裾野駅徒歩3分の矯正歯科専門医院です。キレイな歯並び・キチンとした噛み合わせのための矯正治療を行います。近隣の沼津市や長泉町からもどうぞ。

わたなべ歯列矯正クリニック

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裏側・舌側・リンガル矯正

裏側矯正(舌側矯正、リンガル)のこと
もっと知りたい!!

裏側矯正(舌側矯正、リンガル)について、コラム形式でまとめています。患者さまからよく尋ねられることなどを中心に紹介しています。

『裏側矯正のお問い合わせ

 

年末にかけて多かったのが、裏側矯正についてのお問い合わせでした。

ちょうどその時期にホームページの改装中だったこともあり、当院のホームページから発信できる情報が減っていたせいか、直接お問い合わせをいただくことが多かったのかと思います。

 

また以下のサイトに情報をまとめてありますのでご覧ください。

見えない裏側矯正

裏側矯正の知りたいこと

矯正のギモンー裏側矯正って?

 

裏側矯正は、

『矯正したいけど、ギラギラ目立つ装置はつけたくない』

とお考えで、少し治療に躊躇されている方にお勧めできる方法です。

ハーフリンガル(上は裏、下は表)であれば、見えないポイントは押さえつつも費用も抑えられるというメリットを享受できます。

もちろん絶対少しも見えたくない、という方にはフルリンガルがありますが、費用が少し高くなってしまうのが難点です。

 

また、部分矯正を裏からしたいという患者さんもやはり多くいらっしゃいます。ただし、全体矯正の裏側と比べて、部分矯正の裏側は適応範囲が限られる点が注意を要する点です。

これに関しましては、お口の中を拝見してから、部分矯正を裏からできるできないが判定されます。

 

現在上記リンク先が閲覧できるようになっていますが、引き続きご不明な点があれば直接お問い合わせいただければと思います。

部分矯正は裏側からも可能ですが、最近部分矯正を裏側から行うことになった患者さんが何人かいましたので取り上げてみたいと思います。

 

可能ではありますが、表側矯正と同様に部分矯正としての適応症かどうかという判定がやはり必要になります。

これとは別にさらに裏側矯正特有の、部分矯正を裏からする場合に必要な判断基準というものもあります。

この点をクリアできた場合の、部分矯正を裏側から行うメリットは次のようなものが挙げられます。

・外から装置が見えない、周囲に気づかれない

・治療中でも並びの一列を比較的早期から実感できる

・前歯が前に出にくい

上2つは裏側の全体矯正でも同様なので、ここでは説明を省きます。

 

表側からの部分矯正との大きな違いは3つ目の『前歯が前に出にくい』という点です。

ところで全ての物体には抵抗中心というものが存在しています。その中心に対してどこに力を掛けるかで、その物体がどう動くかが決まります。

例えば、スカイツリーを巨人が押す姿をイメージしてください。

てっぺんのあたりを押せば、ツリーは倒れてしまうでしょう。一方で脚の部分を押せばツリーはズリズリと倒れずに平行移動するでしょう。

 

歯の抵抗中心の詳しい話は省きますが、スカイツリーと同様のことが歯でも起こります。

装置を表に付けるか裏に付けるかで、歯に同じ力を同じ向きに掛けても歯が動く方向が異なるのです。

表からの部分矯正では物理的に避けられない『凸凹は一列になるが歯が前に出てしまう』という現象。これが裏側では起こりにくくなります。つまり、装置を歯の裏側に付けるということで、歯の頭は内側に入って一列になろうとするのです。

もちろんこれもいいことばかりではありませんし、程度が大きければ裏側でも歯は前に出ます。

 

ですがそのメカニズムをうまく利用できれば、部分矯正を裏側矯正で行うのは”向いている”治療ということが出来るでしょう。

 

裾野、長泉、御殿場の歯列矯正専門・矯正歯科『わたなべ歯列矯正クリニック』沼津、三島からもどうぞ

先日、歯科関係ではない取引業者の方と打ち合わせをする機会がありました。

どちらも初対面で東京から来ていただいたのですが、一人は男性、もう一人は20代の女性の方です。女性の方には、職業柄そこに目が行くというか、”矯正治療済み”かな?と思うほど歯並びキレイだなという印象を持ちました。

ただ後付けの言い訳ではないですが、何か『あれ?』という感覚を持った、というのもありました。

 

30分ほどの短い時間でしたが、初めの15分ほどは主に男性の方と話をし、その間女性の方は相槌だったり、ごく簡単な補足説明をする程度でした。

後半から女性の方と主に話すようになりましたが、話し始めて少し経ちやや大笑いするような内容があった際、女性の方も少し大きく口をあけて笑う場面がありました。

すると、、、

もうとっくにお分かりかと思いますが、そうです、女性の方は下の前歯にブラケットを付けており、つまりは矯正治療中だったことが判明したのです。

※写真はサンプルです。上記の方のものではありません。

上の歯列は裏側、下は表、のハーフリンガルという方法での治療中でした。

逆の先入観というか、上の歯列の見えるところに装置が付いていないわけですから、下の歯列の”現物”が見えない限りは、矯正中だとは思いようがありません。

女性の方も、

『下の歯を故意には隠そうとはせず自然にお話をして、先生がいつ気づかれるかと窺がっていました』

とのこと。

上の歯列は小臼歯の抜歯をしているということですが、現在治療を開始して1年半を過ぎたところです。抜歯スペースもほぼ閉鎖、歯列は一列、口元の突出もない、そこに装置が見えないということも併されば気付きようがありません。

 

これまで自分の患者さんや知り合いなど、すでにハーフリンガルで治療をしているということを自分が知っていてその方と接することがほとんどでしたから、たとえ装置が見えていなくてもそのことに驚かされることはありませんでした。

なので今回の体験は施術する側としてもとても貴重です。

 

矯正治療中であることが判明するよりも先に、矯正治療が終わってキレイな歯並びが達成できた状態と矯正歯科医に思わせてしまう、、、

上下裏のフルリンガルならまだしも、下は表に装置が付いているにもかかわらずですから、ハーフリンガル恐るべし、、、

 

ただ、やられっぱなしではなく何か”あれ?”という感覚を持てたのが、矯正医として最後の砦を守ったというか、ちょっとは抵抗できたぞ、というところでしょうか。(笑)

裏側矯正は表側矯正に比べ施術する側としての難易度が高い、とされています。

それが、裏側矯正を提供している医院が少ない理由でしょう。では裏側矯正はどこが難しいのでしょう。

 

操作のしにくさ

歯にブラケットを付け、ブラケットにあるスロットにワイヤーを通すと歯は動きます。

一本の歯における、歯、ブラケット、ワイヤー、この三者の位置関係を表と裏で比較しますと、手前から奥に向かって、

表側ブラケットでは、『ワイヤー → ブラケット → 歯 → 口腔内(喉方向)』

裏側ブラケットでは、『歯 → ブラケット → ワイヤー → 口腔内(喉方向)』

の順で装着されていることになります。

つまり表側ではワイヤーの下にはブラケット(とその下の歯)がありますが、裏側の場合はワイヤーの下にはブラケットはなく、口腔内、喉と”空間”が続きます。

矯正治療に限りませんが、何事も”支持”があると操作がしやすいです。

ワイヤーを操作する際表側矯正の場合、ワイヤーの下にはブラケットと歯がありますから、それらを支持に操作をすることが容易です。

しかし裏側矯正の場合、歯やブラケットが手前にあり、ワイヤーの下には支持になるものがありませんし、裏側ということで見えづらいという状況も重なり、施術がしにくくなります。

ただ実は操作に慣れてしまえばこれらはなんてことはない要素で、むしろ表側よりも操作しやりやすい要素も多々ありますが、一歩踏み入っただけでは分からない表面的なところが、裏側からの矯正は難しいというイメージにつながっているのかもしれません。

 

歯の抵抗中心との関係

抵抗中心って?となります。

詳しくは省きますが、ブラケットが歯の表に付いた場合と、裏に付いた場合とでは、同じ種類やサイズのワイヤーで、同じ大きさ、同じ方向に力がかかったとしても歯の動く方向が異なるのです。

そうさせるのが、抵抗中心に対するブラケットの装着位置の違いです。

これがあるがために、そもそもの使用するブラケットを選択するところから注意しなければいけないほどです。

さらにワイヤーの種類やサイズ、ワイヤーを使う順番、ワイヤーの設計、どこから前歯を引っ張るか、前歯をどんな角度で位置付ける設計を組むか、、、、、、など、治療開始前の治療計画立案から治療の最初、治療の中盤、治療の最後までこれに影響を受けます。

表と一緒であれば問題ないのですが、ちょっと違う、あるいは180度違う、真逆、などという点も多々あるため、そこを注意して治療を進めていかないといけないわけです。

 

例えば、噛み合わせ上出っ歯(上顎前突)に分類されるが前歯2本が内に傾いていて(舌側傾斜)、出っ歯に見えないでも噛み合わせも深い、という噛み合わせがあります。2級Ⅱ類と呼ばれるものです。

表のブラケットなら、ワイヤーを上に向け前歯が持ち上がる力をかけていけば、歯も持ち上がるし舌側傾斜も改善します。ところが裏側で同じことをしてしまうと、前歯はさらに舌側傾斜をしてしまいます。あまりに倒れこみすぎると下あごの歯列への噛み合わせの影響や顎関節への影響すら出てきます。

 

もうひとつ、有名な落とし穴ですが、ボーウィングエフェクトといって、抜歯症例において抜歯したスペースを閉鎖していく段階で起こる副作用もあります。

これもやはり前歯が内側に倒れこみすぎてしまう、歯列が小臼歯辺りで幅が拡がってしまい、大臼歯辺りで狭くなってしまう現象です。

 

起こって形となってしまった副作用は、そうなるまでにかかった時間の2~3倍をかけないと元の状態には戻りませんから大変です。

そうならないように注意して(こうしたらそうなる、ではそうならないようにするにはこうするという正しい捉え方をした上で)治療を進める必要があります。

 

まだまだ違いはたくさんありますが、別の機会で触れようと思います。

裏側からの治療の説明をする際患者さんが驚かれることの一つに、装置装着までの”待ち”時間の長さが挙げられます。

初診相談(の際治療を開始する心づもりだった場合)からだと3か月、診断からだと2か月~2か月半、専用の歯型の採取から1か月半~2か月

の期間を経て裏側からのブラケット装置装着となります。

一方で表側からの治療の場合、ここまでの待ちは発生しません。なぜでしょう?

 

裏側矯正に必要なセットアップ模型

裏側に装置を付ける際の欠かせない準備に、『セットアップ模型の作製』という工程があります。

セットアップ模型とは、その患者さんの2年後、つまり治療終了時の歯並び・噛み合わせをシミュレーションした模型のことです。

 

さてこの『歯の裏側に装置を付ける際に必要なセットアップ模型』ですが、歯の表にブラケットを付ける際には必ずしも要りません。

表側ブラケットの場合このセットアップ模型がなくても高い精度で正しい位置にブラケットを装着できること、がその理由です。

しかし裏側矯正の場合、このセットアップ模型を作らないと(アナログかデジタルかの違いはあれど)、”どんな熟練者だろうと絶対に”歯の裏面に正しくブラケットを付けることはできません。

ですから裏側矯正ではこのセットアップ模型を使って、『歯の裏面の正しい位置にブラケットを付けるための”装置”』を作ります。

 

裏側矯正の場合、セットアップ模型の作製は技工所への外注になります。セットアップ模型はいわば治療の設計図です。この設計図に則って治療を進め完了させるわけですから、この設計図自体に高い精度が要求されます。

技工所との綿密な打ち合わせの元、この設計図を何度もやり取りをし完成させます。

情報をやり取りする打ち合わせの時間、話がまとまってからの装置作成の時間などが掛かるため、ブラケット装着までに上記のような期間がかかってしまうのです。

 

一方で表側ブラケット装着にはこの工程は基本的には必要ないため、治療方針が決まった後であればすぐにでも装置を付け治療は開始できます。

 

セットアップ模型上でブラケット装着の準備をしておいた後、歯にブラケットを装着する方法を『インダイレクトボンディング』、そのような準備なく目視で歯にブラケットを付ける方法を『ダイレクトボンディング』と呼びます。

前者は裏側矯正では必須であり、表側矯正においても行う場合もあります。後者は裏側矯正ではまず行わず、表側矯正のほとんどで行われています。

 

最近ではデジタル化が進み、使うブラケットの種類やシステムによっては、セットアップ模型を作成するための歯型の採取を必要としない方法もあります。

ただその場合でも、現物としてのセットアップ模型は作成しないにしても、デジタルセットアップという形でデータとしては作成しますからどちらにしてもその過程は踏むことになります。

通常の表側マルチブラケット矯正は、

『上下左右の12歳臼歯が生えそろったら(それ以降ならいつでも)』

が、推奨される治療開始の目安です。

 

裏側矯正も、基本的にはブラケットを表に付けるか裏に付けるかの違いだけですから、治療開始は同様に”12歳臼歯がはえそろったら”となりそうな気がします。

でも実は裏側矯正の場合、少し事情が異なります。

この写真は下の歯列の模型ですが、写真手前には歯の表の面が、写真奥には歯の裏面が映っています。

表面の平面にブラケットを付けるのが表側矯正ですし、裏の平面に付けるのが舌側矯正です。

 

さてここで注目していただきたいのが、表面、裏面の平面部分の面積の差です。表側の方が断然広いことに気づかれるかと思います。

特に左から3、4番目の小臼歯と呼ばれる2本の歯を手前と奥とで比較してみてください。歴然とした差が認められます。

 

永久歯は乳歯が抜けたあと歯茎から頭を出してきますが、頭を完全に出し切った(かにみえた)あとも、僅かずつながら見える頭の長さを増やしていきます。

12歳臼歯は12歳ころ生えるのでその名がついていますが、上の12際臼歯では13~14歳くらいで生え始めることも珍しくありません。

その後完全に頭を出し、さらに少しずつ伸びてくるとなると、本当の意味で歯冠の全貌が露わになるのは中学生の終わりか、高校生の初めくらいということになります。

 

歯の表面はブラケット装置が装着可能な平面がもともと広いため中学生くらいで装置装着となっても何も問題はありません。

しかしもともと平面部分が狭い歯の裏側においては、中学生くらいでまだ歯冠の全貌が出きっていない段階だと、ただでさえ狭いのにさらに狭い状態となっているわけです。

ですから、装置を付ける面積が足りない→装置をまだ付けることが出来ない、という状況も大いにありうるのです。

 

もちろん歯の生えかわりのスピードは個人差に拠るところも大きいですから、上記理由がすべての方に当てはまるわけではありません。もっと早い方、もう少し遅い方もいるでしょう。

ただ、裏側矯正における年齢や学年の下限の目安は、高校生くらいというのが通常となっています。

最近相談や、実際の治療開始で多いのが裏側からの矯正治療です。中でも特に多いのがハーフリンガルといって、上の歯列には裏側からブラケット装置を付けて、下の歯列には表側に装置を付けて歯を動かしていくといった方法です。

 

なぜ上下の歯列両方裏に付けないの?と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、

下の歯列には表側につけることが選ばれる理由として、

 

・下の歯列は下唇に隠されてあまり見えない

というものがまずあります。

例えば、

ちょっと笑ったくらいでは下の歯列は全く見えませんね。

 

ここまで口を開けて笑っても下の歯列は前歯の頭が少し見えているくらいです。お二方とも上の歯は思いっきり見えていますね。

『女性 スマイル』のグーグル画像検索で引っ張ってきた画像ですが、その他の画像も大体こんな感じ(上の歯列が見えていて、下の歯列が隠れている)です。

 

下の歯列には表に装置が付きますが、

通常ブラケット装置は歯の高さの真ん中、中央に付くため、あの異国の女性が下の歯列に表側ブラケット装置がついていたとしても、ちょっと歯の頭が見えたそのくらいではまだ装置は見えませんね。

当院では、ハーフリンガルご希望の方の下の歯列に付く装置は自動的に『ホワイトブラケット+ホワイトワイヤー』になるため、仮にもっと大きく口を開けて下の装置が見えるほど笑う機会があっても、目立たないということになります。

ちなみに一番下、模型の写真の上の歯列の裏側には裏側のブラケット装置が付いています。

 

次の理由として、

・下の裏側装置は違和感が強い

ということが挙げられます。

下の歯列の裏側にブラケット装置を付けた場合、そのすぐ近くに存在するのが舌です。もちろんこの違和感は上の歯列の裏側にブラケット装置を付けた場合でも同じですが、一般的に下の裏側の方が多くの方にとって違和感が強い傾向があります。

 

もう一つの理由として、

・上も下も裏から、に比べ費用が抑えられる

という点もあります。

裏側矯正を提供している矯正歯科専門医院のほとんどがハーフリンガルも提供していますが、フルリンガルにくらべハーフリンガルは2割前後費用は低く設定されています。

 

とにかく少しでも見えるのは嫌だ、見える可能性のあるのも嫌だ、という方は上下裏からという方法を選択されます。

ただ当院では、上記理由で比率として多いのはハーフリンガルですね。比率としては1:3くらいでしょうか。

 

需要の多い裏側矯正ですが、部分矯正を裏側から、というご希望もあります。


全体矯正では基本的には症例を選ばず裏側に装置をつけて治療をすることは出来ますが、裏側の部分矯正では部分矯正の適応かどうかとはまた別に、『部分の裏側』からの治療が適応かどうかで判断しなければならない要素があります。

 

ただ、裏側からの治療というのはその目的はただ一つ『見えない』、ほぼこれだけです。

歯並びをキレイにしたい!というのがどの患者さんにも共通する主訴です。それは表の通常のブラケット装置で問題なく達成できることです。

しかし装置が見えてしまうのが嫌で矯正治療に踏み込めない、という方はとても多くいらっしゃいます。そのような患者さんにとって『見えずに、気づかれずに矯正ができる』裏側矯正は素晴らしい方法であるのは間違いありませんし、矯正治療を始める大きなはずみにもなるでしょう。

そのような患者さんの場合、患者さんの側から『見えずに矯正したい』とかもっとダイレクトに『裏側でしたい』という希望がある場合がほとんどです。ですのでそのようなご希望のある患者さんには裏側からの矯正は積極的にお勧めしています。

部分矯正は期間や費用、歯に装置を付ける範囲(本数)などが縮小される治療方法です。ですが、希望される方の多くは前歯の並びを改善したい方たちですから、短い期間や限定された装置の本数であっても、

『目立たない』あるいは『見えないほうがいい』

と考えられるようです。

 

そのような考えが患者さんにある場合、たいては患者さんのほうから『部分矯正でも裏側からできますか?』と質問があります。

 

詳しくは割愛しますが、

全体矯正の場合では基本的にはどの症例にも裏側からのアプローチは可能です。(不向きな症例はあります。)

しかし部分矯正となると話はやや変わってきます。部分でしかブラケットを付けない場合、裏側で行ってもいい症例とそうでない症例とに分かれるのです。

これは『部分矯正自体が適応か不適応か』とはまた違う話です。

この点については初診相談の際に判断することが出来るため、裏側から部分矯正をご希望の方にはその可、不可も含めてお話しています。

 

治療期間が短いのも部分矯正の魅力です。ただ患者さんのお話を聞いていると、正確には『早く始めて早く終わりたい』というのが実際のところだと気づかされます。

つまり、いつに何があるから、ここまでに治療を終わりたいという希望があるのです。

この場合は裏側からの治療はやや不向きです。よく言われる表現ですが、裏側からのブラケット装置はその患者さんの歯の形態にあわせて作られた『オーダーメイド装置』になります。

表側のブラケット装置のように、歯と接着剤があればその時点で装置を付けられるというものではありません。

そのオーダーメイド装置が出来上がるまでに、その型採りなどの準備期間もあわせると2か月ほど時間がかかります。なのでこれは表側でスタートする場合と比べ、治療開始が2か月ほど先になることを意味します。

このような『期間』も部分矯正を裏からするのか表からするのかの患者さん側としての大事な要素になるでしょう。

矯正治療をほぼ完全に見えない、気付かれないようにやろうと思うと、方法は一つに限られます。それはご存知の方も多いと思いますが、『裏側(舌側、リンガル)矯正』です。

ホワイトブラケットとホワイトワイヤーは歯の色に近くすることで目立たなくなります。インビザラインはマウスピース(アライナー)が薄い透明な材質であることで、やはり目立たなくなっています。

しかし両者は歯の表に装置が位置するという点において、どうしても『表から見えない』ということはにはなりません。

見えない舌側(裏側)矯正ですが、メリットばかりではありません。

まず費用が高くなります。表側で行う場合の1.5~2倍ほどになります。

チェアタイム(一回の診療時間)がやや長くなります。例えば、表側ブラケットの調整で45分かかることが裏側からだと60分、表で60分なら裏で75分といった具合です。(トータルの『治療期間』が長くなるということではありません。)

舌感が悪くなります。特に下の歯列に裏側から装置を装着した場合は、すぐ近くに舌が収まる(方が多い)ため、違和感は大きいと言われます。

噛み合わせの深い方は、奥歯にプラスチックを盛り噛み合わせを浅くします。これによりご飯が食べにくくなります。

 

『見えない』以外のメリットとしては、

虫歯になりにくい。歯の裏側は唾液の流れと舌による自浄作用を受けることができるため、虫歯のリスクは歯の表側に装置をつけた場合に比べ下がります。ただ、裏側の歯磨きをしなくていいわけではありません。

 

こう見るとデメリットの方が多いようですが、裏側を選択される方はこれにひるみません。『見えない』ことがすべてのデメリットを凌駕するのでしょう。

しかしその前に舌側矯正はより専門性の高い治療方法となります。施術を受ける医院の選択は慎重に行いましょう。

表側と裏側の違いはたくさんあります。

たくさんありますので、その全てをここで紹介することはできませんが、代表的な部分をひとつご紹介したいと思います。

それは、『歯に装置(ブラケット)をつける』際の準備です。

表側の矯正の場合、ブラケット装置(粒々の装置)を直接歯に付けることができます。そして付けた位置も正確です。

舌側の矯正の場合、もちろん表側のように接着剤さえあれば装置を直接歯に付けることはできます。しかし正確な位置に付けることが絶対できません。

ピンとこない説明になりますが、

表側にブラケットをつける場合2次元でブラケットをつければよく、

裏側にブラケットをつける場合3次元にブラケットをつけなければならない

からです。裏側の正しい位置に直接ブラケットをつけることができる人間は恐らくいないでしょう。
 

そのため裏側の正しい位置にブラケットをつけるには、患者さんの歯型を用いて

『正しい位置にブラケットをつけることを可能にするもの』

をあらかじめ準備作成しておく必要があります。

それが写真のようなものになります。

金属の部分がブラケットです。(当然ですが金属であっても裏側なので見えません。)

ピンクの輪っかの部分をガイドにして、下写真のように歯にはめます。輪っかはぴったりと歯にはまるので、結果ブラケットは歯の裏側の『ここ』という場所に正確にセットされます。

セット後ピンクの輪っかは外します。

以前のブログとも関連しますが、表側のブラケットのセットにはこの過程はないため、ご希望により診断後比較的早期に治療を開始することも可能です。

しかし裏側の場合、上記の準備が必要になるため、診断から装着まで1月半〜2ヶ月(装置作成のための精密な歯型を診断後いつ採得するかにもよります)ほどはかかることになります。


今回のブログは、初診相談の際、表側のホワイトブラケット(目立ちにくい面側のブラケット)にするか、裏側からするかを迷われていた患者様に、この『準備』について説明したところ装置装着までの期間の差に少し驚かれていたので書いてみました。

ただこの長く思える準備期間も、治療が始まれば矯正歯科への通院間隔はだいたい1月半ほどですから、それが最初から始まっていると思っていただければいいのかもしれません。

他院にて『裏側矯正に向いていない』と説明を受けたものの、裏側からの矯正を諦めきれず当院の初診相談を受診される方が多くいます。

 

裏側からの矯正治療でよく『向いていない』と説明を受ける不正咬合には、”深い噛み合わせ”(過蓋咬合)が挙げられます。

噛み合わせが深いとカチンと噛んだ際に、下の前歯と上の裏側にある装置が当たってしまい、装置が外れたり壊れたりすることがあるからです。

ただ、『噛み合わせが深くて下の前歯と上の装置が当たる=裏側に向いていない』わけではなくその状態にも対応できる方法はもちろんありますから、これは実際に裏側からの矯正ができない理由にはならず、

『噛み合わせが深くても裏側からの矯正は可能』

です。ご安心ください。

 

ただし、上記記述には『全体矯正(上下の歯全てにブラケットを付けて行う治療)』においては、という”注”が付きます。

部分矯正を裏側から希望される場合、『噛み合わせが深いこと』が裏側からの部分矯正が適応外になる理由となることが多いのでご注意ください。