが、より重度の位置付けとなる骨格性の反対咬合に比べると、反対咬合の中でも”治りやすい”タイプに分類されます。

しかし機能性の反対咬合を放置すると、骨格性の反対咬合(骨が成長した結果としての反対咬合)に移行する可能性があるため、早期にアプローチすることが好ましいとされている不正咬合の一つでもあります。

 

先日2月末は、装置使用開始2ヶ月の来院でした。患者さん本人のお口の中を見る前にお母さんが、『先生、上の歯が前に来ました!』とのこと。

そして実際に診察すると、、、見事に反対咬合は改善していました。

先ほど書いたように、いくら子どもで歯が動きやすいとは言っても、やはり2ヶ月で動く距離は知れています。

でもこの機能性の反対咬合というのは、上下の前歯の些細な干渉が大きな下あごのずれを導いているというものですから、些細な距離を歯が動いてくれればその干渉がなくなり、結果下あごが本来の位置に収まるのです。

 

今年の目標が早くも達成されてしまったわけで、お母さんとしては少し拍子抜けな感じすらありました。ただもちろん、もう装置を使わなくていいというわけではないんですが、ひとまず目標達成、ひとまず安心というところでしょう。

放っておくと骨格性の反対咬合に移行する可能性のある噛み合わせが、数ヶ月で改善する(もちろん全員が同じ期間で同じ経過を辿るものではありませんが)わけですから、重症化する要素はやはり取り除いておいたほうが良いと言えるでしょう。

 

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11月19日(日

『現在小学校3年、治療1年経過、今後の治療方針は

 

今日は話がいろいろ飛びます。

 

先日当院にて治療1年を経過した患者さんのお母さんに、カウンセリングルームにて半年ごとの経過報告をしました。

 

この患者さんは当院初来院の2年生の時に、そもそも治療をすることになった経緯が大事ですので、まずそのあたりを説明します。

 

いわゆる出っ歯さんと、永久歯の萌出スペースが足りない、という状態を併せ持っていました。

乳歯の犬歯が早くに抜けてしまい、後ろにあるはずの別の乳歯が前に詰めてきてしまっているため、上顎では左右の犬歯がまるまる2本分、下顎では左下の犬歯が丸々1,5本分、生えるスペースがありません。

歯のサイズもそれぞれ大きく、口元もやや突出傾向があります。

ここまでで判断するならば、

『仮に拡大プレートやヘッドギアなど拡大し、はみ出した犬歯を歯列に入れ込むことができたとしても、口元がさらにもっと出てしまうとか、12歳臼歯が生えなくなってしまう』

などの好ましくない副作用がかなり大きく伴うことが予測されます。

さらにここまでのスペースの足りなさを子どもの治療で改善しようと思うと、小学校の間中ずっと何かしらの治療を続けなければならないほどで、さらには中学生以降の治療も必要となるでしょう。

そして得られる結果は『歯は抜かずに済んだが口元が突出した状態』

になってしまう可能性が大いにあるわけです。

なので、このようなケースでは、子どもの治療は原則的にはせずにとにかく全ての永久歯を生えるだけ生やしたのちに(恐らく凸凹の並びにはなってしまうが)、中学生になったら小臼歯を抜いてマルチブラケット治療を行う。

ことで対応することが多いのです。

後者なら、治療期間は中学生からの2年間でピシャッと終わります。

前者が『早く始めても早く終われない』のに対し、後者では『遅く始めても終わるタイミングは前者と同じ』

ということで、治療期間という面では患者さんの負担は減ります。仕上がりの口元の感じも良好となるはずです。

 

ではこの患者さんもそのような運びになったかというと、、、冒頭でもあった今現在『治療1年経過』している状態です。なぜ子どもの治療を行っているのでしょうか?

確かにこの患者さんは、

『子どもの治療はせずに、中学生になったらマルチブラケット治療で一気に解決』パターンのケースに該当します。

しかし、現状として見逃せない点が一つありました。それは、

『上の歯列の犬歯があまりにも生えるスペースがなさ過ぎて、すでに生えている永久歯の前歯の根っこに突っ込みかけている』

状態があったのです。

 

このブログでもたびたび症例を紹介していますが、上の犬歯はよくこういう状態になります。実際に、『右の犬歯だけなかなか生えてこない』と思って歯科を受診したら、

『犬歯が骨の中で大きくズレた位置にいて、前歯の根っこを溶かしてしまっている』

ことが判明した、なんていうことも珍しくはありません。

 

この患者さんの場合、犬歯が前歯の根っこに突っ込んでしまう『直前』でした。永久歯の犬歯は乳歯の犬歯を溶かしながら生えてきます。いわば乳歯を道しるべに正しい場所に生えてくるのです。

その乳歯が大分早く抜けてしまい何を道しるべに生えてきていいか分からない、しかも歯列がきつきつで自分(犬歯)が収まるスペースもない。という状況になっていました。

このような場合骨の中の犬歯はどうするか?

すると犬歯は永久歯の前歯の根っこを道しるべに自分が生えようとしてしまうのです。

 

犬歯がこのような状態、位置にあることが早期に判明すれば採れる方法はいろいろとあります。

その一つが歯列の拡大です。

歯列に生える隙間がないことも犬歯が”迷走”してしまう原因です。犬歯も『どこに生えたらいいんだろう?』と思ってしまうわけです。

そんなとき、歯列に”隙間”があればそこを目がけて生えようとしてくれます。その隙間を歯列の拡大により作るのです。

 

なのでこの患者さんは、小学生から拡大装置にて矯正は行うものの、それはさしあたっての”犬歯が前歯に突っ込んでしまう”という緊急事態を回避するためのもの。緊急事態が回避されたのちは、本格的な治療はやはり中学生になってからとなります。

ですからここで作る隙間とは、

『犬歯が2本丸々入ってしまうのに十分な隙間』

ではなく

『犬歯が丸々入りきる隙間では決してないが、とりあえず犬歯にそこに生えよう!と認識してもらえるだけの隙間』

ということになります。

 

拡大を始めてから、半年、一年とレントゲンを観察し、骨の中での犬歯の位置の経過を追いました。

半年時点で良い方向に進む傾向は確認できましたが、一年後の先日撮ったレントゲンでは、

拡大で新たにできたスペースに向かって犬歯が移動してくれていた、ことがほぼ判明し

『犬歯が前歯の根っこにぶつかってしまうことが回避できた』

という状態が獲得できていました。

 

これはこのためにやってきたことですから、良い結果になって良かったわけです。

ただ、半年や一年装置を使い続けてきました。保護者の方には当然次のような期待が生まれています。

『犬歯の向きも変わるぐらいのスペースも出来たんだし、このまま拡大を続ければ犬歯がはみ出さず歯列に入るのでは、、、?』

 

しかしそこはなかなかそういうわけにはいきません。最初に、『これは歯列の拡大でははみ出した(はみ出すだろう)犬歯はとても歯列に並びきらない。無理に並べようとするともっと出っ歯になってしまう』と判定されるようなスペース不足の程度は結構なものだったからです。

少し拡大して目処が立つくらいのスペース不足なら『今治療をせずに将来抜歯して治す』という最初の判定にはそもそもなっていません。

 

この患者さんの最新時点での判断でも、

『このまま拡大を続けて非抜歯を目指す』方針に転換することはやはりできず、

『緊急事態は回避できたので一旦子供の治療は終わりとし、残りの仕上げは(今まだ小3だけれども)中学生以降で行う』

計画が引き続き実行されることになります。

 

半年毎の現状報告、方針確認はカウンセリングルームで少ししっかりとした雰囲気で行いますが、この時以外にも当然毎回の診療でその日に行ったことの説明、現状の説明、次回の予定の説明は行っているので、折に触れて今後の見通しの確認も行っています。

ですから、半年間あるいは一年間期待が膨らみ続けて、カウンセリングルームでその期待が一気に萎んでしまう、、、という形にはなっていないとは思います。

 

この患者さんのお母さんにも、装置を使って一年の区切りに、上記の現状と今後の方針についての確認を行いました。

・犬歯が他の歯を傷つけることなく萌出可能になったこと

・しかし依然として犬歯が収まるスペースは大きく足りないこと

・ここから先も歯列の拡大を継続するとなると、それは犬歯を収めるための拡大ということになるが、それは無理のある拡大であり、歯根露出、口元の突出、良くない噛み合わせを生じさせる可能性の高いこと

・当初の予定通り、子どもの治療としてはここで一旦終わりにし、中学生以降で歯を抜いて行うマルチブラケット治療で仕上げを行う方法の確認

 

お母さんの考えとして、『当然歯を抜かないで済むなら抜かないに越したことはないが、抜かないことに拘り、好ましくない状態を引き起こしてしまうのであれば、仕上げを中学生以降で行う方針で進めたい』

とのことでした。

実はこのお母さんも医療従事者で、歯並び・噛み合わせといえど個人個人で症状やその程度が異ること、スタートラインが違ければ、ある人で奏功した方法が別のある人には必ずしも奏功するとは限らないこと、などもご存知でした。

 

『子どもの矯正治療は患者さんにとって好ましい結果となる可能性が低いからその治療はせず、中学生になってから抜歯してマルチブラケット治療で治す』

という決断はなかなか難しいと思います。

気になっていた歯並び・噛み合わせの根本的な改善は中学生まで行えず、中学生になったその際には抜歯が必要。

という方法を小学生の低学年の段階で選ぶからです。

 

それだけに、この方針で治療が進むことになった患者さんと保護者の方には、本格的な治療が始まるまでの数年間、フォローが必要になります。

中学生になるまで気になる凸凹はそのままなの?

本当にそれまで何もしなくていいの?

何かしなければいけないのでは?

いきなり中学生から初めてちゃんとキレイに治るの?

などなど心配、不安を抱えながらの生活になるかもしれないからです。

今は上記の説明や方針に納得した保護者の方でも、半年後、1年後にやはりこれら心配や不安が再度湧き上がってくるかもしれません。

その辺りも、例えば定期的なレントゲン撮影、歯型採得などから判明される科学的な根拠から得られる説明と、患者さんのお話を聴く場を設けることで、軽減していただければ考えています。

 

矯正専門医院として、最終的に『キレイな歯並び、キチンとした噛み合わせ、スッとした口元』を達成するまでの応援を、しっかりしていきたいと思っています。

 

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9月15日(金

『子どもの矯正治療は”準備”の矯正?

 

最近めっっきりすずしくなった、、、と思っていても昼間はクーラーが必要な日も多く、体調管理が少し難しい毎日です。

 

さて、このブログでもたびたび登場する子どもの矯正治療の目的について、ここ最近の初診相談で保護者の方に話す機会が多かったので、また少し触れてみたいと思います。

 

子どもの矯正治療がその患者さんにとって必要かを考える際には、とても多くの面から検討する必要があります。

いくつかを挙げてみますと、

 

・現状が緊急性を要しているか

・歯の生えかわりの進行具合、学年、年齢

・噛み合わせの状態、凸凹、反対咬合(前後的、側方的)、上顎前突、開咬、深い噛み合わせ

・癖(爪を噛む癖、唇をかむ癖、舌の癖、頬杖、口呼吸、鼻閉、、、)

・骨格のタイプ

・不正咬合の程度(言葉は悪いですが重症度。つまりは子どもの治療でちゃんとした効果が出る範囲の程度か)

・子どもの治療(準備矯正治療)と中学生以降のマルチブラケット治療(本格矯正治療)の両者の捉え方(本人、保護者の側の)

・将来的な抜歯を伴う矯正治療の必要性と、その捉え方(本人、保護者の側の)

 

などなどこれだけでもたくさんあります。

この中から、本題にもあります”準備矯正”という言葉とその周辺ついて取り上げて説明したいと思います。

 

上にもありますように、子どもの矯正治療は別名『準備』矯正と呼ばれます。

準備は本番があっての準備です。本番があるからその準備をします。つまり、準備矯正とは本番の本格矯正を前提とした治療という位置づけなのです。

本番の本格矯正がうまくいくように備えておくための治療、それが子どもの治療の位置づけです。

ではなぜそのような位置づけなのでしょうか?

 

ここで突然服のはなしになりますが、中学生や高校生になった時の服を小学生のうちに買うことってありますか?あまり買うこともないですよね。

ではなぜ買わないんでしょう?

・これから体も大きくなる(しかもどれくらいまで大きくなるかもわからない)ので、買うべきサイズが5年も6年も前には決まらない

・世間や自分の中にも流行りや廃れがあるから、着たい服がその時になってみないと分からない

・親の好みで買っても、中学生、高校生になった本人が気に入るか分からない

そのような買い方をしないことが当たり前なので、なぜ買わないのかなんて考えたこともないくらいですよね。

子どもの体は大きくなりますから、変化が起こるものに対してはその変化が完了してから対応する、という考えが(考えていなくても)あるわけです。

 

じつは子どもの治療が『準備』である理由もこれと同じです。

中学生以降で行う矯正治療は『マルチブラケット治療』です。これは、歯並び・噛み合わせをキレイにキチンとする仕上げの治療のことです。これが『本番』にあたる治療です。

ここでまた少し話が逸れますが、そもそも歯はどこにあるでしょう?そうです、上の歯は上顎に、下の歯は下顎に植わって存在しています。

成長期にはその上顎、下顎といった『土台』が動きます。身長や体重がどこまで増えるのかが分からないのと同じく、上顎や下顎がどこまで伸びるのか、成長するのか、逆に成長しないのか、は推測はできるものの正確には言い当てることは出来ません。

土台がまだまだ動く最中(例えば小学校4年生の時点)に、土台の上に乗っかている歯並びや噛み合わせを整えて完成させても、その後土台が動いてしまえば(例えば下顎よりも上顎が大きく成長してしまえば)、小学校6年生の時点で上の歯列は一列、下の歯列も一列だけど噛み合わせは出っ歯さん、なんていうことが起こり得ます。

上の例で言えば、小学生の時に中学生になった際に着る服を買ったはいいものの、その時になった着てみたら大分大きかった、あるいは小さかったというような具合です。

 

以上をまとめると、

子どもの治療は、

・小学生では土台である顎がまだまだ成長する、動くこと

・仕上げのマルチブラケット治療は土台が動かなくなってから、土台の上に乗っかっている個々の歯を動かしてキレイなキチンとした歯並び噛み合わせを整える治療であること

・なので子どもの治療ではマルチブラケット治療をすることが出来ない

から、仕上げの治療にはなれず、仕上げの前段階の(準備段階の)治療であるということになります。

 

ただマルチブラケット治療まで進まないと治療完了にならない、というわけでもありません。

たしかにマルチブラケット治療をしないと100点の歯並び、噛み合わせにはなりません。でも100点じゃないとだめということも全くありません。

子どもの治療だけでマルチブラケット治療をしなくても、もまあまあの並びでまあまあの噛み合わせになることももちろんあります。

治療の必要性(マルチブラケット治療でないと治らない症例)がある場合は別として、子どもの治療だけで治療終了となる・できる場合も珍しくありません。

 

子どもの矯正が、本格矯正の準備という目的である一方、準備矯正だけで終了となる場合もあるのですからじゃあ準備矯正の目的は何なんだ、ということになります。

それについて書こうとするとここからまだまだ長くなってしまうので、またの機会にします。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

 

11月28日(月)

『乳歯が抜けた後、永久歯がなかなか生えてこない時は、、、』

 

このブログでも度々報告しています、『似たような主訴の初診相談が何件か続く』ことがまた最近ありました。3人も続いたため、学校歯科検診的なものがあったのかと思えるほどですが、それぞれの方で小学校も異なっていたためやはり偶然でしょう。それにしても不思議です。

内容は、

『乳歯が抜けた後に永久歯がなかなか生えてこない』

というものです。

2人が前歯、1人が奥歯の永久歯がなかなか生えてこないということを気にされての来院でした。

乳歯が抜けた後、なかなか永久歯が生えてこない理由はいくつかあります。
 

1何の異常もないが単純に生えるスピードがゆっくりな場合(生えるスピードの個人差)

2永久歯が生えようとしているところの歯茎の厚みが厚い

3乳歯の時に根っこにまで及ぶ虫歯があった(該当乳歯あるいは周囲の乳歯に)

4乳歯の時にその乳歯を強くぶつけた

5その永久歯がそもそも存在していない

6生えようとしている永久歯の近くに余分な歯(過剰歯)があって邪魔をしている

7永久歯の生えようとしている方向・場所がおかしい

8生える隙間がなくて生えてこられない


などなど理由はたくさんあります。

原因が1や2であれば様子を見ていていいことがほとんどですが、1や2が原因であると決定できるには、『3〜8が原因ではない』と決定できなければなりません。

乳歯が抜けてから(自然に抜けてから)、半年以内には永久歯が生え始める場合がほとんどです。

青丸の犬歯は今後自然に生えてくれますが、赤丸の犬歯はいくら待っても自然には生えてくれません。これはあくまで一例ですが、骨の中でこのようになっている様子はお口の中を見ただけではなかなかわかりません。

乳歯が抜けてから半年経っても永久歯が生えてこない場合は、レントゲンで骨の中の様子を見た方が良いでしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

10月4日(火)

『子どもの矯正相談でおうちの方からよくある質問』

 

今日は全国的に暑かったみたいですね。裾野もそれなりに気温が上がってました。台風の影響らしいですが、明日以降の台風の進路も気にかかるところです。

子どもの初診相談で、おうちの方からかなり高い確率で出る質問がいくつかあります。
 

・治療が必要ですか?

・いつから治療が必要ですか?

・今から始めれば将来抜歯をしなくて済みますか?

・早く始めれば子どもの治療だけで終われますか?(早く始めれば早く終われますか?)


などなどです。

答えは、、、症例によります。

症例によって、その場で即答できるも場合あれば、詳しい検査が必要な場合(こちらの場合の方が多いですが)もあります。

早く始めても早く終わらない症例もあります。

始まるのが早くても将来抜歯をする症例もあります。(早くに始まる理由と、将来抜歯となる理由が別のところにあります。)

一概には言えませんし、すべてのパターンを網羅しようとすると話がとても長くなってしまいます。詳しくはこちらのページをご覧ください。

これらの質問はどちらの矯正歯科でも共通してよくある質問のようです。どの地域でも、お子さまの歯並びに対する保護者の方の心配事は共通しているということですね。

 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

9月14日(水)

『就学前の前歯部反対咬合

 

最近めっぽう寒いですね。ここ裾野では夜だけでなくいよいよ昼間も寒くなってまいりました。秋ですね。プロ野球ペナントレースの優勝チームが決まったことも、秋を感じさせる要素ですね。

 

先日の初診相談では立て続けに似た症例が続きました。

4〜5歳の前歯部反対咬合です。まだ乳歯だけの歯並びですが、前歯数本が反対の噛み合わせになっていました。

反対咬合には2種類あります。

上あごが後ろ、下あごが前、のように土台から反対の位置取りをしている場合と、

土台は上あごが前にある正しい位置取りだが、上の前歯が後ろ、下の前歯が前、

の位置取りをしている場合です。

前者を骨格性反対咬合、後者を歯性反対咬合と言います。実はもう一つ機能性反対咬合などというパターンもあります。

下あごは身長の伸びが活発な時期(小学校高学年から中学、高校)にかけて一緒に成長しますから、就学前のお子さまが『骨格性反対咬合』の様相を呈していることは稀です。

だいたいが機能性か歯性の反対咬合に分類されます。

しかし、これを放っておくと骨格性の反対咬合に移行してしまうこともあるので要注意です。

治療としては、装置が使えるようになる4〜5歳くらいに取り外しの装置(写真:ムーシルドなど)を使用し、まずは上の前歯が下の前歯を覆うようにします。

いったんの改善を見た後は経過観察となります(それ以外に改善を必要とする箇所がない場合です)。

先ほど書きましたように、反対の噛み合わせの傾向にある方は、身長がぐっと伸びる時期に顎もぐっと伸びることがありますので、経過をしっかりフォローしていく必要があるのです。

 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

9月5日(月)

『子どもの噛み合わせに複数の改善すべき点があっても一度に全てにアプローチしないのは何故?』

 

先日小学生低学年の患者さまが初診相談に来院されました。主訴(患者さまのお母さまが気になるところ)は上の前歯4本のねじれです。

 

口腔内写真と顔貌写真からわかる状態として、

1上下顎前歯のねじれ・凸凹(永久歯の萌出余地不足)

2上顎前突(上顎前方位か下顎後退位かは不明)

が認められました。

パノラマレントゲン写真からは、

3上顎犬歯の歯胚向きの近心傾斜

が認められました。

 

このような現状に対し、今アプローチしたほうが良いことと、後でもいいことを区別して患者さまに説明しました。

子どもには大人にはない、『歯の生え変わり』と『顎の成長』があります。そしてこのどちらも期間を通して平坦に、平均的に起こるのではなく、ある時には大量にある時には少しだけ、というように起こり方にも波があります。

そのような『変化』のある子どもの時期(主には小学生)での治療が時期としては適しているのは当然ですが、さらにその小学生という期間の中にも、治療をする(装置を使用する)最適なタイミングとそうでないタイミングが存在します。

矯正歯科に来院される患者さまの歯並び・噛み合わせのいわゆる『不正(咬合)』と呼ばれる箇所が、1点のみにとどまっていることはむしろ少なく、上記の患者さまのように改善すべき点が複数あることの方が多いです。

となると一人の患者さんの中でも、これにはすぐアプローチするがこれは1年後(この歯とこの歯が生え変わってから)などという計画にもなるわけです。

大事なことは、

『ゴールから逆算した治療をすること』

です。

こういう結果を目指すならば、今何をすることが必要か、いつ何が必要になるかを現在の状態をしっかりと把握し、そこから予測・計画を立てて実行に移すこと

これが大事です。

詳しくは『子どもの矯正治療ガイド』をご覧ください。

 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

8月26日(金)

『虫歯などで乳歯が本来より早く抜けてしまった場合は要注意です』

 

まだまだ日中は暑い日が続きますが、夜は結構涼しいですよね。僕も裾野に来てからというもの、クーラーをかけながら寝たのは数えるほどです。むしろ何か上に一枚掛けずに寝たら寒いくらいです。実家のある沼津でもそうはなりませんから、さすが裾野です。

話は変わりますが、乳歯の役割ってご存知ですか?

まず真っ先に挙がるのは『噛むこと』ですよね。

でもそれ以外にも大きな役割があります。それは、

『次に生えてくる永久歯のための場所取り』

です。

下の左右の写真の違いを見ていただくと分かりやすいかと思います。

別々の方の下あごの歯列の写真です。どちらの方も年齢は7-8歳です。

右の写真が正常(に近い)状態です。7-8歳ですと皆さんおおよそこの写真の状態です。つまり、前歯4本と一番後ろの歯(第1大臼歯)が永久歯で、永久歯に挟まれた中間の乳歯が左右で3本づつある状態です。

写真右の青丸で囲った部分に注目してください。この歯は乳歯の犬歯(乳犬歯)と言って、標準ですとおよそ9-10歳くらいに抜ける歯です。このくらいの年齢で抜けるということは、正常な抜ける過程(永久歯が乳歯の根っこを溶かしながら上に上がってきて、乳歯が抜けたすぐ後に永久歯がもう見えている)をたどっていると考えられます。

左の写真はどうでしょう。あるべき位置に乳犬歯がありません。その代わりにあるのは、第1乳臼歯と言って乳犬歯の一つ後ろに位置するはずの歯です。

つまり、

『永久歯の犬歯が生えるのはまだ大分先なのに乳犬歯が抜けてしまったため、後ろの歯が抜けたスペースめがけて全て移動してきてしまい、永久歯の犬歯の生えるスペースを塞いでしまった』

状態になっています。

この状態では当然永久歯の犬歯が入り込むスペースはありませんから、犬歯が生えたときにはいわゆる『八重歯』の状態になります。

しかも稀にあまりに生えるスペースがない状態だと、犬歯が『そもそも生えてきてくれない』とか、なんとか生えようとはしてくれているが『おかしな方向に向かって生えようとしている』というようなことも起こりえますので注意が必要です。

後ろの歯が前に詰めてきてしまう。このことは上の写真のように、乳歯が『早くに抜けてしまった』ような極端な場合だけではなく、『虫歯になって欠けてしまい歯が小さくなった』場合にも起こりうることです。

乳歯は永久歯が生えるまでの一時的な歯ではありますが、果たす役目はとても大きいです。できれば本来の役目を全て全うして永久歯とバトンタッチをしたいものです。

 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

8月12日(金)

『子どもの初診相談でのレントゲン』

 

子どもの矯正治療は必要性とタイミングの判断が大事であることはこれまでにも触れました。何でもかんでも必要でありしかも早い方が良いというわけでは決してなく、症例に応じた適切なタイミングというものがあります。

矯正歯科学会も今治療が必要な症例には今アプローチするが、そうでない症例には適切なタイミングを見極めて開始しましょうと提言しています。

学会の提案している『早期に治療が必要なケース』に僕の臨床上の経験を加味して治療の必要性とそのタイミングを判断しています。

大まかに書きますと、早期にアプローチすべきポイントが

1、目で直接見える範囲に認められるか

2、目で直接見えない範囲(骨の中)に認められるか

をもとに判断しています。

1については当然お口の中やお顔を(またはその写真を)見ればその有無が分かりますが、2についてはレントゲンによる情報がないとその有無が分かりません。

つまりお口の写真をもとに行う初診相談の際、

噛み合わせの異常など目に見える範囲で異常個所があれば『治療の必要性有り』とその時点で判断できますが、

目に見える範囲で異常個所が無かった場合は、それだけで『治療の必要性無し』とは判断できない

のです。これだけでは目に見えない範囲の異常個所の有無が不明だからです。

目で見える範囲で異常個所が無く、さらにレントゲンで見える範囲でも異常個所が無ければそこで初めて『早期の』治療の必要性はないと判断できます。(今後にわたって治療の必要性がない、というものではありません。)

当院では、乳歯から永久歯への生え変わりが残っている方に対し、初診相談時にお口・お顔の写真と併せレントゲン1枚(パノラマレントゲン)の撮影を提案しています。

スクリーニング的な意味を含めた簡単なレントゲンではありますが、わずかとはいえ放射線被ばくをすることになります。患者さまの中には他矯正歯科での初診相談や他医院(歯科医院に限らず)にて最近レントゲン撮影をしたという方もいらっしゃいますし、レントゲンは治療を始めると決めてからでいい、という方もいらっしゃるでしょう。ですので撮影は決して義務ではありません。

ご来院時にお伺いしますので、希望をおっしゃっていただければと思います。もちろんレントゲンを1枚撮ったからといって、その後より深い検査をセットで強要するなどということはありません。

初診相談の一回が、患者さまにとってできるだけ意義あるものになれば、と考えています。

 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』

8月4日(木)

『先日の子どもの矯正治療の相談』

 

先日、小学生低学年の女の子の矯正相談がありました。出っ歯と並びの凹凸が気になるということで来院されました。お母様が気にされており、ご本人はよく分からないとのことでした。

症例としては叢生を伴う上下顎前突でした。下顎では永久歯の前歯4本に凹凸が見られ、その後ろには本来あるべき乳歯の犬歯はなく、代わりに第一乳臼歯が位置しているというような状態でした。

矯正相談はこれまでにもされており、前医では『土台が狭く歯も大きいため早く歯列を拡大しないと歯が並ばない』と説明を受けたとのことで、いわばセカンドオピニオン目的での来院でした。

お母様としては、お子さまの凸凹の程度などから治療が必要だろうという認識はあるものの、『こんなに早いうちから治療をしなくてはいけないの?』という点が引っかかる点としてあったようです。

僕がこのお子さまのお口の中を見て、させていただいた説明は、小学生のうちは生え変わりが問題なく進むことを観察していき(装置等を使用した積極的な治療をせず)、永久歯が生え揃ったら中間の歯を間引き(抜歯して)治療を開始するという考え方もある、というものです。

というのも現状として、

・拡大しても並び切ることが難しい(歯の大きさと土台の狭さ)

・無理に拡大していくと、歯根露出や歯肉退縮などの組織への悪影響が出る可能性

・現状でも口元が出ているため、これ以上の拡大でもっと口元が出てしまう可能性

・上記治療を行った場合、残りの小学生の間治療が継続ししかも中学生になってからも仕上げの治療が必要になる(小学生のうちに頑張っても小学生のうちには終わらない

・それだけ長く治療をしていても、仕上げの治療で口元の突出を改善したい場合は抜歯が必要になってしまう(今はご本人がよく分からず気にしていなくても、中学生くらいになったら口元の突出感を改善したいと思うかもしれない)

ということが考えられたためです。

ただ最後に、

『見える範囲での歯の重なりが大きい場合、骨の中で次に生えてくる歯が正しい向きを向いていない可能性がある』ことを説明し、『その場合はその部分に焦点を当てた治療を行うかもしれません』と付け足しました。

お母さまとしてはあっちでは『今すぐ』と言われたり、こっちでは『もう少し後(だいぶ後)』と言われたりとお話の途中ではやや混乱の様子がありつつも、最後には上記考えに納得していただけたご様子でした。

少し話は逸れますが『ゴールが明確になっていない拡大(特に床拡大装置での拡大)』と『明確でも無理のある拡大』は患者さまに利益をもたらすことは少ないです。

この患者さまは今後検査を行いレントゲンや歯型などを採り、歯の生え変わり等に問題なさそうであれば、小学生の間は半年ごとの経過観察、中学生から治療を開始し、マルチブラケット治療を行うかたちになりそうです。

 

裾野、長泉の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』